なんてオヤジなんだ!!
■団体:全日本
■日時:2000年10月28日
■会場:日本武道館
■書き手:凸ユーレイ(名前をクリックするとプロフィールの欄に飛びます)

10/28、全日武道館大会、メイン。三冠王者決定トーナメント決勝。
川田利明対天龍源一郎。

口切りは力の入った手四つから。
首相撲からコーナーに押し込む天龍、なかなかブレイクに応じず、ゆっくりゆっくり相手
の目を逸らさずに離れる。
この間合い!間合いだけで魅せる。
腕を取る天龍。
川田は片足タックルからグラウンド・ヘッドロックへ。
静かな立ちあがり、両雄の胸に去来するものは何なのであろうか。

エルボーの打ち合い。
水平チョップの打ち合い。天龍はグーパンチを交え、川田はローキックを交え。
先にサッカーボールキックを放ったのは川田。食らった天龍はムックリ起きあがり、しば
し、しばし、しばしにらみ合う!
この間が!!

川田のミドルを捉えた天龍が、突如、ドラゴンスクリュー!さらにアキレス腱固め!!
足4の字からサソリまで!!!ロープへ逃げられてもまたサソリ!!!脚を責める。

川田も反撃。前蹴り。ステップキック。
天龍もステップキック。
川田、バックスピンキック。
水平チョップの打ち合い。
天龍、延髄斬り、コーナーから背面飛びエルボー、WARスペシャル。
川田、バックドロップ。

天龍のグーパンチ、川田のローキックの応酬。
川田グラつき始めるが、なんと逆襲のグーパンチ!
崩れる天龍に、健介を屠ったジャンピングハイで追い打ち、ストレッチプラムへ!
ねじる!ねじる!!ねじる!!!
ぼくの中では、もうここで終わってもおかしくない、ここまででも充分密度の濃い闘いだ
が川田のほうが根負けしたか、かたちが崩れる。

お互いがもっとも食いたくない技か、パワーボムを巡る攻防。先に仕掛けたのは川田。こ
らえる天龍。
天龍も1度目のトライではこらえきられたが、なんとあびせ蹴り!ラリアットをはさんで
成功させる。
このあびせ蹴りがなんとも不恰好ではあったが、執念を感じさせるもの。
他にもここまでで、グーパンチ、脚責め、WARスペシャルと、川田の知らない天龍がは
しばしに現れている。

川田のラリアット!
天龍、倒れない。
水平チョップ連打!!
倒れない。
前蹴り!
天龍、倒れない。
なんてオヤジなんだ!!!

この試合、唯一の場外戦、鉄柵に振られ、川田の前蹴りをあびる。
リングへ戻ってきた天龍、鼻血を出し、フラフラ。
川田のロー、ミドル、ジャンピングハイ、蹴りの嵐に見舞われる。
さすがのオヤジももうダメか… と思われたその瞬間、ラリアット!!
なおも襲い来る川田の蹴りをかいくぐり、さらにラリアット!グーパンチをはさんで
最期はノーザンライトボム!!!
途中での手に汗握る攻防からして、最期の決め手はどちらが勝つにしてもパワーボムだろ
うと思い込んでいたが、
天龍はこの十年で得たもの、さらに大きくなった自分を見せつけるかのように、もっとも
新しい必殺技で締めくくった。

この、瞬間に出し切る集中力、武道館一万数千人を納得させ尽くす説得力はどうだ!!


以下、その他の試合。

第1試合 奥村vsキマラ
キマラ、開始早々ドロップキック、エプロンから場外へのショルダー弾でやる気見せる。
試合は密着戦、消耗戦に。キマラに乗っかられるのは疲れるだろうな、と想像させられ
る。
1F席後方で大仁田が来たんだかなんなのかざわつきがあり、集中力がそがれたようなの
が少し選手に気の毒ではあった。
奥村が良いところを出したのは、キマラを正面からエクスプロイダーふうに投げ、ミサイ
ルキックを決めたところ(だけ)。
最後は各種のプレスから、ふつうのその場飛びプレスでキマラ完勝。
キマラの試合、キマラの持ち味が最大に活かされた試合であり、それをそつなく出させた
奥村ともども、第1試合としては合格か。

第2試合 TARU、浪花&土方vs望月(成)、神田&望月(享)
ゴング後いきなりTARUを捉え3人がかりの連係、M2K。
バトラーツの土方は、チョップの応酬、ラリアートもバチバチと。
浪花のカニ歩きからのエルボーというコミカルな動きにTARUも呼応、
胴着の帯で相手の首を締め、リングサイドの観客に引っ張るのを手伝わせる
(アルシオンのGAMIがコブラツイストでやる動きです)。
その後の展開も、M2K側の連係が軸となり目まぐるしく動く。
M2K、そんなに何回も見ているわけではないが明らかに以前よりスムースになっている
ような。
相手側で特に良かったのは浪花、コルバタ・フランケン・飛びつきDDTなど軽快。
あと闘龍門のTARUは手が合って当然だが土方もよくついていき、
ノンストップの楽しく激しい試合となった。短いシリーズのなかでも繰り返し当てられ
て、
どんどん噛み合ってきたのだと思う。神田がTARUをジャーマンでピン。
第2試合の6人タッグとしては、旧全日(現ノア)のアレより、はるかに面白いのではな
いかと思う。

