浮沈艦最後の日に、全日オールドタイマーが狂い咲き!?
■団体:全日本
■日時:2001年1月28日
■会場:東京ドーム
■書き手:どす八

分裂前には熱心に通っていた自分が、分裂後にはどうも会場に足が向かなくなり、
本日の大会で分裂後に会場に訪れたのは僅か2回目という体たらくの自分。

前回(タダ券)で特リンから観戦した、世界最強タッグ2000最終戦@日本武道館
大会では、あんまりなレベルの試合の連発の前に、「ここは全日本プロレスの会場
じゃなくて、昔全日本プロレスでばりばりやってた川田がいるマイナー団体なんだな」と
思うことで自分を説得するしかなかった苦い記憶。

当然、そんなとんでもない試合を見せられた以上、全日の会場に2度と足を運ぶ事は
無いだろうと思っていたんですが、愛しのハンセンの引退記念興行のタダ券が貰える
ことになったので、なし崩し的に東京ドームへと足を運んでしまった。

13:00、水道橋駅到着。
まだ試合開始まで2時間はあるが、ハンセンの引退式に立ち会う以上は身を清める
必要があろうと気が付いたので、床屋に行くため早く訪れたのだ。
そのまま水道橋駅西口付近の床屋にて散髪を敢行。

14:20、床屋から出る。
僅か1000円弱の良心的な価格でこざっぱりとした風貌に変貌した自分に
満足しつつ、友人と合流。そのままドームへと直行し席に着く。
この時点で試合開始時間までは20分程あったが、その事を差し引いても場内は
寒々しい程の入りで不安な気分になる。

この間の武道館もこんな感じであったろうかと思いつつも、別行動だった知人達との
合流を待つが、結局彼らは一人を除いて全員来ないまま第1試合開始の時間となってしまう。


第1試合 時間差バトルロイヤル(13人出場)
*入場曲がかかるまで、出場選手がわからない形式

○D・クロファット(片エビ固め26分14秒)相島 勇人×

予想できる出場選手の内容から最初から期待はしていなかったが、
全日の悪弊とも言える手際の悪さも手伝ってか予想を上回る程の辛い試合に。

全員参加の数珠繋ぎスリーパー等の「お約束ムーブ」を除き、特筆するような場面は
特に見られなかったので試合内容の詳細は割愛しますが、この試合形式で盛り上る為には、

・出場選手に関して、それぞれの選手間の因縁関係を客が把握している。
 また、入場曲がかかった時点で、その選手が誰だか客が把握できる。
・あっと驚くような、隠し球的選手の存在

といった条件を満たす必要があると思うんですが、この試合に関しては
その条件を微塵も満たす事ができなかったので、新たな選手が登場するたびに
客席からは「あの選手は誰?」といった声が漏れる参上を呈してしまい、
結果として客はいきなり冷えまくりに。

個人的には、お気に入りのM2Kのメンバーや、最後に登場したストーカー市川が
必死に場を盛り上げようとしていた姿に救われるものがあったんですが、若手のリングアナが
M2Kのメンバーのみコールするのを忘れていたのは勘弁していただきたいところですな。
(この後もこのリングアナはコールをミスる事が多く興醒めの感強し)

最後は、出ずっぱりだった相島をクロファットがコブラクラッチ・スープレックスで
仕留めて優勝でした。


第2試合 藤原 喜明 ×荒谷 信孝(14分33秒 片エビ固め)○キム・ドク 奥村 茂雄

第1試合で冷えた客も、藤原の入場でちょっと沸く。
ただ、試合開始するとまた冷めてしまう。(一部の客がキム・ドクに熱い声援を送っていた)

試合内容自体も特に見るべきものは無かったが、もう50近いと思われるドクの方が
荒谷よりも動きが鋭いのはどうした訳なんでしょうかっていうか、荒谷はどうしようもないですな。

