阿部ちゃん引退マッチ!は…
■団体:Jd’
■日時:2001年2月10日
■会場:後楽園ホール
■書き手:凸ユーレイ(名前をクリックするとプロフィールの欄に飛びます)

 Jd'は丸1年ぶりです。この間、アストレスの始動、新人(裏アストレス?)のデビュー、なによりID4の結成があり、今日は阿部の引退がかかると。
 観客の入りは 800 人ぐらいかな。
 開始前にBSジャパンの放送席が紹介される。テレ東のアナウンサー、レディゴンの記者、女性タレントの3人。(名前まったく覚えていず)
 そして今日、坂井と闘う3人が挨拶。武藤「坂井さんを正規軍に戻させる」乱丸「阿部さんがここまで追い込まれたのは私たちにも責任があることを自覚してもっと頑張ります」丸山「皆さんも阿部さんを応援してください」。

第1試合
 ○おばっち飯塚、月丸(7:56ダイビングフットスタンプから)×西千明、山本千歳(ともに正規軍)
 西もロープ間を往復してのフットスタンプ、相手の腹の上での地団太を見せたのだが、最後はおばっちがコーナー最上段からのフットスタンプで西を破る。おばっちマイク「西、あなたも最上段からフットを打てるように頑張りなさい。小杉夕子のフットじゃなく西千明のフットにしなさいね」

第2試合 3人掛け各10分1本勝負 
 坂井澄江(ID4) vs 武藤裕代、乱丸、丸山美和(正規軍)
 ○坂井(4:25レフェリーストップ)×丸山
 ○坂井(9:49フィシャーマンズバスターから)×乱丸
 △坂井(10分時間切れ)△武藤
 正規軍側話し合って順番を決め、武藤が先発しかかるがID4セコンドのブラディーがマイクを握り「ちょっと待て!」「この試合を決めたのはアタシだ。順番もアタシが決める。(武藤に)お前が最初じゃ面白くないんだよ!はじめは、いちばん気持ちが出てる、丸山だ!次は乱丸、お前は最後だ!」やや不服そうな表情ではあるがおとなしくひきさがる武藤、客席から「なにか言い返せよ!」の野次が飛ぶ。
 となって1人目は元気な新人、丸山。スタートから逆さ押さえ込み、ボディアタックと勢いよく攻め込むが、坂井痛烈なボディスラム1発で返す。その後丸山はドロップックの連打、フライングクロスチョップの連打と攻め込むが坂井は特別な大技は使わず、受けては基本技で返す。丸山ミサイルキックを放つがたぶん受身を失敗したのだろう、着地と同時にヒジを押さえ泣き叫ぶ、即レフリーストップ。次の乱丸が登場してからもリング下で大事になっており、後の試合でも全くセコンドにつかず。たぶん脱臼以上はしているのでは。丸山残念。
 次は乱丸、蹴りを多用、試合半ばの逆エビもしつこく、ノーザンライトSPXなどで坂井を追い込み、意外な熱戦となる。坂井のムーンサルト、マットに一直線に突き刺さる雪崩式フランケンシュタイナーも返し、粘ったが、時間ぎりぎり、フィッシャーマンバスターに沈む。。
 3人目、デカイ武藤、疲れの見える坂井を押しまくる。逆エビ、カナディアンとアルゼンチンのバックブリーカー、坂井が飛びついてのいろいろなバリエーションでの回転エビを狙うのだが、組み止めてボムやバックブリーカーに持っていく。しかし決めきれず時間切れ。
 武藤マイクで「延長して下さい」そう言い終わるや否やまたもブラディーがマイクをひったくり坂井にマイクを渡す。坂井の発言の内容は以下

 ジャガーさん。会場のどこかで聞いておられますか。出てきて下さい。
 去年の4周年記念興行で、ライオネス飛鳥に「お前ら(当時のJd'正規軍)はジャガーさんの失敗作だ」と言われた。そのとき、私と藪下以外の選手はリング上で泣き、「これから頑張りますから応援して下さい」と言った。私と藪下は、自分たちのことを“失敗作”だとは思っていないから泣かなかったし「きっと見返してやる」と思ったが、リングの上で泣いた他の正規軍の選手は自分の事を“失敗作”だと認めているかのようで、不信感を抱いた。そして今、私、薮下、ブラディーさん、ファング、同じ気持ちを持つものとしてともに行動している。
 ジャガーさん、こんな私達の行動をどう思われますか? 自分のことを失敗作だと認めているような武藤と、もう1本、闘う必要があると思いますか?

