猪木祭
■団体:猪木祭(主催:毎日放送、大阪ドーム、後援:DSE)
■日時:2000年12月31日〜2001年1月1日
■会場:大阪ドーム
■書き手:凸ユーレイ(名前をクリックするとプロフィールの欄に飛びます)

 品川さんが掲示板で行なった速報で既にして充分という気もしますが(笑)用意してしまったので一応、投稿します。

 開始前6時ごろ、大阪ドーム4番ゲートに大仁田が来るという情報あり、それらしき車が地下駐車場に通じる道路を通るたび大騒ぎが。私は群集に煽られて右往左往するのは嫌いなのだが、一緒にいた友人が気を遣ってくれて「今度はアッチみたいですよ」と教えてくれるので、しかたなく少しだけ右往左往しました。結局大仁田、姿は見せたがあまりの大混乱ぶりに入場はできなかったらしい。他の友人は目の前でヤツを見たらしい。

 発表された4万2千何人かは、たぶん実数に近いだろう。外野席をツブしているが、設置客席は9割5分埋まり、グラウンドの分を外野に置き換えて考えると、定員が 48,000人ということだから。
 バックスクリーン前に大きな選手入場ゲートを設置、レーザー、スモークはもとより、花火もあり。スタンド最後尾うしろから2列目というすご〜く高い所からの観戦だったので、スコアボードのところのビジョンが見易かった(笑)。
 入場式、猪木挨拶のあと選手入場、小川とカシンが出てこなかったのはまあわかるが、武藤が出て来ない。その理由は後でわかる。

1.○藤原喜明(10分10秒、腹固め)×ジャスティン・マッコーリー
 組長に対するは、かつてパンクラスに参戦、猪木UFOと提携し堀田祐美子の特訓先でもおなじみのLAボクシングジム、マッコーリーの弟。
 レフリーはPRIDEの人。
 関節技のスパーをそのまま見せているようで、オープンフィンガーグローブを着けていないマッコーリー、パンチはもちろんキックも出さず、グラウンドムーブの合い間、上になってペチペチと撫でるような平手打ちを出し、その度客席から失笑が起こる。
 この日のルールが最後までわからなかったのだが、以降の試合を見ても、強い打撃は控えるように、とのことだったのでしょう。マッコーリー、練習の成果はボーアンドアローのみ。相手を持て余し気味に付き合っていた組長が唐突に頭突きから腹固めで勝ち。

2.○ザ・グレート・サスケ、松井大二郎(20分、ラ・マヒストラル)小路晃、×宇野薫
 サスケ組、松井もサスケマスクを被って入場。対する小路組、「スピニングトーホールド」に乗り宇野がサスケマスクで入場。
 レフリーはPRIDE島田。
 経験者の小路、慣れた動きのなかに意外な技(フライングクロスチョップ、ケブラーダなど)をとりまぜ、サスケとともに試合を引っ張る。たしかバトラーツで1,2度しか経験無いはずの松井も、相手2人へのダブルラリアット、側転エルボー、アルゼンチンバックブリーカーと、動きがダイナミックで良かった。
 しかしこの試合はなんと言っても宇野でしょう!中盤までプロレス技はドロップキックだけかと思っていたら、スワンダイブ式のエルボーアタック!ノーザンライトスープレックス!怪我するなよ…と心配してしまうほど。最後もサスケのサンダーファイアーほか、危ない角度の投げ技を再三返し(ムリすんなよ…)たがマヒストラルで敗れる。負け役まで…
 小路と、おそらく宇野もそうだと思いたいが、「プロレスが好き、プロレスしたい」という気持ちが感じられ、きちんと取り組んでいるようで、好印象が持てた。

3.○バス・ルッテン、アレクサンダー大塚(14分43秒、羽根折り固め)×佐野なおき、リコ・ロドリゲス
 アレク組「AOコーナー」で2人とも入場、ルッテンはバカ殿のヅラ+アイーン。この時点でややイヤな予感あり。
 レフリーPRIDEの人。
 序盤、ルッテンとリコがからむ組合せはやはりスパー、ダレる。
 リコは何が何だかわからないままリングに立ってしまったという印象。ルッテンも「プロレスなんてこんなもんだろ」と言わんばかりいい加減な、不正確な動き、前回し蹴り後ろ回し蹴りも当てようとしておらず弱く出す。仮に強い打撃が禁じられていたとしても、何か他のプロレスの動きにまじめに取り組むないしは禁止に構わずガンガン蹴るべきでは。こんなことじゃ生徒にプロレス教えられないぞルッテン。
 アレクと佐野が向き合った時のみ“らしく”なるが、アレクの試合後のコメント通り、他の2人を引っ張るまでにはいたらず、唐突にルッテンの羽根折り固め(蝶野型)で終了。

