1・28全日本東京ドーム大会
■団体:全日本
■日時:2001年1月28日
■会場:後楽園ホール
■書き手:タカハシ(名前をクリックするとプロフィールの欄に飛びます)

分裂後初めての全日本プロレスは招待券での観戦となった。ラインアップからはとても
金払って見に行く気になれず、「コロッセオ」のチケットプレゼントに応募したところ
見事当たり、タダ観戦できる事となった。
タダというところから自分でも200%好意的に見るんだろうなぁ、と考えてはいたが
不思議なもので観戦後・・・というかハンセンの引退セレモニーの頃には、金を払わず
にこの場にいた事を後悔していたほどだった。
昨年末の闘龍門後楽園大会でもそう感じたが、やはりプロレスは見終わったら幸せな
気分で会場を後にしたい。
大会場の興行では久しぶりに味わえたこの気持ちを少しでも伝えられれば、と思う。

▽第1試合 13人参加時間差バトルロイヤル
 <出場順>
1・相島勇人(世界のプロレス)、2・愚乱・浪花、3・土方隆司(バトラーツ)、
4・平井伸和、5・神田裕之&望月享&D・ドラゴン(闘龍門)、6・TARU
(闘龍門)、7・D・クロファット、8・SHINOBI(VAMOS)、
9・水前寺狂士郎(世界のプロレス)、10・堀口元気(闘龍門)、
11・S・市川(闘龍門)

そもそもバトルロイヤルはあまり好きな試合形式ではなく、記憶に残るものはガイアの
コメディータッチの試合くらい。あとは数年前の全日本での小橋と川田だけがシャカ
リキになって戦っていた新春バトルロイヤル(そのシーン意外は全く記憶にないが)
くらいなものだ。
今回は参加選手は入場曲で判明するという形式のため、試合そのものよりもビッグ
(とは言わないが)サプライズが期待されていたと思う。当たり前だが大物は入らない
以上沸かせられる曲を入場曲とする選手の登場が期待された。特にトップが重要だと
考えていたのだが、マグナムTOKYOどころか自分には読み方もわからない相島
(あいじま)の入場となる。2番目が浪速でこれは少し盛り上がったかな?
とにかく全く知らない選手が多いため、フォローのしようがないが闘龍門の選手だけは
入場と得意のスポットで沸かせていた。中でも一番の歓声を浴びたのは多分全日初登場
となる堀口元気のトペコンだったが、それはあくまで技での話。
ショースティーラーならぬマッチスティーラーは何と言ってもストーカー市川に他なら
ない。後ろの席の推定5歳児もブラックデビルなぞ知らないはずなのに、その動きの
ひとつひとつに大喜びして瞬殺された後は退場というルールを知らないので「あの弱い
のは?」とお父さんに何度も聞いていた。
試合は一番の大物であるダニー・クロファットが優勝したが、できればマグナムや三四
郎といった曲で沸かせられる(しかも安い!)選手をもう2人ほど入れて欲しかった。


▽第2試合 タッグマッチ(30分1本勝負)
藤原 喜明、荒谷 信孝 対 K・ドク、奥村 茂雄

むかぁし、「40代独特のたたずまいを見せてくれそうな選手は誰がいるか?」という
話になり、越中しか名前が挙がらなかった事があるのを思い出した。
この試合は藤原、ドクといった50代の選手独特の何かを感じられれば・・・と思って
いたが、残念ながら30前後のバリバリの(ハズの)選手が飲み込まれていく姿をただ
見るだけだった。荒谷はもう少しシェイプした方がまだ持ち味が出せると思うのだが。


