--脅威のティト、殺人反則技でタナーを破壊--
■団体:UFC30
■日時:2001年2月23日
■会場:ニュージャージー州アトランティックシティTrump Taj Mahal
■書き手:ひねリン(名前をクリックするとプロフィールの欄に飛びます)

いきなり、試合とはなんの関係もないことを書かせてください。今回のUFC、経営者が変わったせいだかなんだか知らないけれど、バー観戦するのに一苦労だったんです。いつもUFCをやってくれる周囲のスポーツバーに事前に放映の確認の電話したら、どこも口をそろえて「それがわかんないんだよ。許可がまだもらえないんだ。」 なんだそりゃ、いったいどーなってんだ、と思いながらネットにつないでUGを覗いてみると、どうやらいろんなとこで似たような問題が起こってる様子。ufc.tvにリストアップされている全米で10個くらいのバーだけが放映を許されて、その他の今までUFCを放映してた多くのスポーツバーが、今回放映できなくなってるみたい。俺のようにサテライトは持ってないけどネットはできる中途半端な貧乏人達が「何々州の◯◯では放映するぞ」みたいな情報を必死で交換してる。そのなかで、アナハイムにある某スポーツバーが、生中継は禁じられてるからできないけど、中継が終わる9時になったら録画テープを流してくれるという情報を見つけました。そこに電話で確認したら、そのとおりだとのこと。うーん、さすがたまにティトも遊びにくるバーだけのことはある。彼らが法の穴を突いてくれたおかげで、なんとか3時間遅れでテレビ観戦することができました。

そんなんでやっとありつけたUFC中継by新経営体制ですが、一目観ただけで、以前に比べて場内の雰囲気ががらっと変わったことに気付きました(会場そのものは前回と同じなんだけど)。なんかカラフルなライトをいっぱい使ってて、入場ゲートも豪華だし、その上にはでっかいビジョンもあってプロレスみたい。さらにオクタゴンも新しくなってるよう。まあ一言で言えば、前より金をかけてるってことです。

第一試合。 ボビー・ホフマン(1R3、4分、KO)マーク・ロビンソン

なんか選手入場時の紹介クリップまで凝っています。なんか青とピンクのディスコの照明みたいなのに照らされる中で、ホフマンがシャドーボクシングをしたり、赤いライトで照らされる中で意気込みを語ったりする姿が、短いカットで音楽に乗ってかわるがわる出てくるやつ。それはともかく試合。スモー世界王者ロビンソン(以前この会場で優勝したらしい)がスモーでホフマンを金網まで寄り切ってそのまま数分。そろそろ飽きた、水入りにしてくれ、と思った頃にホフマンの前腕打ち(というか右ヒジ)が至近距離から炸裂して一発KO。これはジェレミーに教えてもらった技だそうです。

第二試合。 エルヴィス・シノシック(1R3分くらい、三角アームバー)ジェレミー・ホーン

ホフマンのとまったく同じフォーマットの紹介クリップがこの二人にもつくられてる。青とピンクのディスコ照明+赤いライトのやつ。前言撤回。意外に金かけてませんね。(このあと、メイン以外全ての選手のクリップが同じ形式でした。また、セミまでは全部おなじいつもの入場曲。)この試合、ジェレミーのボディーブロー連打を捕まえてかんぬきに取ったエルヴィスが引き込み。インサイドになったジェレミーは背筋を伸ばさず慎重に密着、あまりパスを狙わず上から殴り、エルヴィスも返す。そんなこんなしてるうちに、エルヴィスがジェレミーの両腕を両足で挟み込んでのハイガードに。そのままジェレミーの両腕をはさみこんだまま、足を三角にフックし、片腕を取ってのアームバー。誰もがびっくりのジェレミー一本負け。でも当のジェレミーは、最初からエルヴィスの寝技の強さを知っていて、スタンドで勝負したかった模様。確かにグラウンドに持ち込まれてからはずっと消極的だった。UG常連で自分でもパソコンおたくと名乗るエルヴィスはインタビューでネット友達に感謝の言葉。でもどっちかっていうと、こっちのパソコンおたくには、ジェレミーみたいな風貌の・奴が多いと思う。

第三試合 ペドロ・ヒーゾ(2R 3,4分 KO) ジョルジュ・バーネット

「UFCのロック様」ヒーゾvs「童顔(かつ幼児体型)の殺し屋」バーの対戦は、場内大熱狂の大打撃戦になりました。ヒーゾはともかくとして、タイツから腹の肉が数センチ垂れているバーの打撃が細かく鋭いのにびっくり。特に、右の送り突き(俺がやってた空手の流派ではそう呼んだんですよ。後足を前に踏み込むと同時に、同じほうの手で突く、ハメドとかが思いきり派手にやるやつ)で飛び込んでの一気に左右の連打がやたら速くて、何度かヒットしてた。ヒーゾもスバーンを2発で破壊した長いながいローや各種コンビネーションで真っ向から対抗。ほんと、めちゃくちゃおもしろかった。最後はヒーゾの右スイングがテンプルに当たりバーがふらついたところに、狙い済ました長い右ストレートがアゴをすこーんと打ち抜きました。