 ここまで、悪く言えばスパーリングの延長+プロレスごっこのようで、特に外国人勢は打撃を封じられ持ち味を消され、「こんな程度でいいだろう」と思ったかどうかは知らないが、はからずもプロレスの難しさを、これまた当人が自覚したかどうかは知らないが、見るものには知らしめることとなった。
 そのなかで第2試合は、真面目に取り組んでいて、ひとつの技をきれいに見せること、受ける時もきちんと受け、やられているのをアピールすること、の大事さを感じさせてくれた。

4.○橋本真也(9分4秒、片逆エビ固め)×ゲーリー・グッドリッジ
 レフリー新日の田山。
 GGはOFG着用、パンチをしばしば見せるがラッシュするわけでもなく、KOしようという感じじゃない。グラウンドではドン・フライ風パンチ。観戦中には知らず翌日の新聞で知ったのだが、この日、顔面パンチは禁止だったそうですね。そうだったとしても、UFOでは「お互いのプライドがルール」なわけだし(笑)GGの主武器はパンチなのだから、もっとブンブン振り回させないと。そうでなければ、それをしのいで勝ってこそ、橋本の凄みは引き出されないし、新生橋本は印象づけられないと思うのだが。
 そんな、ヌルく見えたパンチにもダウンさせられてしまった橋本。GGがまた、膝十字やボディスラムふうに抱えて落とすスタンプホールドなど、小器用にプロレスに適応、この試合に限ってはGGの巧さが緊迫感を殺ぐ方に働いてしまい、双方ともの凄みが感じられず、“そこそこ”の試合で終わってしまう。横で友人が「新日の格闘技戦みたい」と言ったが、その通りだった。

 ここで休憩、レスラー・挌闘家・芸能人・漫画家が「20世紀最高のレスラー・挌闘家」を答えるVがスクリーンに流れる。
 アナウンス通り15分きっかりで休憩終了、この点だけでなく今回の進行は大変手際が良く、どの試合も決着後のマイクアピールは無く、テキパキと選手がはけてゆく。12時の新世紀カウントダウンが滞り無いよう、事前に徹底されていたこともあるのだろうが、気持ち良かった。
 唯一、マイクアピールがあったのが次の試合。

5.○小川直也(1分38秒、チョーク、レフリーストップ)×安田忠夫
 安田「燃えよ荒鷲」で入場、してみるとコレは坂口−小川の代理戦争でもあったのか。小川は「ギャラクシーエクスプレス」で。
 レフリー新日田山。
 開始直後安田が突っ張りでコーナーに追い詰め、ダウンした小川にストンピングの嵐!この日の安田は良かった。
 しかしすぐにパンチ連打で反撃され棒立ちに、1分あまりチョークで小川快勝。
 試合後セコンド陣小川側村上、安田側」新日の若手を混じえてやっぱり乱闘に、橋本も控え室から登場、上半身裸になり臨戦体勢、だが、ニラミ合っただけ。
 小川のマイクは、橋本と、止めに入ったゲストの佐竹に向けて。

 試合時間が短く、やや安直な展開だったようにも思えるが、プロレスとしてのこの緊迫感の見せ方はさすが小川。コレをどうしてキャリアも遥かに上の橋本に出せないのか。たとえ安田だろうがグッドリッジだろうが、相手がどうだろうが引っ張って引き出して、さらに上回る凄みを見せつける試合が橋本には求められているのではないか。NOAHでの大森戦に引き続き、この2戦、橋本はそれなりの、そこそこの、以前と変わらない姿しか見せられていない印象、小川との差も詰まっていないように感じてしまう。長州戦も、勝敗はともかく、内容が不安です。

6.○マーク・コールマン、マーク・ケアー(12分29秒、袈裟固め)×永田裕志、飯塚高史
 レフリー新日田山。
 ケアー身体がしぼんで弱々しい。やられる姿が目につく。
 コールマン、評判いいですねぇ。たしかにグラップルして放り投げる動きがダイナミック、スムーズさもあり、プロレスラーの素材として◎、すぐにでもプロレスに来てくれれば、近年にまれな大型怪物として大変なことになると思う。試合でも永田に攻め込まれたがやや唐突な袈裟固めで逆転勝ち。

