Pride11・大阪 カレーライスはいかに食べるか!?
■団体:PRIDE
■日時:2000年10月31日
■会場:大阪城ホール
■書き手:ノリリン(名前をクリックするとプロフィールの欄に飛びます)

はてさて、これまで観戦記と言えば儂はあまり試合の内容を書いてこなかった。ひどいときには結果すら書いてなかった。試合直後にはみんなある程度試合の流れや結果を知っているから、はしょっていたのだ。しかしKANSENKI.NETに残るのならそうはいくまい。

大阪城ホールといえば、古くは猪木・ブロディーの60分フルタイム戦、猪木・チョチョシビリ戦、大晦日の猪木さま祭り、記憶にあたらしい東三四郎・赤城戦、UFOと数々の熱戦が繰り広げられた場所なんだが、プロレス興行は久しぶりのはず。
ともかく、7時少し前に大阪城前駅をおりると会場まで沢山の夜店が並んでいて、ダフ屋も駅前に一杯いる。『うぇ〜、くぇんぬ〜ぁいかあ?くぇんぬ〜ぁいかあ?』と券を持っていると言おうものなら、確実に喝揚げされそうなおっさん達が声をかけてくる。無視して夜店に行き、焼きそばを頼むと、もう売り切れだという。がっでむ! こんなところにも大入りの余波が…恐るべしPride11! 最終的にはほぼ全席埋まって券は完売。しかも立ち見が3重に。恐るべしDSE。16300人入った全日の2倍は入っているのではないかと思っていたら、発表は13500人。この実数ぽい数字に余裕を感じる。

入り口では会場整理のにいちゃんが『今日は7時ちょうどに試合が始まります。お急ぎください。』を連呼している。馬鹿め、誰がいつものアテトーゼを見にそんなに急いで入場するかい、と思いながらゆっくり入場した。

いつもはだらだらと無駄に長いOpeningだが、今回は短く、ちょっとしたアクロバットと選手入場のみ。
DSE、やれば出来るじゃないか。7時と試合開始が遅かったこともよかったのかも。アイブルは選手入場時に、露出をましたプライドガールのお持ち帰りを画策していたが、このあと罰が当たる。いやあたったのは足だが…
今回のプライドガールはいい腰にいいお尻・真っ白なビキニ。まったく、スティーブン・リチャーズが見たらどういう事やら…

第一試合:第一試合とは何か?
ヒース・へリングvsトム・エリクソン
“荒れ野のニシン“というきわめて情けない名前で、しかもUSAのサンボ王者というこれまた中途半端な肩書きのへリングが、アマレス王者でとっても強いと噂のエリクソンに挑んだ一戦。へリングはP9で勝ったらしいが、P9のことなんか誰も覚えておるまい。エリクソンの圧倒的なテイクダウン能力とその後の攻め手のなさのために、膠着が予想されるこの一戦。
案の定エリクソンは上に乗っかり、最初の1−2分はアグレッシブな、次の数分はさほど効果的でない攻撃を浴びせる。そして…へリングの上で…静かに息をひきとった…会場から『まじめにやれ!』ともっともな声が飛ぶ。
レフェリーがブレークを入れる。その瞬間、その試合最高の歓声が!
よろよろと立ち上がるエリクソン。もう勝負はついていた。逆風車の理論を駆使した巨鯨エリクソンは既に紀伊半島に上陸したマッコウ鯨状態。よろよろとタックルに行ったところをへリングがミドルハイ一閃、前のめりに倒れる。しばらくして試合が止められた。
会場の不安は、重さで勝るエリクソンが上になったまま20分が過ぎてしまい、さらに延長があるのではないか、ということだった。それはDSEの不安であったかもしれないが、もしかすると意図するところであったかもしれない。DSEは今日のラインナップは早い時間の1本勝ち続くことを予想していた(又は知っていた)から、膠着試合は最初に持ってきた方が対比が鮮やかで興行の流としては美しいのだ(古典的な考え方だが)。儂もその為にこそこの試合を第一試合に持ってきたのかと思っていた。
番狂わせであること自体は観衆の殆どにとって動でも良いことだが、番狂わせのKO劇。どっちに転んでもDSEにはうまい具合だったのか?登り調子というのは愉快なもんだ。

第二試合:100%シュート
シウバvsアイブル
アイブルはシウバよりかなりでかい。試合が始まると素早い打撃技の応酬。これからのところでシウバの足がアイブルの急所を直撃。イエローカードと2分間の休憩だが、とてもこの後試合には成りそうにないほどのハードヒット。引き上げるアイブルはとっても痛そう。
GG戦と違い異論がない。この試合は100%シュートだ!
球を蹴っている…
島田Rが出てきて、コントがあったが省略する。