▽第3試合 タッグマッチ(30分1本勝負)
M・マスカラス、E・H・D・サント 対 A・H・デラムエルテ、B・パンテル

名曲「スカイハイ」を聞いて初めてドームに相応しいスターが!と思った。この曲が
マスカラスの延命にかなり貢献した事は誰も否定できないと思う。入場の際方向を間違
えてくれたおかげで正面からコスチュームを見る事ができたのはラッキーだった。
WAR登場時「一回飛ぶごとにボーナスとして加金される契約らしい」という噂話を
聞いた事があるが、今回も飛びまくりオールドファンを喜ばせた。パートナーのサント
も聖者2世にふさわしい動きで会場を盛り上げたが、できればいつの日かSUWAと
戦って日本での評価を確固たるものにして欲しい。
それにしても50代が4人、60代が2人と平均年令が軽く40は越えそうなスゴい
ラインアップだ。そしてそれぞれが皆元気だというのもまた素晴らしい。
マスカラスが退場時ベンチ前でデストロイヤーを招き寄せ、抱き合いお互いに手を
取り合う姿は、2人の全盛期を活字と写真でしか知らない自分にもグッと来るものが
あった。


▽第4試合 タッグマッチ(30分1本勝負)
垣原 賢人、長井 満也 対 A・大塚、M・ヨネ

対ヘンゾ戦での入場時に「UWFのテーマ」を使った田村には「反則だよぉ」(でも
嬉しそう)なカブさんがこの2人が使う事に対しての評価は「これこそ前田が泣いてる
ぞ、ですよ!」。長井のプロレス(まぁリングスからKー1、プライドまでプロレスと
して見ている自分が言うのも何だが)の試合を見るのは初めてなので、ちょっと興味を
そそられたが、ショー船木が見せたような巧さが感じられず、「あぁ、ロープ振ったり
とかもするんだ」という位の感想しか持てなかった。
ただ長井はかなり良くなってきているとの評価もあるので、これだけで判断するのは
辞めておこう。元U系も含めて格闘家のプロレスラーへのシフトチェンジにバトラーツ
はかなり有効な場ではないかな、と思った。垣原もどう?


▽第5試合 6人タッグマッチ(30分1本勝負)
J・スミス、J・スティール、G・ハインズ 対 
M・ロトンド、C・ヘニング、B・ウインダム

レギュラー外国人トリオ対80年代の超大物外国人トリオの対決は懐かしい「ミスター
パーフェクトのテーマ」から始まった。対するレギュラー組は「スピード2」だが、
最近のファンにとってはデルフィンの曲と桜庭の曲という感じなんだろうな。
直前でケンドールからバリーに変更になったが、何しろケンドールの名前を日本のファ
ンに焼き付けたのは例の「ニセ札偽造事件」なので、自分的には歓迎される変更だ。
このチームがもしロトンドの代わりにバックランドなら元AWA、NWA、WWF王者
の揃いぶみ。故ボビー・ダンカンJRならテキサスレッドネックス(もしくは2世レス
ラートリオ)。ヘニングが抜けたらUSエキスプレスの再結成とマニアにはたまらない
3人だが、全員ひと昔前の職人タイプレスラーというのもちょっと興味深い。
試合は世界タッグ王者のスミスが一人イキの良さを感じさせつつ、最後は会場人気の
高いハインズではなく、客を引かせまくったスティールがティルト・スラムで勝利。
馬場さんはウィンダムを全米で5本の指に入る選手と評価してたんだけどなぁ・・・。


▽第6試合 シングルマッチ(30分1本勝負)
渕 正信 対 獣神サンダー・ライガー

次は正真正銘、文句なしの夢のカード。まぁ5年前ならね、という言葉には聞こえない
フリをするしかないが、もし全日本が分裂せずこの日新日本との対抗戦があったとして
も、実現されるかはともかく間違いなく候補として挙げられた事だろう。
全日本の#2として負けるわけにはいかないだろうと考えていたが、今は#4に落ち着
いた故かバックドロップ3連発のあとに余裕をかましていたら、ラ・マヒストラルで
ピンフォール負け。カウントが早かった部分もあり、ファンやセコンドは結構ヒート
していたが、渕自身は淡々とライガーに握手を求め、逆にライガーに拒絶されていた。
札幌での再戦も噂されているが、金本のようなハチャメチャなタイプとの試合を渕には
期待したい。