最後は、ドクがその荒谷をツームストン一発でピン。
藤原と奥村はボチボチのお仕事ぶりでした。

そういえば、この試合終了時に周りを見渡してみると、自分以外のメンツがほぼ全員熟睡
していたので、一人一人優しいパンチで起こす。

第3試合 マスカラス ○サント(13分40秒 回転エビ固め)×ムエルテ パンテル

さて、本日の目玉の一つ、マスカラスの引退試合・・・じゃなくて、
1度は元子女史により切り捨てられたマスカラス全日本復帰試合。

試合は、いくらなんでも年を食い過ぎているマスカラスと、ちゃんと動ける年齢の
サントが出ている時では明らかに一つ一つのムーブのクオリティーに差が出てしまうという
辛い面はあったものの、定番のクロスチョップだけでなく場外へのプランチャ(相手チームの
2人がかりで丁重に受けとめる)もあったので場内はそれなりに沸く。

最後は、サントが回転エビで固め、相手がカットに来るところにマスカラスがダイビング・
ボディアタックで止めるというお約束なムーブでピンフォール勝ちでしたが、
そこかしこにベーシックなルチャの動きが見られた試合で、個人的にはかなり楽しめた一戦。

また、試合後には引き上げるマスカラスの元にかってのライバルであるデストロイヤーが
駆け寄っていき祝福するシーンがあり、そこでまた会場が沸く。
…思えば、キム・ドク(タイガー戸口)からマスカラス、そしてデストロイヤー登場と来た
この時点で、この日の興行における偏りが発生し始めていたのか…。

第4試合 垣原 賢人 ○長井 満也(13分40秒 飛びつき逆十字)A・大塚 ×モハメド・ヨネ

個人的には、一見して辛いマッチメークの多い試合の続くこの日の試合の中で
期待を持っていた一番だったのだが、結果から言えば期待を裏切る辛い内容となってしまった。

その原動力(?)となっていたのが、カッキーとアレクの攻防で、それなりの小さいハコなら
なんとか受け入れられそうな細かいグラウンドの攻防をこの馬鹿でかいハコでやってしまい、
いきなり客席を冷え込ませてしまう。

ならばと、バチバチの打撃戦で楽しませてくれるであろう長井とヨネの組み合わせに
期待したのだがどうも長井のコンディションが悪いのか、本来連発で繰り出されるはずの
ミドルキック我慢比べ等の攻防もブツ切れのテンポとなってしまいますます辛い試合に。

結局、試合自体は、長井の高角度ジャーマン連発でそれなりに沸いた後、
飛びつき式の腕ひしぎでやや唐突に試合終了。
最近調子が落ちる一方のアレク、結局何をしたいのかわからないカッキーがメインに
据えられた試合に期待してしまった自分が悪いのかもしれないが、このメンツなら
もう少し沸く試合ができたはずなんだが…。誰も試合を引っ張れないのがまずいのか。

あと、今日も豪快なやられっぷりを見せていたヨネも大食いの効果で知名度は十二分に
なってきたんだから、そろそろ適当な負け役から脱却しても良い頃だと思うんだが。
個人的にはヨネの豪快な受けと挙動不審な細かい動きが好きなんで、
今後の奮起を期待。

第5試合 スミス ○スティール ハインズ(15分22秒 片エビ固め)
                    ロトンド ヘニング ×バリー・ウインダム

やっと前半戦最後の試合という所で、既にだれまくった客を
そのまま引き続きだれさせる試合に。
カート・ヘニングを生で見れたことだけが収穫ですな。

ただ、

・普通ならカットしてはいけないはずの、ヘニングの決め技パーフェクト・プレックス
 (フィッシャーマンズ・スープレックス)を、スティールがあっさりとカット
・この後に登場するテリーの得意技であるスピニング・トゥーホールドを
 ハインズが使ってしまう

といった所で個人的には楽しめました。
最後は、スティールの途中で腰砕けになったターボドロップII(ロープに振らない方)で
バリー・ウインダム(ケンドールが登場予定も、怪我で入れ替わり出場)をピンして終了。
スミスは殆ど何もせず、残念。

第6試合 ×渕 正信(18分4秒ラ・マヒストラル)○ライガー

5年くらい前ならなあ…と思わざるをえないカードだったものの、
蓋を開けて見ればそれなりの好勝負に。

先に入場したライガーに続き、圧倒的なコールに乗り渕が登場。
馳に皮肉られていた出っ張った下腹も(心なしか)引き締まっているように見え、
俄かに自分の期待度も急上昇(笑)する中で試合開始。

