偉大なる反骨精神〜10.28 全日本 武道館大会
■団体:全日本
■日時:2000年10月28日
■会場:日本武道館
■書き手:maya(名前をクリックするとプロフィールの欄に飛びます)

新生全日本3度目の武道館だ。今日も主催者発表は16300人。やはり取り敢えず人が多いと対戦ムードは高まる。

1.×奥村茂雄 (体固め9分53秒) ジャイアント・キマラ○

第一試合からキマラとは結構贅沢。奥村がキマラとどの程度試合を作れるか?下手したらとんでも無くしょっぱくなる心配も。

結果的にはやりにくい相手に奥村は良く頑張ったという感じだ。ちゃんとキマラをエクスプロイダーで投げるという見せ場も作ったし。
毎回書いているが、奥村またほんの少し成長した感じ。だけど、見に行く度に成長の跡を見せてくれる奥村は楽しみだ。今日は結構声援もあったし。

2.土方隆司 ×TARU 愚乱・浪花 (原爆固め 14分32秒)望月成晃 神田裕之○ 望月享

M2Kは二度目の武道館。前回はリングサイドから見たのだが、今回は1F席の上から見た。涼しい顔してキックボードでスイスイ来るところはやはりサマになる。声援も心なしか増えたか。

相手はホールのキマラが土方に変わったもの。まあ、キマラじゃどうにもならないから良かった。試合はまずM2Kが得意のコンビネーションを出して来るが、徐々にカニさんに粉砕される。

TARUは今は敵対する立場だが、元同僚のよしみでM2Kムーブにかなり付き合い場を盛り上げる。ストーカーとの試合で覚えたのか全体の流れ良く把握している。一方の土方はただ蹴るだけで、もう少しプロレスを覚えた方がいいな。

試合はM2Kがペースを掴もうとするがカニさんの老獪とも言えるテクニックで翻弄されるというか、マスク越しに帰る所の無い必死さを感じた。
まあ、普段のM2Kにしてみれば、半分の出来だったが、場内を適当に湧かせたし、結構人気も出てきたみたいだ。

ただ、モッチーは若い二人を盛り立てようする気持ちは分かるが、もう少し自分が前に出て、二人に指示を送った方がいいな。まあ、あとはM2Kの課題は場数だけだけど。

だけど、神田がTARUからピンを取ったことあるかな。もしかしたら、初めてではないか。しかもこんな大舞台で。

3.越中詩郎 ○荒谷信孝(片エビ固め 12分18秒)マイク・バートン ジョージ・ハインズ×

思いかけず面白い試合だった。最近の新日本での越中の試合はさっぱり面白くないし、ホールでもイマイチ人気が無かったというより、どう反応していいか分からないという感じだった。

しかしこの日は結構人気があった。それに反応したのか越中も、ハッスル、ハッスル。というか、正確にはケツ、ケツ、ケツという感じだが。
もったりした悪い全日本の体質に対して越中はやっぱ動きが早い。それが試合そのものにスパイスを効かせた感じだ。

ハインズはどうにか付いていくが、バートンに至ってはイマイチ付いてこれない感じだ。ただ、これで、逆に荒谷のもったり具合が余計目についてしまった。

まあ、それでも荒谷もいつにない一所懸命さを感じられたから良かったが、途中でやることが無くなるというのは、止めた方がいいな。合間に考えてたら如何でしょう。

荒谷はムーンサルト以外のフィニシュ技を開発した方がいいな。パワーボム系は川田や天龍と被るので、体が大きいし力はあるので、飛鳥や関西とかが使うみちのくドライバー系の技がいいと思うけど。

だけど、越中のお陰だとは思うけど、なかなか見映えのする試合になったな。

4.渕正信 藤原喜明 ○ジョニー・スミス(片エビ固め 13分3秒)スタン・ハンセン スティーブ・ウイリアムス ウルフ・ホークフィールド×

ここまでの流れは結構良かったと思う。徐々にメインに向けて客席を暖めようという感じもした。この試合は結構良いカードだったと思ったんだけど、あまり期待してないカードでそこそこ盛り上げてもらったのだが、こういうビッグネームを集めても、ダメなものはダメという感じだ。

まず仕方無いが、コンディションが悪すぎる。それを分かってスミスがウルフ相手に試合を作るのだが、これをヤブ医者(これは某掲示板の管理人のことではない)がやぼったく出てくる。ハンセンは単なる顔見せ。
組長も6人タッグでは何をしていいのか分からないようである。

こんな中で、スミスが頑張っても限界がある。会場がザワザワする雰囲気が印象的な試合だった。

5.太陽ケア ×モハメド・ヨネ(片エビ固め16分20秒)新崎人生 垣原 賢人○

今迄どうにか雰囲気を盛り上げて来たのだが、前の試合で場内は一気にトーンダウンさせられてしまった。しかし、ここでUのテーマが鳴り響く。お帰り、カッキーという感じで、再び会場のボルテージが上がりつつある。