▽第7試合 ジャイアント馬場三回忌追悼特別試合(60分1本勝負)
T・ファンク、大仁田 厚 対 A・T・ブッチャー、G・キマラ

追悼特別試合として選ばれたカードだが、シークのイメージでキマラの代わりにサブゥ
ーが入っていたとしたら、4人ともが馬場さんから拒絶された同士という違う意味でも
スゴい組み合わせだったのでちょっと残念。お目当ては久しぶりのテリーとブッチャー
の絡みだが、なにげに大仁田とブッチャーの絡みも夢の組み合わせだ。
ファンの目当てがテリーとの対決という事を理解していた事もあるのだろうが、今や
ディファや後楽園で細々と試合を行う大仁田では、今後の展開も期待できないという
ブッチャー独特の計算高さのような気もする。
それでも大仁田がブッチャーに(テリーの救出を目的では決してなく)、必死になって
食らいついていく姿はある種の微笑ましささえあった。
ふとビジョンを見ると血みどろのテリーとブッチャーという、自分のプロレスの原体験
の映像。そしてその横には「王道新世紀2001」の文字が。この組み合わせの余りの
キッチュさに試合中にも係わらず腹を抱えて笑ってしまった。
残念ながらブッチャーの毒針、大仁田とテリーのWエルボーといった期待したシーンは
見られなかったが、ブレーキの壊れた今の全日本なら武道館での再戦もありそうだ。
その時こそキマラの代わりにサブゥーを!
問題はそうなるとまともに歩ける選手がいなくなる事なんだよなぁ・・・。

 
 <スタン・ハンセン 引退セレモニー>

長い休憩のあとはハンセンの引退セレモニー。晩年のハンセンに関する最後の記憶は
ベイダーと組んでの小橋・秋山組との最強タッグ決勝戦。久しぶりに見る小橋との
対戦に胸が熱くなったのを思い出した。
ボックやブッチャー、馬場との異色タッグ。タッグながら実現したブローディとの夢
対決。未だに外国人対決の最高峰として語り継がれる田園コロシアムでのアンドレ戦。
数々の夢をファンに与えてくれたハンセンの引退式が東京ドームで行われ、不安だった
動員もエリア外の外野席を除けばほぼ満員と、最も知られ愛された外国人選手を送るの
にふさわしい舞台を用意できたのはファンとして心から喜びたい。
直前にヒザを人工関節にしたと聞いていたので、歩いてリングに登場する姿を見られた
事にまず安心させられた。
次々と記念品が各社から贈られ(流石に紙プロからはなかったが)ピート・ロバーツや
ロード・ブレアースといったゲストの中に小橋らの姿がなかったのは仕方ないが、
アンドレ、ブローディといった盟友亡き今、不思議と物足りなさは感じられなかった。
10カウントゴング前にリングを降りようとしたり、挨拶の後リングから降りる際の
最後のコールにロングホーンをしなかったところにスタン・ハンセンというレスラーが
とっくに完結している事を感じさせられた。
こうして考えてみるとブローディの死は彼の伝説の幕引きとして最もふさわしく、ハン
センもまた相応しい幕引きであったと言えると思う。


▽第8試合 シングルマッチ(30分1本勝負)
S・ウイリアムス 対 M・バートン

セレモニーの後にこのカードを持ってきている事から何かしらの意味を読み取ろうと
したが、残念ながら相変わらずウィリアムスがトップである事を告知するだけの試合
だった。どうせならエース・バートン対ウィリアムス・ロトンド組にでもして欲しかっ
たが、それが無理ならせめて「幻のフォール」だけでも辞めてくれ・・・。