 張り詰めた調子で、シリアスに訴えかける坂井。ジャガーが出てきて答える

 私は皆のことを失敗作だとは思っていない。あのとき泣いた子たちも、それを認めたから泣いたのではないと思っている。悔しさの涙かもしれないし。あなた達(ID4)はもう私からは巣立ったと思う、あなた達の行動はあなた達に任せているし認めている。しかし、今は好調で笑っているかもしれないが、いつか泣くときが来るかもしれない。今あの子たちは泣いているが、そのうち笑う日が来るかもしれない。今は選手寿命も長くなっているが、それは選手生活を終える時にはじめて、答えが出ることだ。

 ジャガーも非常に真剣に応える。ジャガー、そしてID4が退場したのち、武藤がマイクを握り「私に足りないものがなにか、探します。もう少し時間を下さい。必ず、坂井さんを正規軍に戻します」
 この試合だけでなく、場内の雰囲気は総じてID4の行動を支持し、発言にも賛意の声が多く、正規軍(特に武藤)へは叱咤の声が多かったのだが、この最後のマイクには暖かい拍手が。

第3試合 TWF世界タッグ選手権
 (王者)仮面天使ロゼッタ、○仮面天使フレイア(フリー)(11:46ジャパニーズレッグロールクラッチホールド)(挑戦者)SAYA、×KAZUKI(スーパーテラーズ)
 いちおうタイトルマッチなのだが、さほどの盛り上がりもなく、地味に終わる。
 南側客席で気分が悪くなった?お客さんを助けにぎょうぎょうしくヘルメットかぶった救急隊員が登場、担架まで持ちこまれていて、気が散らされてしまうというアクシデントもあったのだが、それを差し引いても… ロゼッタ、フレイアは、Jd'の登場人物になり切れず浮いている感じだし、SAYAもこんな目立たないことでいいのか?
 *:この時、担架で運ばれたのはブラディー選手の実母でした。後楽園大会観戦中、持病の心臓発作が起き、救急車で病院に運ばれたが帰らぬ人となりました。ご冥福をお祈り致します。(註:KANSENKI.NET)

第4試合 スパーリング5分
 大森彩乃 vs 柏田千秋(ともにアストレス)
 アストレス柏田、正式デビュー前のスパーリング。この試合のみ他のアストレス勢もセコンドにつく。柏田はジャージ姿、大森は水着、リングアナのコールも抑揚をつけず普通に名前を呼ぶ。
 内容は、大森がヘッドロックからテイクダウン、その後も首を取り続け、カメで耐える柏田こらえきれずうつぶせになり、それを返して大森がフォールに行くという動きが繰り返される。
 アマレスのような動きでもあるがフォールは全女式の押さえ込みで3カウント、柏田は2度フォールを奪われ、1度スリーパーでタップしている。いつもこういうスパーリングさせてるんですかジャガーさん? 面白いものを見ました。
 アストレス、プロレスは2年間限定、それをステップにアクション女優なりなんなりの活動をさせるということなんですが、そうした養成の部分だけをTVで紹介するというだけでなく、もっと連動させたかたち、例えば子供向け戦隊もののピンク色の隊員をアストレスが演じて、リング上と番組がクロスするとか、面白い事ができませんかね? 動きも(ま、今日のスパーしか見てないんだが(笑))けっこう力強い感じだったし、もちろんルックスとか含め素材は良いわけですから。

 ここまで、坂井の3人掛けが前半のヤマで、その他の試合は淡々と進み、メインの阿部ちゃん引退への静かな序曲なのかな?と思っていたが、次のセミは熱戦になりました。

第5試合
 ○藪下めぐみ、ザ・ブラディー(ID4)(17:12ヤブ十字リバース4)ドレイク森松、×黒姫(スーパーテラーズ)
 スーパーテラーズ組が、ラフ、連係で、藪下、ブラディー、再び藪下と、捕らえ続け前半を運ぶ。
 中盤、やはりスタミナが続かないのか、黒姫がつかまり始め、ヤブの腕十字、ブラディーのEXに苦しむ。
 黒姫反撃、コーナー最上段のブラディーにドラゴンスクリューから吉江式裏足4の字、さらに得意のダルマ式ジャーマンと畳み込む。
 ブラディーもドラゴンSPXを返し、藪下とダブルで最上段から雪崩式バックドロップ?リバースWリストアームサルト?、ピンチに森松飛び込みバットで敵2人を押さえ黒姫のコーナーからの回転アタックを呼び込むが自爆、足を強打した黒姫にヤブがグランドクロス2000?ナガタロック?みたいな複合関節技で勝利を得る。
 決着後、森松が2冠王藪下に「挑戦させろ」と迫る。「なぜお前なんだ? 他にもいるだろ、お前らの中で一番強い奴を決めろ」と返す藪下。で、翌日大阪のID4主催興行の“査定マッチ”スーパーテラーズ同門タッグマッチがその舞台となることに。
 たしかにこの試合での森松は、パワーファイトが力強かったのだが、はてさて。