第3試合:目をつぶって30秒
谷津vsゲーリ・グドリッジ
GGは会場人気があるが、今日はそれをうち消す程の大歓声が、入場してきた谷津に送られた。試合が始まると、谷津は右手を前に出した(不格好な)防御の構えをとってGGに決定的なパンチを許さない。少々の攻撃にも怯まない。はっきり言って小川vsGGの小川より覚悟は上。しかもこの日のために体もまるで26歳の時の様に絞っていた。しかし、プロレスというのは体を壊しながらやるものだ。コンディションの方が昔に戻るわけもない。腰が浮いたままでまるっきりタックルに入れない。頑張ってはいるものの谷津には勝つ手段がなにもないのだ。しかし、一瞬の隙をつきGGのテイクダウンに成功。ここでじっくり上から攻めればいいものを体力のなさか、いきなりニーロックに行ってしまう。どうやらかアキレス腱固めに行こうとして失敗したのではないか。あんなの効くわけがないと13500人が思ったそのとき、なんとGGが呻きだしたではないか。
その後GGの反則の膝蹴りから、2分間のインターバルをもらうこともなく谷津はスタンドで4発のパンチを浴びてTKOになった。谷津は負けたが、谷津の時代に遅れた大言壮語を嗤ってはならない。だって40代ってそういう年頃なんだから

第4試合・第五試合:Pay Day
4試合目はアレクvsKOC無差別級チャンプというフレコミのボーグ。ボーグは上背こそないが重い。アレクが果敢に挑むが重い。技はたいしてなさそうだが重い。しかしアレク・ウォリアーとしてアニマルと組んで戦ったアレクが120キロを重いと言っているわけにはいかない。あっという間に下からの腕ひしぎに極めた。アレクは三四郎が赤城を破った会場で見事に勝ちを収めた。花道をとぼとぼと一人帰るボーグは前座の外人レスラーそのものであった。
第5試合はMr.プライド小路vsHレンティング。小路がスタンド、グランド全てのテクニックでレンティングを封殺。一度腕ひしぎに入りかけて逃したところを直ぐテイクダウンしなおして、改めて腕ひしぎ。昔山下が2度技ありを取って勝つのは2度勝つのに近いといったが、この勝ちもほぼ2回勝ったのに近い。
ボーグ、レンティング、リッチ、古くはナイマン。いずれもDSEにとっては二度と使うつもりのないUnderdog。この2試合がPrideを盛り上げる二人のための功労賞として用意したものであることは明らかだ。負け続きのアレクの再生と、プライドにおける勝率は良いものの、イズマイウ戦くらいしか目立った勝ちのない小路のoverをねらったものである。しかし、DSEを責めるには及ばない。プロボクシングのフィリピン人ボクサーのようなものと思うべし。

休憩
猪木登場。相変わらず大人気、だけど目立った発言なし。

第6試合:ゲームの達人
高田vsボブチンチン
紙プロ山口の無意味な売文がパンフレットに踊るこの一戦。
高田はみんなが思っているほど弱くはない。第一のスポットは高田が予告通りきれいな片足タックルを極めてテークダウンを奪うところ。ガードポジションのボブチンチンに対し、高田は顔をボブチンの腹に隠したコアラポジション。高田はボブチンの右脇腹にホイスパンチ(100発打ち込んでも効かない)を1ダース。しかし効かない。それどころかツボを刺激したのかかえって、健康が増したようにみえるボブチンチン。高田はパスガードをねらわない。パスガードをするのは顔面を殴られるリスクを伴う。高田は次に右足を大きく振り上げて鐘突式尾てい骨割り…高田の攻め手のなさに業を煮やしていた会場はそれに併せて『よいしょ!よいしょ』の大合唱!しかし結局スタンドに。次は簡単にテイクダウンされて下になる高田。簡単にパスガードされてマウントに。儂の後ろや横のうるさい“ものしり”は高田のテクニックを皮肉るが・・・甘いね。彼らはもうエンセンのことを忘れている。ガードにとらえてもボブチンは圧倒的な押しで顔面を射程圏にとらえてしまうのだ。ゲームの達人である高田がそんなことを選ぶわけがない。ボブチンのパンチから一番安全な場所はボブチンの腹・の下なのだ。高田の戦略通り1ラウンドを終わった。第二ラウンドはボブチンのパンチが顔面付近をかすめる。吹っ飛ぶ高田。下になる。ガードには取らず先ほどと同じ最善のポジションをキープ。しかし、今度は腕を取られる。ふなヒク状態のマウントに、ここをどう逃れるのか!   そう、あいている方の手でマットをたたけばいいのだ。
高田とボブチンは同じリングで戦ったが、二人は違うゲームをしている。八百長?なんてものは少なくとも同じゲームをしていてはじめて行えるものだ。ボブチンのゲームは相手を殴って戦闘能力を奪うこと。高田のゲームは試合終了まで顔を殴らせないこと。こめかみや頭は少々殴られたがゲームの達人として高田は見事に勝ちを収めた。
紙の助けがあったかどうかは知る由もない。