しかし、試合は。一応ヨネはジョブをしようとミエミエのムーブなのだが、何も出来無い垣原。まあ、この試合、私はあまりの酷さにタバコを吸いに行ってしまったのだが、戻ってきても状況は変わらない。

試合が進むに連れて、場内ザワザワが大きくなる。隣で見ているノアファンのカブ野郎が、あれだったらノアにはいらないな、と言っているのが、無性に腹が立ったが、その通りである。人間触れられたくない部分で、自分もそう思うあまりにも的確な意見を聞くと何十倍も頭に来るものだが、まさにそれである。全く針のむしろのような試合だ。

試合に出ている3人と全日本フロントがカッキーをオーバーさせようと舞台を整えているのに、それに答えられないカッキー。お前は何をやりたいのか?

Uのテーマがこんなに虚しく聞こえたのは初めてだな。

6.新・3冠王者決定トーナメント決勝戦

×川田利明(片エビ固め 26分28秒)天龍源一郎○

結局は、途中迄はいい雰囲気だったのだが、セミ、セミ前で会場の雰囲気は散漫になってしまった。この状況でやるのは苦しいものがあるだろう。まず客を引き付けなければ。

まずは、天龍の入場。これで落ちかけたボルテージが若干戻る。そして川田。入場時点では声援の多さは7:3で川田の方が多い感じだ。これで、対決ムードは高まる。

試合はビックマッチらしく、静かな始まりだが、お互いなんか技を出すわけでも無いが、なんとも言えない間合いがある。高田戦もそうだったが、やはりプロレスはこのなんとも言えない間合いなのである。

試合は10分くらいは、両者単なる殴り合い、蹴りあいだけをしていたのではないか。プロレス技など一切出ない。しかし、それだけでも見せてくれて、散漫になった客席を一気に集中させてしまう。なんと言おうか、これぞプロレス!!!

試合が動いたのは、天龍のドラゴン・スクリューから。4の字、アキレス腱固めといった攻撃に移るが、それを凌いだ川田がまた打撃で盛り返して行く。

試合はいつのまにか、両者のパワーボムを打つタイミングを計る闘いのようになって来たと思う。地力の優る天龍が打撃で盛り返すが、バックドロップ2連発とストレッチプラムで締め上げる川田。このへんの攻防は息もつけない。

先にパワーボムを仕掛けたのは川田。これを天龍がリバースで切返すが、終盤ここからまた川田の猛攻が展開される。
たまらず、天龍は場外にエスケープするが、川田は追撃に手を緩めない。場外でも天龍を追い詰め再び天龍をリングに上げる。この時天龍は鼻血が。場外戦ではジン・キニスキーまでもが熱くなっているのが良く分かる。

リングに戻っても、川田の猛攻は終わらない。天龍はヘロヘロ、フラフラ状態でそれを受ける。死んだふりとは分かるがそれにしてもこの日は大丈夫なのかという程川田の打撃を受ける。倒れたら負けだろうなという所で、渾身のラリアットで一気に川田を叩きのめす。やるなと思ったけど天龍しか出来無い素晴らしいスポットだ。

後は川田のバックスピンキックをかいくぐり、パンチ一発から、現在の天龍の必殺技の代名詞となった、ノーザンライト・ボム!!!!

試合前には7:3で川田贔屓の声援も試合中で五分五分以上に盛り返してしまった。ベルトはまたも10年前に3冠を提唱した主のもとへ。会場で私は気付かなかったのだが、試合後天龍は、インターナショナル、UN、PWF3本のベルトの中でUNのベルトを腰に締めたらしい。この偉大なる反骨精神。これが天龍を支えているのであろう。


しかし、興行的に言っても、この日はまさに龍神様が天から降りて来て全日本マットを救ったという感じだ。確かによわい50になり、動きはしょぼくなり、グーパンチでその場をごまかす所は気になるが、客観的に見て今のプロレス界の中でこれだけ存在だけで見せてしまう人はいないだろう。しかも、やはり試合が面白い。

川田と天龍の決勝戦というのは、お互いの闘い以上に、新生全日本がメジャーかどうか?今更3冠に価値があるのか?という声に対する闘いでもあった。この二人の本当の敵はそういう声である。私はこの二人はそういう見えない敵に勝利したと断言したい。

IWGPのチャンピオンシップは年内行われないらしいから、この試合は両メジャー団体では今世紀最後のシングルのチャンピオンシップだそうである。
そういえば、1900年代最後のチャンピオンシップというのも私は目撃したっけ。しぶといというか、なんというか。まあ、私は信者では無いけど、天龍のファンで良かったとつくづく思わせられる1日だった。
やはり、私にとって最強ではないかもしれないけど、最高のプロレスラーだ。




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