9.2 全日本 武道館
■団体:全日本プロレス
■日時:2000年9月2日
■会場:日本武道館
■書き手:maya(名前をクリックするとプロフィールの欄に飛びます)

これで、三週連続で全日本を見に行った事になるのか。毎回雰囲気が変わっている。今日の発表は16.300人。まあ、そんなものでしょう。今日もほぼ満員。子供や女性も今日は多かった。

先週の後楽園同様、WCWサンダーの松崎さんが前説をやって木原リングアナがカードの発表。そこでいつもなら第一試合の選手の入場曲が流れるのだが、なんとここで場内が暗転してオリジナルの曲がかかりライティングの演出(GAEAが後楽園でやるやつ)。リングスの武道館やGAEAの有明ほど大掛かりではないが、なんという心境の変化であろか。演出面でも方向転換である。まあ、地味だけど全日本らしくてよろしい。
しかも試合中、入場時のラィテインングも変り、入場は選手にスポットライトを当て、試合中は場内を暗めにしてリング上のライトが強く見えるようになり、大マッチ的な雰囲気を作っている。
ちなみに、レフリーは第一、セミ、メインが和田京平、それ以外はウォーリー。

1.○荒谷 信孝 相島 勇人 (片エビ固め 12分37秒) 奥村 茂雄×土方 隆司   ※ムーンサルトプレスから

渕教室の生徒3人にバトの土方。私はどうせなら荒谷、奥村のカンナム・タッグ王者組を見たかったが。
試合は相島がつかまり荒谷が挽回するという展開。相島がつかまっている時間は場内が静かになり、荒谷は結構パワーで沸かすという感じだ。相島は今迄の団体ならそのパワーだけでもどうにかなったろうが、技を身につけないときついな。
それで、今日の荒谷はまた一段と良くなっているぞ。第一試合で場内を適当に温めたのは荒谷だろう。最後はパワーボムからムーンサルトの貫禄勝ち。タッグリーグはカンナム王者組に期待しよう。
荒谷のお陰で結構見映えがした試合だったが、タッグというよりも連係が少ないし、二人づつのシングルという感じでもうひとつ淡白なような気がしたが、これが後で理由が分かる。

2.トリプル・スプリット・マッチ
○ハロウイン (エビ固め 9分04秒) スペル・カロ× ※コーナー最上段からのパワーボム、もう1人はスペル・パルカ

ついに3Way Danceまでやってしまう全日本。しかし、これが意外に受けて楽しませてもらった。 この3人は客の乗せ方を良く分かっている。味方になったり裏切ったり、相手の大技を阻止して失敗させると笑いが起きるし、そういう妨害をかいくぐって4次元技が決まると大きな拍手が起きる。早い展開の中での動きの中で、今迄見た事の無いモノに触れた感じだ。
パルカがカロに吊り天井をかけている時に、ハロウィンが真ん中に入ってフォールを取りに行く所は笑った。最後は唐突に終わったが十分楽しめたし、子供のファンを捉えたのではないか。

3.○サブゥー (片エビ固め12分53秒) ×ダミアン666

実は今回のサブゥーのブッキングはウィリアムスが声をかけたらしい。そしてそのサブゥーが誘ったのがこのメキシコ勢の4人だそうである。開幕の時はこの4人には、うすら寒さを感じたが今日はあらためて是非また来てもらいたいと思った。新しい看板になるかもしれない。

旧全日本ではファミ悪がやっていたカラーボール投げたが、この日はダミアンが担当。この男は肩が強い。1階席は楽に、2階席に迄届くのである。しかも4方に何度も。普段ならアリーナの席だけが盛り上がるのだが、しかもファミ悪の場合は前方だけ。これで会場全体が盛り上がった。ボール投げが終わって拍手が起きたのも初めてだ。

先にも書いたようにダミアンはサブゥーが呼んできた選手だがらお互いの手の内を知りつくしているようで手が合う。だから、わざわざ大舞台でカードを組んでもらったんだろう。ダミアンは今シリーズ前半はメキシコ勢4人同志で、後半はM2Kとルチャを行なっていたが、この日の試合はサブゥーに合わせた展開に。

