12/17修斗NK雑感〜〜葛藤が生み出した奇跡の興行
■団体:修斗
■日時:2000年12月17日
■会場:東京ベイNKホール
■書き手:メモ8(名前をクリックするとプロフィールの欄に飛びます)

 去年まで行われていたVTJの替りの修斗の年末大箱興行は、「チャンピオンへの道」。つまり主役はルミナ。主催は当然サステイン。自社社員をメインを出来るなんてある意味とっても幸せ。

 同日行われた田中正志トークライブで一線を超えたプロレストークを満喫し、その余韻のまま、慌てて修斗観戦組数人と連れ立ってNKへ。後楽園ホールのReMixルール興行に流れた人も多かったようだ(田中先生はこっちに行った模様)。第1試合には間に合わないかなと思っていたが、充分間に合った。

 入りはいい。開始時にはRSはパンパン、2Fは9割弱だったが、最終的にはほぼ満員。アリーナの東西に雛壇を組んでいたのも(NKのここは見難いんだよねー)、好印象。場内スクリーンも北側の高い位置にデカいのが2台、しかもその中央には、宝塚の歌謡ショー(?)みたいなセットがドーンと組んであって、そこからリングと同じ高さの花道が。

 客席には、前日のUFC−Jの外人組がウロウロ。ミレティッチは足を引きずりながらモンテ・コックスと一緒。坂本Pが、Fシャム夫妻を自ら客席に案内する姿なども。

 10分押しでビデオ上映から。今年の修斗の色んな試合をフラッシュバック的に編集したモノ。大したことないと言えば大したことないのだが、既に温まっている観客の雰囲気と音楽によって、妙にカッコよく見えるのが不思議。続いて照明ショー。これが凄った。オープニングだけでなく、照明演出という面では、今年おれが見た興行では抜けて1番の出来。NKの設備を最高に生かした感じのモノ。

 リングにアナがピンで浮かび上がって、全選手入場。これがまたカッコいい。舞台上の壁状のモノに火がつきそれが燃え上がると、監獄をイメージしたような金網の向こうに浮かび上がる全選手。1番人気は抜けてルミナとマッハか。続いて、宇野、三島といった感じ。

 審判部からのルール説明。これはカミまくりで超ヘタクソ。今日は全員Aクラスなので全部5分3R。


<第1試合、ミドル級>
×レイ・クーパー(1R1分44秒、ネックロック)アレックス・クック○

 数発打撃を当てたクーパーがあっさりテイクダウンを奪って、サイドを取り膠着。しているように見えたのだが、はっと気付くとゴング。あれれと思ったら、下から首を抱え込んでいたクック、そのまま締め上げていたようだ。こんなカタチで極まるのも珍しいな。

 勝ったクック、例によって吠えまくりだったが、まさに息を呑むという状態の観客席、極めの瞬間がスクリーンに映されてざわめく。


<第2試合、ミドル級>
○加藤鉄史(1R4分28秒、スリーパー)ダン・ギルバート×

 ギルバートは、身体ユルいな。一方の加藤のセコンドには大宮オールキャストメンバー。

 ギルバートのタックルをガブった加藤、そのままロープ際に押し込んで、徐々にいいポジションに持っていきながら、パンチ。客席も徐々に暖まっていく。そのままマウントを奪うとパンチ乱打して反転させ、スリーパー狙い。シノがれてカメになられるも、これも何とかくずしてそのまま料理。分り易くていい試合だった。


<第3試合、70キロ契約>
×マーシオ・クロマド(2R4分51秒、膝十字)三島☆ド根性ノ助○

 ド根性ノ助は、ベタな関西風お笑い系な入場。完全にブレイクしたという感じ。桜田会長もセコンドに。一方のクロマドは手足が異様に長くて、カーロス・バヘットを小さくしたような感じ。慧舟會式にリングにゴロン。

 軽い打撃の応酬から差し合いは互角。ド根性ノ助、内足を払ってテイクダウン。クロマド、すかさず下からフロントチョーク狙いを見せると、場内から悲鳴。この観客の理解度の高さが修斗の最大の武器だな。1R終盤には、インのまま移動してコーナー際で固定してパンチを入れていくド根性ノ助。2R、サイドを取ったド根性ノ助に対し、クロマド、ヤノタクみたいなセンタクばさみを極め、そのまま引きずり倒して上になる。ストレートアームバー狙い。しかし、さらにこれをリバースしたド根性ノ助、ハーフから足狙いで膝十字。クロマド、かなり我慢するもタップ。

 クロマドは宇野戦は決してフロックではないことを証明したか。

 ド根性ノ助、コーナーに上って食い倒れ人形パフォーマンスからバク転。着地をわざと失敗して笑い取る。素晴らしいな。んで、その後すかさず本部席全員と握手。この辺もわかっているという感じ。


<第4試合、65キロ契約>
○アレクサンドレ・ノゲーラ(2R1分19秒、Fスリーパー)ステファン・パーリング○

 パーリングが、左ジャブと右ボディーフックでプレッシャーかけていき(結構入っていたが)、お見合いの展開。1R後半で、やっとシングルから上になるノゲーラ。これでタイミングを掴んだか、2R開始早々テイクダウンを取る。これはもつれて立ったが、その瞬間飛びついて必殺フロントスリーパー(とアナウンスされたけど、フロントチョークなんじゃないのかな? よくわからんが)。何にせよ、必殺技があるってのは素晴らしい。

