UFC30 生観戦記
■団体:UFC30
■日時:2001年2月23日
■会場:ニュージャージー州アトランティックシティTrump Taj Mahal
■書き手:Poet
 滞在中の街から会場のニュージャージー州アトランティック・シティまで約300km。
 平日の試合だから仕事さぼらなきゃ、8時試合開始にとても間に合わないと思いき
 や、どうやら8時からは予備予選(トーナメントもないのに、何の?)で、発表済
 みの本戦は9時からとの噂。前日アメリカ東海岸を襲った雪も金曜日には止み、バ
 スでの会場行きを決行。
 アトランティック・シティに着いたのは8時45分。会場のTrump Taj Mahalに9時前
 にたどり着くも、入り口がわからない。カジノの裏口で大歓声を聞き、そっとドアを
 開けてみると・・・やってる、やってる。凄い熱気だ。
 すぐに、係員に「こっちは入り口じゃない!」と怒られる。
 チケット・カウンターに行くと25ドル〜200ドルと日本並に高く設定された券が、ほ
 とんど売り切れ。あるのは75ドル席だけとのこと。
 「試合は、もう始まっていてるんですか?」「Pre-Qualifyingが終わったところで、
 本戦は、これからよ。」

 会場は、もの凄い数の観客で超満員。5400人と聞いたけど、もっと入っているよう
 に見えた。横浜文体満員よりは多そう。スクリーンも3面あって、とても見やすい。
 代々木第二のように会場内に出店があったので、そこでホット・ドッグを買っている
 と、突然の大声援!スクリーンを見上げるとボビー・ホフマンがマーク・ロビンソン
 をKOしていた。
 フィニッシュ・シーンがスクリーンでスロー再生される。いつものパンチ一閃じゃ
 なくて肘でした。

 試合の合間にはスクリーンにPPV放送中の映像が映る。ただし音声はなし。ティトの
 映像が流れる。エッ?もう、ティトの試合?試合順はどうなっているんだ?
 後で、分かったけど、ティトだけは放送でも特別扱いで、試合の合間ごとにメイン・
 イベントを煽る映像が流されるのでした。
 次の対戦、ホーンとシノシックが紹介される。良かった。絶対見逃せない試合のひと
 つ目に間に合ったらしい。

 (ジェレミー・ホーン×エルヴィス・シノシック)
 選手通路の向こう側の席なので、二人の入場が終わるまで、席につけない。係員に
 「ボクサーの入場が終わるまで待ちなさい」と言われる。ボクサーじゃないんだけど
 ・・・・。通路脇で立っていると横にケビン・ランデルマンが来た。こんなに小さか
 ったっけ?アメリカでは標準サイズ以下じゃないかな?
 ホット・ドッグを落とさないように気を付けて席につくと、もう試合が始まっていて
 グラウンドの攻防になっている。ジェレミーが上だけど、倒したんだか引き込まれた
 んだかわからない。
 シノシックは手堅いクローズド・ガードでジェレミーの頭を腕で抱えて動きを制する。
 「エッ?金魚じゃなかったの?上手いじゃない?」というのが正直な感想。ジェレミ
 ーはパスを狙わず上からコツコツ、パンチを当てるが、シノシックのほうが手数が多
 い。腕ねらいを察知したジェレミーが両手をクラッチするも上手く切られて下からの
 十字(1R2分59秒)。
 ジェレミー勝利予想の多かった会場は驚きにつつまれる。勝利者インタビューで
 シノシックはmixedmartialarts.comなどのインターネット・サイトに感謝。一部で
 受ける。

 (ペドロ・ヒーゾ×ジョシュ・バーネット)
 バーネットの射程の長いパンチに細かいパンチとロー・キックで対するヒーゾ。
 意外や一回り体格で勝るバーネットがヒーゾを押し込むシーンが続く。
 たまにバーネットが不器用に組み付こうとするがヒーゾが打撃で引き離す。
 2Rになっても同様の展開が続く中、突進するバーネットのテンプルにヒーゾの
 パンチが当たる。身体が泳いだところを真横に廻ってストレート一閃でヒーゾ
 のKO勝ち(2R4分21秒)
 ヒーゾは試合後、「ごめん、バッド・ファイトだった」と観客に謝る。

 (ファビアーノ・イハ×フィル・ジョーンズ)
 重量級の動きに慣らされた目に、二人の動きがとても素早く映る。短足のジョーンズ
 だが器用にロー・キックを出す。
 差し合いから相撲になり、イハがテイク・ダウン。ジョーンズのハーフ・ガードに。
 ケージを蹴って体勢を入れ替えようとするジョーンズから素早くサイドを取るイハ。
 さらにケージを蹴るジョーンズに対して腕を取ったイハが頭越しに逆サイドに廻り
 ながら「教科書のような」十字。(1R2分5秒)
 勝利者インタビュー「教科書のような十字だったけど、狙っていた?」「スタンドの
 練習をしてきたんで、そっちを試したかったんだ。」