前半はオーソドックスなレスリングから、例のものまねを交える。最初は「カワダ」で次に「チョウシュウ」。サソリを決めた時には長州コールが起きた。それに気を良くしたか、ムーンサルトを打つ前にはムタコールを強要して来た。
後半はリング上に机や椅子が乱れ込んできてハードコアな展開に。しかし、ダミアンが見映えは怖いがこういうキャラであるし、全日本のファン層を考慮してなのか、殺伐とした感じでは無くユーモラスなほのぼのとした感じで進んでいく。切返しの応酬であるが、結局がサブゥーにいいようにされるムーブなんて大したもんだ。ダミアン自体は結構動けるので受け狙いだと分かっていても憎めない、プロ意識の方を尊重したい。まあ、ストーカー市川や広田の試合が好きな私が面白くないはずがない。またレフリーのウォーリーは机や椅子を半ば容認。リング上から撤収しないでウルサイ事を言わず二人の流れに任せる。

試合後、負け残りのダミアンがリングサイド四方に霧吹きと水撒きをして今度はマイクを持って、「オオニタ」を。これで、終わりだと思ったら、最後の最後に、「今晩は、森進一です」だって。

ここで休憩。ここまでは、新生全日本はかなり良い感じ。客も選手の動きに素直に反応するようになる。メキシコ勢が中心に、いかに客席を暖めようとしているかが良く分かる。ただ、真剣に一所懸命ファイトをすれば客が感動するなんて10年前ならいざ知らず、今の時代では通用しない(もちろん、そういう役割の選手もいるけど)。そういう事を感じさせる前半だった。
前回の武道館に比べたら試合の面白さは格段のパワーアップだし、個人的には旧全日本の休憩前よりも遥かに面白かった。

しかし、オーソドックスな全日本スタイルから、ルチャの3way dance、小道具を使うハードコアと以前の全日本では考えられない様変りとバラエティさである。まあ、こんなの全日本では無いとか言う旧来の全日本ファンにはほざかして置けば良いだろう。

同じスタイルのファイトを第一試合から延々メイン迄見せる事だけがメジャーでは無いだろう。メジャーと名乗るならば、優れた選手を集めプロレスの様々な上質な部分を見せて行くというのも、一つの方法論であろう。新生全日本は、一歩踏み出たかなという気もする。恐らく、世界のプロレスに精通しているウォーリー山口の提案を採用しているんだろうと思う。しかも、ウォーリーはレフリングで、選手を信用して自分で試合を作らず自然な流れを作る事により成功していると思う。今の全日本はいわば、プロレスのK1やプライド形式だな。だけど、これをメジャーと言って実現可能にしているのは、経済的な力である。”地獄の沙汰も金次第”も有効に使うと十分評価できる。


4.○望月 成晃 神田 裕之 望月 享 (ドラゴン・スープレックス 11分13秒) CIMA SUWA ×スモウ・ダンディ・ フジ二千

そして、ついに闘龍門の登場だ。CIMA達は一度福岡ドームでやっているがあの時はライガーや稔も加わっていたし、横アリは8.000人くらいでしかも第一試合だった。純粋なC-MAXで16.000人という会場で本領を発揮出来るのは、日本ではこれが初めてでは無いだろうか。全国区になる本当のチャンスだ。しかも、オリジナル最強メンバーで。

一方のM2Kも、モッチーだけはWARや新日本などで大会場は経験しているだろうが、それ程重要なカードというのは少ない。今回は闘龍門の最強カードをやるのであるから、モチベーションが違うだろう。しかもキャリア2年程度の選手を引き連れて。