第3試合 越中&荒谷vsバートン&ハインズ
越中、出てきただけでさすがメジャー感漂う。声援も多く、ケツ絶好調。
見ながらついつい「ケツッ」「ケツッ」とつぶやいてしまう。
思えば、ドームの真ん中辺で天山あたりとやらされているより、
全日の助っ人として武道館の真ん中辺で外人とタッグで闘うようなシチュエイションのほ
うが輝けるのかも。
新鮮さだけなのかな。
試合は、バートンがサボリがち、チョコチョコ出てきておいしいとこだけさらおうとする、
ハインズはよくやられ、よく蹴りで反撃し、頑張っていた。


ここまで、キマラの安定した味、明るく楽しく激しい6人タッグ、そこそこスターの越中
登場、
と、バランス良く、良い流れで来た。次の2つが少し澱むのだが、


第4試合 渕、藤原&スミスvsハンセン、ウィリアムス&ウルフ
ハンセン、寂しいが衰えか、また痛めた腰も悪いのだろう、ほとんど出ない。
(ほぼ同い年の天龍がメインであれだけ元気だったのと比べるとやはり寂しい。
というか天龍も衰えはあるのだろうが、説得力と瞬間の集中力が凄かった。
この点ではハンセンもまだいけるはずだが…)
ウィリアムスはイヤな張り切り方で、ときどき出てきてはパンチとか出す。
必然的に出ずっぱりで働くのは若いウルフ。
相手チームも、前半は渕がこんなカードを組んでしまったマッチメイカーとしての責任を
取るように捕まってやられていたが、
組長もおいしいとこどりにしか出てこず、こちらも働いているのはスミス。
両者の間で決着がつき、ブリティッシュフォールに落としてスミス勝ち。

セミ 太陽&ヨネvs新崎&垣原
垣原がどういう試合をするのか、ひそかに楽しみにしていたこの試合。
先発はヨネと垣原、クラウチングスタイルでパンチを狙うOFG着用のカッキー、
ボディにパンチ当てていくも体格に優るヨネに一撃で返される。
ただ、背を向けてアピールするヨネに近づきスリーパーで反撃。
ケアと人生に替わる。攻め込んでダウンを取ったケアだが自らもへたり込んでしまう。
まだ腰はそうとう悪いよう。人生にボディスラム、片逆エビと狙われ、
替わった垣原にも脇腹あたりにパンチの集中攻撃を食らう。
このへんで、ぼくの中での関心は、「垣原のファイトスタイル」から「ケアの腰は大丈夫
か?」に移ってしまう。
というのも、試合が進むにつれ垣原はふつうのプロレスに順応(カッキーカッターも出し
ました)、
パンチ・キック・関節・締め技はたんなる味付け、個性であるというスタイルにしか見え
なくなっていった。
ただそれでは、身体が一回りも二回りも小さく(特にケアもヨネも大型だし)、
だんだんついていけなくなっていく。
何をしていいかわからない、というか動きを忘れたかのようにギコチなくなり、
フィニッシュは唐突なパンチをアゴへ、さらにハイキックでヨネにフォール勝ち。
プロレスをやるには下手すぎる、受けてくれ負けてくれたヨネにただただ感謝して欲しい
ような、
垣原の復帰戦勝利、でした。


とくにセミはともかく、前座第1〜3試合までの流れは良く、またメインは大満足、
興行全体としてのバランスは、前にぼくが見た武道館大会(7月、大量離脱後初めての武
道館で、
渕vs奥村、SHINOBIvsSHIIBA、新崎vsウィリアムスなど、こなれてないシングルが目立っ
た)
に比べればはるかに良くなってました。他団体選手を含めてツアーを重ねていくうち、
試合も練れ、自然とバランスがとれてきたのだと思う。


▽第6試合 新・3冠王者決定トーナメント決勝戦(時間無制限1本勝負)
×川田 利明 (片エビ固め 26分28秒) 天龍源一郎○
▽第5試合 タッグマッチ(30分1本勝負)
太陽 ケア ×モハメド・ヨネ (片エビ固め 16分20秒) 新崎 人生 垣原 賢人○
▽第4試合 6人タッグマッチ(30分1本勝負)
渕 正信 藤原 喜明 ○ジョニー・スミス (片エビ固め 13分3秒) スタン・ハンセン
スティーブ・ウイリアムス ウルフ・ホークフィールド×
▽第3試合 タッグマッチ(30分1本勝負)
越中 詩郎 ○荒谷 信孝 (片エビ固め 12分18秒) マイク・バートン ジョージ・ハイ
ンズ×
▽第2試合 6人タッグマッチ(30分1本勝負)
土方 隆司 ×TARU 愚乱・浪花 (原爆固め 14分32秒) 望月 成晃 神田 裕之○ 望
月 享
▽第1試合 シングルマッチ(30分1本勝負)
×奥村 茂雄 (体固め 9分53秒) ジャイアント・キマラ○




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