 (宇野薫×ジェンズ・パルバー)
 「誰もが知っているバンタム級のトップがついにアメリカ登場」みたいな扱いの宇野。
 完全に俳優モードになってるフランク・シャムロック(カメラ目線が板についている
 のが悲しい。肩の手術で復帰は半年後らしい)も「バンタム級は大好きなんだ。動き
 回るからね。」と後押しする。
 実際、宇野は会場の認知度も高く、声援も多い。連れに「あれが、俺の言ってたウノ
 だよ。強ぇぇんだぜ。」などと言っている客多し。登場時のビデオでは、きちんと英
 語で自己紹介する宇野(ちゃんと通じたと思う)。ギで登場してマットに倒れ込んで
 パルバーを待つ。
 試合開始後、スタンドで間合いを取る二人。きっかり20秒後にブーイングが起こる。
 その後の観察でも、攻撃が20秒止まるたびにブーング発生。ただし、本気で嫌気が
 さしたのではないと思うし、会場の観客は選手や技の知識もあり、日本の観客に比
 べて決してレベルが低いとは思えない。
 前の試合より、さらに素早い動きの二人。宇野の低いタックルを切ってわき腹を殴
 るパルバー。2分半過ぎにバックを取った宇野がチョークを狙うが、上手く防御する。
 その後も、宇野の低いタックルをパルバーが潰す展開が延々と続く。観ているほう
 は、何時致命的な膝などの打撃をもらうかとヒヤヒヤ。ラウンドが進むごとに宇野
 の動きが悪くなり、パルバーを出迎えるミレティッチ軍団が喜色満面になっていく。
 最終5R、バック・キックなどのフェイントを試した後、タックルを止めてボクシン
 グ勝負に出る宇野。撃ち合いでは互角以上。最初から撃ち合っていたほうが勝てた
 可能性があったのでは?と思わせる。結局、そのまま5R終了でパルバーの判定勝ち。
 泣きながら喜ぶパルバーはマイクを渡されて、「カオル・ウノ。あなたは私のアイ
 ドルなんだ。いつも、あなたを見ていた。再戦を望むなら受けるよ。約束するよ。」
 と涙のスピーチ。宇野は「パルバーが今ではNo.1になったのを認めますか?」と聞
 かれて、「自分に課題ができて嬉しい」とか答えたが、通訳の川崎さんに「パルバ
 ーがNo.1です」と訳されてた。


 メイン・イベント前に招待客が紹介される。UFCのOBで来場していたのは、コールマ
 ン、ケアー、ランデルマン、イズマイウ、ファス、ヘンゾ、リデル、ミレティッチ、
 フランク、ドン・フライ。芸能人のゲストも紹介されたが、全く知らない。
 ランデルマンが放送席でインタビュー。「俺は205-210ポンドで身体はミドル級だが、
 誰とでも戦いたいからヘビー級でやってきた。しかし、ティトに言われたことで戦い
 を決意した。俺はミドル級に転向する。」

 (ティト・オーティツ×エヴァン・タナー)
 宇野の試合後に、周りの客が急に少なくなる。まさか宇野目当てでティトに興味が
 ないわけはないだろうと思っていたら、その逆で、入場通路に大挙して押し掛ける
 観客。ティトはオリジナル・テーマとビデオ+花火で他の選手より5倍くらい時間
 をかけてWWF選手のように派手に登場。場内大歓声!いつからティトは、こんなに
 大物になったんだ?元マネージャーが社長になったことによる過剰なプッシュと思
 いきや、ティト人気は本物だった。
 試合前に、ニュージャージー州アスレティック・コミッション認可の試合である事
 が発表され、コミッション・メンバーが紹介される。
 試合開始後打撃の交錯から膝を入れたティト。両差しからのリフトアップでタナー
 をマットに叩きつける。サイドからパンチを2発入れるが、既に失神しているタナ
 ーはブロック動作すらしない。レフェリーはグラウンド・パンチの動作に入る前か
 らストップしていたが、ここでようやくティトを止められる。「実はレフェリング
 下手くそ」と言われ続けてきたビッグ・ジョン・マッカーシーを見直した一瞬。
 タナーは酸素吸入器をつけられて担架で退場。
 試合後のインタビュー。「次の挑戦者は、誰になりますか?」「ホーンだと思って
 いたが、今日サブミットされたらしいね。グレイシーでも、桜庭でも誰とでも戦う。
 It is my time!」




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