少しここで前置きが長くなり細かい事なのだが、この日の入場は赤コーナーからであった。普通入場は青コーナーからなのに今日の全日本は敢えて逆にしている。これはセミの蝶野を考えての事だと思うが、少し調子が狂う。もしタイトルマッチだったらチャンピオンが先に入るという事であるから。
それで、闘龍門なのだが、普通正規軍赤コーナー、ルード・反主流軍青コーナーが当たり前なのだが、C-MAXもM2Kもルードであるので、闘龍門の興行ではC-MAXは青コーナーになりM2Kは赤コーナーになるのは、C-MAXの方がM2Kよりもルードとして格が上という事なんだろうか。

という事で、全日本でも赤コーナーのM2Kから入場。またキックボードで涼しい顔をして入場して来る。知らない客は何事だという感じで見ている。そしてC-MAX。さすがにCIMAへの声援は多い。武道館が闘龍門色一色で異空間になった感じだ。この試合はノータッチでも交代OKの闘龍門ルールで行われると発表。

試合は序盤こそ一進一退の攻防からC-MAX若干有利だったが、CIMAが出てくると観客の期待の歓声が大きくなるのだが、ここぞとばかりにM2Kは集中攻撃に行く。C-MAXよりも自分達が目立つにはCIMAをまず潰しておけという作戦だろう。M2Kは自分たちの連係を駆使していき、これは流石に利いた。CIMAが捕まる展開に場内は少し静かになってしまった。それでも、CIMAがタッチ可能(要は場外に落ちればいいのにね)になると、また試合は一進一退の展開に。最後は神業的なモッチーの個人技でピン。だけど、こういう時は大体ダンディーがやられ役になる。それでも、ダンディーは試合中は結構声援を集めており、全日本のファンは結構こういうキャラの方がいいのかなと思わせる。

試合の内容は普段の半分くらいだったが、前座だし顔見せとしてはこの位だろう。大体、C-MAX得意の連係がほとんど出ていなかった。ただ全日本の前座としては格段のグレードアップだ。実際M2K側の選手なんてほとんど浸透していないだろうし。

5.○マイク・バートン ジョニー・スミス ザ・セッドマン(エビ固め 13分46秒)太陽 ケア 新崎 人生 ×モハメド・ヨネ

この試合はスミスの八面六臂の活躍に尽きるね。スミスが相手を痛みつけてセッドマンに回して、あげるんだけど何も出来無いのを苦笑いしながらコーナーで見ているのが印象的だった。
あとばと勢とスミスのグランド合戦というのも結構面白いね。

6.○蝶野 正洋 (片エビ固め 16分53秒)×渕 正信

前の試合が終わり場内は異様な盛り上がりに、まず一度目のフチコール。そこへ小島、天山、ヒロ、後藤が会場に入ってくる。しかし、こいつら蝶野抜きで出てくると、なんだか見映えが良くないな。
二度目のフチコールで渕が入場。しかし、渕が今迄これだけの声援を受けて入場する事はあっただろうか。場内の8〜9割は渕応援であろう。それでも仕草とかはいつもと変わらない普通さ。

そして、蝶野の登場。やはり蝶野の入場はゾクゾクする。
蝶野の今日のコスチュームはT2000お揃いのバトルスーツ(という事は、いざとなれば他の4人も参戦するという事だろう)なのだが、渕がそれを脱げとクレームを付ける渕。ゴングが鳴っても応じない蝶野に渕はコーナーに寄っ掛かり動こうとしない。そのためゴングが鳴った後もなかなか試合が始まらない。こういう所が二人とも流石役者だ。この変な間が異様に対戦意識を盛り上げる。

それでも、やっと動き始めファースト・コンタクトの首相撲だけで、場内大歓声になる。ロープに追い詰めクリーンに分かれようとする渕に蝶野がいきなりパンチを打つが、渕は体勢を入れ換えてバックドロップを打ちリング中央でフェイス・ロックを。これが、がっちり決まっている。ここで終わってもいいような感じ。しかし、どうにか蝶野はエスケープして場外で体勢を整えるのだが、これだけで、場内大興奮というか大勝負の雰囲気を醸し出す。