いきなり現在の決め技であるフェースロックを連続で仕掛け、その後も定番の拷問技や
ネチネチしたグラウンドテクニックでライガーを痛めつける渕。

合間に挟まれるライガーの反撃や、自分のスタミナ切れ等の不安もものともせず、
かって不動の王座に着いていた頃を思い出させる鋭いバックドロップ!を繰り出すと、
走りこんでの掌打での反撃に出ようとするライガーにカウンターのハイキック連打!
そして再び鋭いバックドロップ!そしてそこからかっての必勝パターンであるバック
ドロップ連打!そしてこれまたかっての勇姿を思い出させる不適な笑いつきの握りこぶし
アピール!

この渕の勇姿を目の当たりにした自分が、これは「ジュニアの魔豹」復活ですかな?
とか期待を膨らませすぎになっている目の前で、さらにトドメとばかりに3発目の
バックドロップからフォールに!しかしそれをカウント2で返されると、やはりというか
何というかここで渕は完全にガス欠になり表情も急に弱気に!(笑)

その後は、ライガーのジャーマン狙いを切り返しての延髄蹴りで意地を見せたものの、
最後はハンマースルー狙いを切り返されて、カニ挟み→マヒストラルのU・ドラゴンお得意の
ムーブでピンフォール負け。

うーん、この試合は一見、渕が復活を印象つけるような試合となったんですが、
もう1度よく考えてみるとライガーが、大分昔のトップ・オブ・ザ・スーパ ーJrの公式戦で
見せた試合運びに酷似しているような気がしました。

あの時は、確か決勝がデルフィンVSライガーでライガーが優勝したと思うんですが、
その時のライガーVSデルフィンの公式戦が今回と似たような感じで、散々デルフィンが
押しておいて、最後はライガーがクルリってな試合だったような。
まぁ、そんなことはどうでもいいんですが、やはりライガーとしては次に繋げたかったのかな?

<休憩>

15分のはずが、結局30分程になってしまう。
手際悪過ぎでますますだれる会場。


第7試合 ○テリー・ファンク 大仁田(8分26秒スピニング・トゥーホールド)ブッチャー ×キマラ

「ジャイアント馬場三回忌追悼特別試合」と銘打たれている割には、キマラを除いて出戻り組ばかりで
「追悼」とはいささか縁遠かったこの試合。
自分も全然この試合には期待していなかったんですが、やはり大仁田には大きなハコを
満足させる魅力があるのか熱い試合に。

まずは、名曲「スピニング・トゥーホールド」に乗ってテリーが登場すると、
いきなり会場沸きまくり。これはテリーとドリーのコントをやってたネプチューン効果なのかどうか。
続いて、大仁田がいつものあれにのって煙草を吸いながら登場すると、会場は大爆発。

そして、ゆったりとリングに上がった大仁田が、テリーに続きマイクアピール
(「俺は!このリングに16年ぶりに帰ってきた!」なんて内容でした)して、
会場は完全に大仁田ワールドに染まったところで、今度は「吹けよ風、呼べよ嵐」に乗って
ブッチャー組が登場。するといきなりブッチャーに突撃して行くテリー!
追悼試合なのに選手のコールすらなく開始のゴングが!(笑)

その後は、ブッチャーの凶器攻撃(フォーク?)でテリーが大流血してピンチに陥るものの、
テリーのおなじみのディスカス・パンチや、大仁田がキマラを投げきった雪崩式ブレーンバスターで
盛り返すと、最後は2度目のスピニング・トゥーホールドでキマラがタップし試合終了!
しかしその後は果てなき場外乱戦に突入!(笑)

5分ほど経ってようやく乱闘が集結すると、リングに戻ったテリーと大仁田がマイクで
締めてようやく完全に試合終了。
(テリーはこの団体は素晴らしいとかいったお決まりな内容で、大仁田は、
 「ワシがこの団体に上がるのを良くも思わないやつがいるかも知れんが、」とか
 「この団体は絶対に潰れん!」とかいった初期FMWチックなアピールでした)

いやー、リング上は血まみれ、客も大仁田劇場でもうお疲れになって、
この後の人は気の毒ですな、とか思ってたら次はハンセンの引退式です。
なんて無茶苦茶なマッチメイクなんだ元子女史(笑)