第四試合 ファビアノ・イハ (1R1分くらい、十字)フィル・ジョーンズ

こりゃ体格違い過ぎ。体力差でテイクダウンしたイハが、サイドから、フィルの向こう側の腕を抱えて肩を使って延ばして、頭の方から回って十字。

第五試合 バンタム級王座決定戦 ジェンズ・パルヴァー(5R判定 3-0) 宇野 薫

この試合からテーマ曲が各自のものに。宇野はギ&白帯で登場、これからNHBを闘うとは到底信じられないような澄んだ表情でオクタゴンに入り、ふわーと仰向けに。さまざまな暴力と欲望が交差する混沌のオクタゴンに突然、根本的に異質なものが入ってきた感じ。対するパルの方は完全な臨戦体勢、いっちゃってる表情で入場。こっちが普通なんですけどね。

この試合であったことはとても全部は書き切れないんだけど、緊張感あふれるすごいいい試合だったと思います。両者ともに25分間、集中力もスピードもほとんど衰えずに闘った。宇野はパルの殺人フックの嵐をかいくぐり続けたし、パルも宇野のしつこいしつこいタックルからのグラウンド狙いを、最後まで振り切り続けた。

パルの作戦は、徹底的にタックルを切ってグラウンドを避けて、切り札の左フックで勝負するというもの。対する宇野は、パルのフック連打に合わせてのタックルからグランド狙い。1Rにはずばりのタイミングで両足タックルを決め、バックからチョークに入りかけたけど、パルに立ち上がられておんぶ状態になり、さらに腕を力でひきはがされて逃げられてしまいました。その後も宇野は、切られても切られてもしつこく片足を取りにいくものの、結局パルに逃げられてしまいます。パルは身体の力がずばぬけて強いだけでなく、グラウンドでの逃げ方をよく研究してたのでしょう。宇野にバックを取られかけても、両足のフックはほとんど許さなかった。

また宇野はスタンドでも、軽いフットワークでスイッチを繰り返しながらロー、ハイ、後ろ回し等をおりまぜた多彩な打撃を見せてくれました。それでも、ほとんど左右フック一本槍(でもめちゃめちゃ鋭い)のパルにやや押し負けていた。ただ、宇野の左右のローは結構当たってたので、あと数ラウンドあったら効いてきて逆にKOできたかもしれない。

判定はドローとか宇野の勝ちとか付けた人もけっこう多いみたいだけど、俺の採点では1R 宇野、2Rパル、3Rドロー、4Rパル、5Rドローでパルの勝ち。全てのラウンドをどっちかに振り分けるなら、3Rはパルで、5Rはどっちにもつけられるのでやはりパルの勝ちです。タックルを切ったパルが、何度も上から殴ったのが印象点としてでかいです。試合後、パルはわんわん泣いていた。それだけ価値のある勝利でしたね。

メイン前、リングサイドにいるランデルマンのインタビューがあって、ミドル転向宣言と共に、ティトに喧嘩を打っていた。なんかティトが失礼な発言をしたとか。

第六試合 ティト・オーティズ(1R30秒くらい、KO) エヴァン・タナー

試合前、ティトの特別クリップが長々と流れる。ティトだけ入場シーンもやたら豪華。各色の照明とレーザー、スモークが焚かれる中、たっぷりと時間をかけて花道に立ってからの入場。俺は前の試合でどっと疲れてたこともあって、ティトって顔がガキデカ型だからあんまかっこよくないよなあ、とか思いながらぼけーとそれを見てたんですが、、、

試合が終わったときは、なにが起きたんだかよくわかりませんでした。組み付いてきたタナーを差し返したティトが、豪快に持ち上げて横に落としてサイド奪取、パンチ、、と思ったらレフェリーがあわてて止めに入って終了。タナーは完全に失神しています。ティトがグラウンドでパンチにいく前にすでにレフェリーが止めに入ろうとしていたので、おそらく叩き付けで失神したんだろうけど、別にそんなに頭から逆さまに落ちたわけでもないのに、と思ってスローを観ました。(今回のUFCは、ふんだんにきれいなスローを何度もリピートしてくれていてありがたかった)

それで分かったんだけど、ティトがタナーをサイドに投げて、タナーの体が水平にマットに落ちたときに、上から一緒に落ちてきたティトの額がタナーのアゴに思いきりヒットしてるんですね。つまりタナーは、ティトの額とマットの間でサンドイッチ状態でつぶされたんです。こりゃたまらん。ロックボトムより効く。タナーの腕の力が完全に抜けて落ちるのを見たビッグジョンがあわてて止めたときには、既に失神したタナーにさらに上からティトの顔面パンチが二発思いきり入ってました。それでもビッグジョンは、よくこんなに早く気付いたもんだと思う。

このティトの完全犯罪(いや、わざとじゃないだろうけど)に破壊され伸びているタナーの横で、ティトは驚喜し跳ね回り、道路工事をやったり雑巾がけをやったりして今までの苦労をアピールするパフォーマンス(後記:サクラリ氏よりあれは土掘り土ならしでは、との指摘あり。またUGでは「雪掘り&雪だるま作り」「墓掘り」「花植え」等の説も)。インタビューでもしゃべるしゃべる。次の相手は?の質問に「ジェレミーって言われてたけど、あれ、奴は今日一本負けじゃなかったっけ?」ととぼけて悪ガキぶりを披露。サクラバの名前も出してました。俺の観てたスポーツバーにはチームパニッシュメント関係もけっこういたので大歓声。それから、さっきティトに喧嘩を売っていたランデルマンは、なぜかティトを抱き抱えるように祝福してた。

まあ、そんな感じかな。今回新出発のUFC、相当ポイント高いですね。打撃対決、寝技対決、総合対決が全部はまった。最後の偶然の殺人フィニッシュもUFC的にはラッキーだったでしょう。テレビの演出面でもいろいろ進歩してるし。




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