7.○桜庭和志(19分17秒、腕固め)×ケンドー・カシン
 レフリー島田。
 カシン、福岡で猪木が被った白覆面で入場、これはオーバーマスクで、試合ではオレンジ色のカシンマスク。桜庭は両方カシンの色違いハーフマスク、なんと試合途中まで覆面のまま、カシンに脱がされるというオマケ付き。
 当然のことながらカシンに長があり、エルボースマッシュを随所で入れ、「握手と見せかけて」キックも約束通りに、試合を進めていく。グラウンド状態でのモンゴリアン&しあわせチョップも掟破りに見せる。
 桜庭もプランチャ、ココナッツクラッシュなどプロレスらしい技を見せ、コーナーに追い詰めてのパンチ連打というハイアン−カシン戦のラストシーンを再現してみせたりするが、試合時間が長引くにつれスタミナ切れ、苦しそうな表情を見せ始める。そうです、プロレスは大変なんですよ桜庭選手。
 フィニッシュは、コーナー最上段で攻撃を狙ったカシンにその体勢のままダブルリストアームロックを決めるという、意表をつく遊び心のあるシーンを作って桜庭勝ち。
 お互いをリスペクトし合えているのだろう、2人とも楽しかったのではないか。

8.○高田延彦、武藤敬司(24分14秒)ケン・シャムロック、×ドン・フライ
 高田組1人ずつ入場で武藤から。新テーマ曲に違和感あり。フードをかぶり、しつこく下からあたりを伺う仕種を繰り返しゆっくり入場。コールも武藤が先、フードをとった武藤なんとスキンヘッド!!ついに開き直ったか。場内のザワめき暫くおさまらず。これは武藤に失礼だが、ジョージ・ハインズかモンゴリアン・ストンパーかという風情で、よく似合ってます。
 レフリー島田。
 ケンシャム・フライ、意識し合っているところへ高田組の奇襲から試合が始まる。高田&武藤、とにかくたたずまいがそれらしく、久しくいなかった日本人大物タッグの趣きあり。
 武藤イキイキと躍動、ピープルズエルボーをインスパイアしたアレや、ムーンサルトまで見せる。
 高田は、2人がかりでの股裂きや、ミサイルキック、ゆっくり間をとってのハイキックなど、プロレスらしい動きはサマになって見えたが、逆に弧の小さい投げからテイクダウンしての腕がらみなど、ソッチ系の動きが入ると、地味に小さく見えてしまう。
 フライは、ここまでに登場してきた外国人選手に比べれば流石です。ロープ越しパートナーのケンシャムに腕を引っ張らせての締め技(この2人、試合中はうまくやってました)やナガタロックまで使ったり、あい変わらずに技を受けるときの表情も良い。その世界からプロレスに移籍してきた先駆者としてのキャリアを遺憾なく見せました。また皮肉なことだが、パンチも比較的キツめに入れていたように思う。この日、何が求められていたかも、フライには良くわかっていたということか。あ、ケンシャムもそつなくこなしてました。
 最後はあまり印象に残らないような感じで高田勝利。試合後お約束かやっぱり仲間割れする外国人組。

 休憩10分、ここでは「20世紀最高の試合」を前出の面子が答えるV。また時間通り再開。

9.エキジビション3分、アントニオ猪木−ヘンゾ・グレイシー
 当初予定の5分が3分に。WアームSPXとコブラは出したがやはり衰えは隠せるはずもなく。滝沢君と違ってヘンゾでは相手を意のままにコントロールするわけにもいかず。まあもう57歳だしねぇ。


 そして108発ビンタ、出場選手(小川とメイン出場者除く)、ゲストの佐竹、藤波、森下DSE社長も食らう。みな(特に選手達、コールマンら)嬉しそう。
 ほか関係者(大阪ドームの人、毎日放送の人)、メイン出場者もリング上へ、猪木に引き続いて各々が挨拶、時間調整ののちいよいよ新世紀カウントダウン!
 いやーこんなに豪勢な新年を迎えたのは初めてだ。いままで高校生の自分に2度いったニューイヤー・ロックフェスティバル、一昨年のシンガポールで迎えた年明けぐらいしかめぼしいのがないのだが(笑)。
 その余韻を引きずったまま、猪木と選手達は入場ステージ上で餅つき、そして餅撒き。1時前には全興行終了。


 猪木のいう「プロレスも格闘技も同じじゃねえか」を即物的に実践してみせた興行でした。猪木は、かつての中近東での藤波&長州組から、去年の力メモの橋本&小川組などを見ても、“コレとコレを引っ付けたらどーなるんだろ!?”ってマッチメークが好きなんでしょうね。タッグにプロレスらしさが表れていると考えているのか。
 先に書きましたが、外国人勢は初体験の者も多くまだまだ不慣れで、一部プロレスをナメているように感じられたところもありましたが、プロレスに取り組んだらデキるだろうなと思わせる素材(コールマン、まあGGも)も発見でき、なにより宇野君の奮闘と、予想したよりは意外に面白いものも見れた、なによりゴージャスに年越しを迎えられた、ああコレをしに大阪まで来たんだなと感慨に浸らされる、そんな興行でした。




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