<スタン・ハンセン 引退セレモニー>
(ここだけちょっとおセンチに)

実に無難に進行していき、実に無難に進行していったように思えたこのセレモニー。
このセレモニーを見ていた自分は、きっと流すだろうと思っていた涙が出なかった。
それは何故だろう?と考えて見た。

それはやはり、スタン・ハンセンの戦歴を華麗に彩り、本来ならばこの場で
彼と熱い抱擁を交わしていなければいけないはずの、ジャイアント馬場、ジャンボ鶴田、
そして永遠の盟友、ブルーザー・ブロディらが既に鬼籍に入ってしまっていることも
あるのだろうが、やはり、この自分の胸に流れる寂寥感は、本来ならばこの場でハンセンに
対して最後の別れを告げ、もしかしたら浮沈艦の最後の一撃を浴びていたかもしれない
小橋健太ら(あえて以前の表記を用いさせていただきます)がいないことが原因なのであろうか?

個人的に思っていることとして、SWS発足時の選手大量離脱後に取り残された格好となった
三沢・川田・小橋らにとって、リング上で乗り越えなければならない強さの象徴、
大人への成長を遂げている子供にとっての父性というべき存在は、間違いなくこの
スタン・ハンセンであり、この父性超えに最も熱く取り組んだのが小橋健太であったと
考えているので、この父親的存在的であるハンセンの引退という舞台を子供(特に小橋健太)達が
全員で祝う事ができないのが残念で仕方が無いし、(分裂の是非や正当性はともかくとして)三沢陣営側も
元子女史側も非常に大きな罪を負ったと思う。

そして、ハンセンの魂を最も濃く継いだと自分が考えている小橋も、奇しくもハンセンと同じく
膝の故障により選手生命の危機に陥っており、さらには全日・ノアの関係によりこの件に関しての
オフィシャルな立場でのコメントを出すことは不可能であると思うが、どんな形でも構わないので
なんらかのハンセンへの言葉を残してもらえれば、老ハンセンにとっても、気が付けばカードを見た
時点でその日のブックの内容に思いを馳せてしまうような腐れファンと化した自分にも救いとなる
ような気がします。

話しが大分横道にそれてしまいましたが、スタン・ハンセン様には、
本当にご苦労様でした。自分を始めとする二十代のファンにとっては、貴方のウェスタン・ラリアットが
史上最強の必殺技であり続けるはずですっていうことを陳腐な送る言葉とさせていただきます。

第8試合 ○ウイリアムス(14分47秒片エビ固め)×バートン
第9試合 ×太陽ケア(18分43秒 足4の字固め)○武藤 敬司
第10試合 天龍 ×馳(23分48秒 エビ固め)○川田 利明 佐々木 健介

こっから先は、正直どうでもいい試合のオンパレードでした。

バートンは、相変わらずシングルではどうしようもない程の荒さを見せ敗退、
ケアは武藤の前にそれなりに見せ場を作りつつも順当に敗退、
メインは馳健のぶつかり合いでそれなりに盛り上りつつも、結局は現在の
自力で落ちてしまう馳が実に順当な敗北って感じでした。

結局の所、本日の大会で活躍(?)できたのはドクやマスカラスやテリーや大仁田等の今後の
上積み要素がまるで期待できないオールドタイマーばかりであり、本来なら次に繋がる興行で
無ければならないはずのこの大会の意義は無かったように思えます。
興行の締めが外様の健介のマイクで、川田は相変わらずの寡黙ぶりというのは
まじで勘弁して欲しいですわ。
(まぁ、先のある若手を大きくオーバーさせないっていうのは、大分昔の
 全日イズムと言ってしまえば終わりなんでしょうが)

個人的には、もう全日は自主興行はあきらめて、力道山メモリアルのように
年1ぐらいで興行を打つようにしてくれた方がありがたいんですが、元子女史の資金が
尽きるまではこのままいくんでしょうなあ。

*本日の主催者発表の入場者は58、700人ですが、いくらなんでもこりゃ無いです。
外野席全部潰してましたし、最高に入っていたと思われる時点でも8割5分〜9割ぐらいの
入りでした。(アリーナ席でも空席が消えずでした)




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