第6試合 LSD2001/2001秒マッチ/阿部幸江負けたら即リストラ
 ×阿部幸江(正規軍)(2-3)○ファング鈴木(ID4)
 ×7:12ラ・マヒストラル○
 ×11:18胴絞めスリーパー○
 ○21:18変形ラ・マヒストラル×
 ○24:44リングアウト×
 ×29:43FJボム○
 LSDルール、新たに、3本先取した場合も、その選手の勝ちとなるルールが追加された。
 開始早々、ボディアタック系の技で飛びかかり勢いの良かった阿部だが、パワーのファングは動じず、あっさり1本目、なんと阿部の得意技ラ・マヒストラルで取ってしまう。
 2本目も、三角、スリーパーと締め技地獄に捕まってしまい、ファング取る。ここまでで10分少々。
 阿部は落とされてフラフラ、レフリー・トミー蘭は「2-0だよ、ファングが2本取ってるんだよ、大丈夫?」と観客にもわかりやすく大声で確認。この3本先取ルールが追加されたことで、2本とられた選手はカド番、勝敗のスリルが増した。とくに今日は引退がかかってるから… ぼくも半信半疑というか、半ば諦めの気持ちというか、たしかに阿部ちゃんもけっこうな歳だし、本当に家業のおそば屋さんを手伝って花嫁修行でもしたほうがいいのかも… とか複雑な感じでした。
 しかしここから阿部の反撃が。ミサイルキック、投げ捨てジャーマン、アストロシザース、とありったけを出し、執念で何度も何度も各種丸め込み技、最後は押しつぶし式のラマヒで3本目を取り、4本目は場外乱闘で流血しながらも、チョークスラムに来るファングの腕を取りアームホイップに切り返して北側客席からフロアに叩きつけ、リングアウトで取る。
 いよいよ5本目、時間内(2001秒=33分21秒なのであと数分)に取った方が勝ち。… やはり地力で優っていたのはファングだった。バックドロップ、パイルドライバー、大外刈り。何度も「もうダメだろう」というフォールを跳ね返した阿部だったが、トドメの何発目かの大外刈りを返せず。…
 「2本取られるとは思わなかった。よく頑張ったな。でも結果は結果だから」と、勝手に10カウントゴングを打ち鳴らし始めるファング、止めようとするが返り討ちにあうおばっち、そこへ入ってきた大柄な男、卯木だ!「阿部の引退は阿部が決める!」と叫び、グッタリしている阿部を抱いて控え室へ!ファング「阿部、明日のNGKの自主興行に来い!」
 つまり、当初阿部は出場予定ではなかった11日大阪のID4自主興行に結論は持ち越されたようです。…

 10数分過ぎにはもう絶体絶命のところに追い詰められ、やっぱりハラハラはしたし、その後よく盛り返した、とも思うし良い試合だったとは思うんですが… これまでの経緯を雑誌でしか知らずこの試合だけを点で見たぼくには、阿部に「どうしても勝ってやる」とか、いろいろな悔しさとか、ほとばしるような感情(それこそ坂井が指摘したような!)が見えなかったように思います。正規軍のセコンド陣の必死の応援ぶりはよく伝わってきたのに… 3本目を取った直後、大喜びして敵に背を向けバンザイしていて襲われた場面にもそれが現われていたような。1本返したって絶体絶命には変わりなかったのに。ぼくも、成り行き上とはいえ引退を賭けざるを得ないところまで追い詰められた選手の気持ちを想像して応援しようと思っていたのに、前述したような中途半端な気持ちになってしまいました。声援も、やはりID4側寄りのものが多かった、阿部ファンは静かだった。阿部に対する不安、諦念が現われているようでもあり、しかし阿部が取り返すと静かだが熱いしっかりとした拍手が起こる、そのファンの気持ちをJd'さん大切にして下さいね。

 ということで、ドラマは“つづく”になったのですが、翌日は大阪ですからねえ(チケット代込み 14,000 円、オトクな観戦ツアーもあったみたいですが)。やっぱりTV向けの物語なのでしょう。ID4絡みのみならず、アストレスの展開もTVが不可欠、しかしBSしかもテレ東系だしなぁ、どうなんだろ。
 試合はやっぱりID4絡みが面白いし、たぶんそれを意図しての事だと思うが、力が格段に上の集団ができたことで、丸山、乱丸、武藤、森松と対抗する選手たちを引き上げる効果が、いままでの集団抗争よりも分かりやすい形で現われつつあると思う。正規軍も頼るべきエースを失ってはじめて火が着いた。
 そういう意味をふくめて、第2試合終了後の坂井とジャガーのやり取りは、ID4の行動の理由・必然性をはっきりと示し、リアリティにあふれ、とても良かったと思います。




本稿の著作権はすべてKANSENKI.NET及び「書き手」に帰属します。

戻る
TOPへ