第7試合前
桑田圭介がホテルパシフィックで登場。佐竹と小川に1曲捧げる。おそらくギャラは一番高い。歌自身はしょぼかったが、会場は興行のスケール感によっていた。

第7試合:リアルなアンリアル
小川vs佐竹。小川が入場するが目が飛んでない。そうみえるのは儂だけらしいが、怖さをなくしている。というのもハンディーが最初からそれをねらっているくらいだから段取り通りだ。段取り通りに飛んではいかん。まあ、会場から『目が飛んでるよ〜』という声が挙がっていたから、それでいいんだろう。
第一ラウンドは佐竹と小川が打撃のみで闘う。時々小川が佐竹の打撃をおそれて頭を抱える。その点において小川のパンチに対する対応は1年前から進歩していないし、橋本と本質的に同じレベルだ。違いは体型のみ。しかし、小川が頭を抱えるシーンは最初の1・2回は緊迫感があった。しかし、その後はだらだらとした時間が過ぎる。第2ラウンドにおいてあっさりテークダウンから順当に裸締めでチン。興行というのは大体だまし討ちだし、企業活動というものは砂糖水をコーラと言って売るものだ。だからなにをしてもいい、しかし儂が言いたいのは、フラットすぎる、この二人の道をフルに生かしたもっと沢山のスポットがあってもよかったのではないかということだ。13500−αに向けてのリアリティーを維持するために、プロ格闘技において本当に大事なものをなくしている。リアルとして振る舞うためにこの試合はリアルをなくしてしまった。小川は橋本戦よりも退化している。

第8試合:締め
桜庭vsリッチ
この時点でもう10時が近い。普通のDSEの興行ならもう11時が過ぎているだろう。この試合が延長とかになったらどうするんだ?なんて心配は全くない。桜庭が締めてくれるからだ。桜庭にとってこの試合は入場と挨拶のためのようなもの。
スカイハイに乗って、オーバーマスクを被ったミルマスカラスで入場し、マスカラスばりの空中殺法でしとめた。リッチのケリでロープ際まで吹っ飛んだ振りをして、しゃがみさっと足を取ってフィニッシュ。最適な時間でしとめた。セミに大きい試合があるときのメインをつとめるエースレスラーのあり方を示した好試合だった。
試合後桜庭は次は大阪ドームで合いましょうと挨拶。

総じて言えば、試合の長さ・進行・演出くるめて、100点満点の興行ですごく満足度が高い。対して試合内容はそれほどでもない。50点。ただ次回へのつなぎを重視した場合桜庭・アレク・小路の試合は素晴らしくはまった。会場を去る人は口々に満足を表していた。儂としてはPrideはプロレスなんだから、もっと試合の中に素晴らしいムーブを混ぜてくれ!とおもう。儂の認定する素晴らしいムーブは小路の一度目の腕ひしぎから2度目に至る動き・高田の片足タックル・谷津の顔面でパンチ防御だ。
しかし、こんな興行で続けることが出来るのだろうか?桜庭は疲れたを繰り返すとおり明らかにテーマを失っている。金魚を使ってpopを得るのが一時的な麻薬なのは明らかだ。小川や佐竹でリアリテBー維持する方法が儂にはさっぱり予想がつかない。
しかし、次はどうなるのだろうと期待を抱かせることだけは確かだ。プロレスがではなく、新日本プロレスが失ったダイナミズムがここには漂っている。

一応最後にオフィシャルな結果を
○ヒース・ヒーリング(1R6分17秒裸絞め)トム・エリクソン×

△ギルバート・アイブル(1R2秒)ヴァンダレイ・シウバ△

×谷津嘉章(1R8分58秒TKO)ゲーリー・グッドリッジ○

○アレクサンダー大塚(1R2分37秒ダブルアームバー)マイク・ボーク×

○小路晃(1R3分48秒腕ひしぎ逆十字固め)ヘルマン・レンティング×

○イゴール・ボブチャンチン(2R3分17秒マウントパンチ)高田延彦×

×佐竹雅昭(2R2分1秒裸締め)小川直也○

○桜庭和志(1R1分8秒アキレス腱固め)シャノン・“ザ・キャノン”・リッチ×




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