▽第9試合 シングルマッチ(60分1本勝負)
太陽 ケア 対 武藤 敬司

ゴングが鳴り、ロープを使ってその躍動感をパフォームしたほんの10秒足らずで観客
を掴んでしまった武藤。ケア相手にドームのセミらしい試合をいかに作ってみせるかに
注目したが、結果としては5万人以上の会場限定使用のムーンサルトも側転エルボーも
使わずにドラゴンスクリューからの4の字での勝利。
試合終了後すぐ入場通路に健介ファンの緑のノボリが雨後の竹の子のように現れる。
せめて選手が退場してからにしろよ・・・と思ったが、武藤もそのノボリに気づいた後
はその方向に見向きもしなかったのは可笑しかった。


▽第10試合 タッグマッチ(60分1本勝負)
天龍 源一郎、馳 浩 対 川田 利明、佐々木 健介

IWGP王者と三冠王者の歴史的対決・・・のはずなのだが、その組み合わせが最も
新鮮味のない絡みというのも皮肉な話だ。このメンツなら馳健対天龍・川田の方がまだ
ベターと思う(馳健対決に思い入れがないので)がそうなると対決のイメージが益々
希薄になるという事もあるのかもしれない。
試合は天龍組がスムーズな連携を見せ、逆に川田組の方が合体プレーを見せるという
意外さが試合を引き立て、最後は川田のパワーボムで決着。
何故か他団体の選手である健介がマイクを握り、「オレたちの時代だ」宣言。
そう言えば馬場さんがこのセリフを聞いて「こんなヤツ(長州)に任せたらエラい事に
なる」と思ったというエピソードを思い出した。
「おい馳!お前とも組むぞ、コラ!」と何がコラなんだか良くわからない、いかにも
健介なセリフでこのハチャメチャで、それでいてある種の調和のある全日本のドーム
大会が締められる事となった。
それにしてもこれだけ雑多なテーマ曲の数々を、一夜にして聞く機会はもう二度とない
だろう。それだけでもプロレスファンとして至福の時を過ごしたと言える素晴らしく、
そして何より不思議な興行だった。


 <全試合結果>

▽第10試合 タッグマッチ(60分1本勝負)
天龍 源一郎 ×馳 浩 <エビ固め 23分48秒> 川田 利明○ 佐々木 健介

▽第9試合 シングルマッチ(60分1本勝負)
×太陽 ケア <足4の字固め 18分43秒> 武藤 敬司○

▽第8試合 シングルマッチ(30分1本勝負)
○スティーブ・ウイリアムス <片エビ固め 14分47秒> マイク・バートン×
 
スタン・ハンセン 引退セレモニー

▽第7試合 ジャイアント馬場三回忌追悼特別試合(60分1本勝負)
○テリー・ファンク 大仁田 厚 <回転足首固め 8分26秒>
アブドーラ・ザ・ブッチャー ジャイアント・キマラ×

▽第6試合 シングルマッチ(30分1本勝負)
×渕 正信 <横回転式エビ固め 18分4秒> 獣神サンダー・ライガー○

▽第5試合 6人タッグマッチ(30分1本勝負)
ジョニー・スミス ○ジム・スティール ジョージ・ハインズ
<片エビ固め 15分22秒>
マイク・ロトンド カート・ヘニング バリー・ウインダム×

▽第4試合 タッグマッチ(30分1本勝負)
垣原 賢人 ○長井 満也 <飛びつき腕ひしぎ逆十字 11分39秒>
アレクサンダー大塚 モハメド・ヨネ×
 
▽第3試合 タッグマッチ(30分1本勝負)
○ミル・マスカラス エル・イホ・デル・サント <回転エビ固め 13分4秒> 
アルカン・ヘル・デラムエルテ ×ブルー・パンテル

▽第2試合 タッグマッチ(30分1本勝負)
藤原 喜明 ×荒谷 信孝 <片エビ固め 14分33秒> キム・ドク○ 奥村 茂雄

▽第1試合 13人参加時間差バトルロイヤル
○D・クロファット <片エビ固め 26分14秒> 相島勇人×




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