 さらに素晴らしいのは、クロマドにも付いていたノゲーラの白人セコンド。カメラマンへのポーズ、本部席への握手など、試合後のノゲーラに出す指示完璧。


 エリック・パーソン引退式。桜田、草柳、川口と、かつて戦ったメンバーがリングに上がって記念品贈呈、10カウントゴング、坂本Pも上がって記念撮影、胴上げ。しかし、サステインの石山氏は、真樹先生と区別がつかんな。

 10分休憩。


<第5試合、ミドル級>
○桜井速人(2R2分25秒、TKO)フランク・トリッグ×

 マッハの入場はこの日始めてすべての照明が全開となったド派手なもの。社員に優しいサステイン。一方のトリッグはRAWのTシャツで。まだRAWって継続してたのかあ。トリッグ、オープニングの時も、試合開始前もあまり気合がのっている感じがせず、一抹の不安を感じたのだが、そんな心配はいらなかった。

 スタンドのお見合いから、トリッグはパンチ、マッハは内股へのロー。3、4発まとめてパンチもらったマッハが体落し系の投げでキレイに投げるも勢いで上になるトリッグ。下から十字や三角、アームバー狙うマッハだが、終盤の1分にはボコボコにパンチ浴び鼻血。トリッグ強い。

 2R、再度のマッハの投げだが、またもや上になるトリッグ。ロープ際でパンチ乱打し、マッハが落ちそうになって、珍しくリング中央から再開のSDM。もつれて立つ。ここで立てたところがマッハの勝因か。開始直後にパンチで1回目のダウン。ダウンを認めないトリッグに(意識飛んだか?)、グラウベ・フェイトーザばりの打点の高い膝がヒットし、2回目。最後も首相撲からの膝。

 場内総立ち。同じハイロウズだが、入場と違う曲がかかって。修斗やマッハに対して、何の思い入れもない、おれですら鳥肌立ちまくりの逆転劇。衝撃度でいえば、本年ベストバウトと言っていいかも。自然児キャラで歓喜のマッハ。それ以上に喜んでいる桜田会長も微笑ましい。マイクアピールもわけわかんないマッハだが「トリッグ強かったが、総合力では修斗」とか。茨城の空手の先生がヒクソン戦をアピールしたのは、ご愛嬌か。

 しかし、これでマッハもアガリ。これからどう使うかは、実に実に難しいな。


<第6試合、フェザー級チャンピオン決定戦>
○マモル(判定3−0)秋本じん×

 いやー、マッハ戦の興奮さめやらずで、割食った1戦。国家演奏・認定宣言等のタイトルマッチらしいセレモニー入るも。

 マモルの固い戦法に秋本押さえ込まれた感じ。秋本が上になったのは、3Rの最後だけ。下からも積極的にパンチを打っていき、アグレッシブさという面では、秋本の方が上のような気がしたが。


<第7試合、ウェルター級チャンピオンシップ>
○宇野薫(1R2分9秒、KO)佐藤ルミナ×

 先に入場のルミナは、マッハと同様照明全開。社員に優しいサステイン。まさに「チャンピオンへの道」。元々ルミナにも思い入れはないし、GCM勢のファンなので宇野を応援するつもりだったが、ルミナに比べて貧弱な照明での入場を強いられた宇野を見て、その思いさらに強まる。

 それにしても、宇野の気合の入り方が半端じゃない。ルミナ以上にオーラ出まくりと思ったのは、贔屓目で見てるおれだけじゃない筈。セコンドの守山代表、阿部、廣野というトリオは、現在の日本の総合界で最強のセコンドだし。

 打撃の応酬から、スタンドでバックを取るルミナ。倒しに行くもどっしりと安定し倒されない宇野。桜庭がホイスやヘンゾに見せた腕狙い。宇野の背中によじ登り、スリーパー狙いのルミナ。振り落とす宇野。立ち上がろうとするルミナに襲いかかる宇野。ハイともミドルとも言えない左の蹴り(近藤ヒベイロのような当り具合か)で膝が当り続いてパンチ。倒れるルミナ。寝言でも話しているかのようなルミナ立ち上がれず。

 ここで終われば、大1番での修斗の定番であるアップセット炸裂、演出面もばっちり決って、修斗らしいホントに修斗らしい興行だった。

 ところが。宇野のマイク。「ぼくの中では佐藤ルミナさんが1番です。ですからこのベルトは、すいませんけど返上させて頂きます」。渦巻く怒号。盛り上った観客がサーっと引いていく。戸惑いながら、その場でベルトの返上を受け取る浦田C。

 混乱のまま、全選手の入場。なかなか出て来ない選手達。ようやくルミナ以外の全選手が入る。記念撮影の後、丁寧に四方に礼をしてから退場する宇野。今日の宇野は、最初から最後まで文句のつけようがないほどカッコいい。

 モノクロで修斗の様々な歴史のクリップビデオを流しながらの客出し。映った佐山の笑顔が妙に心に残った。

 ルミナ、マッハのサステイン2大看板を正面に押し出し、演出面も完璧。マッハ戦後の混乱の中、歓喜に溢れるリング上で、恐らく招聘に苦労しただろうトリッグの肩を抱き慰め、一緒に退場していく坂本Pの気遣い。素晴らしい。この人、やっぱり日本の誇る最高の格闘技興行プロデューサーだ。

 しかし、これほど練りこまれた興行であってもすべてがプロデューサーの狙い通りに行くわけではない。最高のパフォーマンスを見せながら、最後の最後で逆柱のような大きな違和感の楔を打ち込んだ宇野。プロデューサーの思惑とパフォーマーの思惑が激突し、その葛藤が生み出した、奇跡の興行。

 これだから、格闘技観戦はやめられない。




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