その後の試合の展開は他を読んでもらいたが、少し意外だったのは、蝶野はSTFは出すが、ケンカキックや反則まがいというか反則を交えたラフファイトが中心。一方の渕はスキを見てのバックドロップからフェース・ロックや胴締めスリーパーを決めて来る。初めての新日本・全日本対決は両者のスタイルが逆転したような感じだ。
あとで、ビデオで見ると違う印象になるかもしれないが、観客の声援に支えられた、もの凄く醍醐味のある試合だった。流石メジャー対決であった。この試合を見た客は全員が汗を掻き、この日最高気温であった武道館はムンムンとなった。少なくとも蝶野にしてみれば、先日のG1での中西戦も含め、最近新日本でやっている試合よりも何倍も面白い。

勝ち名乗りを受けた蝶野に私服の太陽が出てきて、突っかかってくる。まあ、ぬか喜びしている新日本ファンには悪いが、これで蝶野が太陽のかませ犬になるのは決定的というか、私としては予定通りの展開だな。


7.○S・ハンセン 天龍 源一郎(体固め 26分54秒)川田 利明 ×S・ウイリアムス

もう前の試合で、この日は終わりですと言われても誰も文句を言わないだろう。なんか、おまけのような感じだ。ただ、おまけにしては少し問題があるような。まず、このカードの意図があまり良く分からない。敢えて考えるとしたら、龍艦砲の復活の武道館お披露目に日本人トップと外国人トップを当てるということか。

この試合、途中で客席がシーンとなる場面もあった。「天龍、どうにかしてくれ」という声援が虚しく場内に響き渡るという感じだ。その原因と帳本人は一にも二にも天龍であろう。グーパンチの打ち過ぎである。この試合天龍はグーパンチを3〜4ダースは使ったと思うが、それに呼応して医師も顔面へのフックを出し、ハンセンも最初はレフリーにパンチだとアピールしていたがハンセンまで使うようになってしまった。

しかも天龍のパンチはプロレス流の寸止めパンチだが医師はしょっぱい繋がりの健介と一緒でモロに打って行く。天龍はこれをモロに食らって相当ダメージを受けたのか、二度もローンバトルを強いられ、医師との絡みでは場内を冷やしてしまった。あんな、冷えた天龍の試合を見るのは初めてだ。

途中川田との起き上がりこぶしチョップや、橋本戦との打撃戦を彷彿とさせる逆水平の打ち合いから延髄というのがあり、逆水平には場内は素直に反応して沸くのだが、パンチはダメである。もう顔面パンチの打ち合いは考え直した方がいいと思う。逆水平一発で場内をどよめかせる圧倒的な迫力と存在感があるのにパンチで白けさせてはという感じだ。

そしてもう一つの原因はレフリーの和田京平である。タッグの試合なのに細かく注意し過ぎである。味方のピンチを助けに行こうとする選手を何度もあらかじめ阻止しているのだが、あれはうるさすぎる。UWFインタールールのタッグルールでやっている訳でないんだから、コーナーにいる選手の動きをレフリーが抑えたらタッグの試合のダイナミズムが阻害される。しかも、頭を抱えたくなるのは、前半で医師が場外に落ち天龍がトペを打とうとするときレフリーが阻止しているのである。なんなんだ、お前という感じである。お前はレフリーとして選手にルールを遵法させようとしているのか、楽しめる試合を作ろうとしているのかどっちだと言いたい。トミーさんなんか、広田が飛鳥にトペを打とうとするムーブをする時には、「おい、飛ぶのか、飛ぶのか?」と聞いてロープを広げてあげる。ウォーリーが真ん中の試合でやっているように、選手の動きに任せるべきであろう。第一試合もなんか違和感を感じたのは、レフリーがタッグのダイナミズムを奪っていたからであろう。分裂前での全日本でもメインの試合内容がいま一つになったのは、実はメインレフリーが試合のダイナミズムを奪っていたからではないか。


それでも、これではあまりにしょっぱいと思ったのか、医師・ハンセンの絡みで、ハンセンがラリアットを打とうをするが切り換えされてハンセンがピンチになり、医師のパンチと二度のローンバトルを強いられた天龍が出てきて医師に突っ張りを打ち場外に落す。すかさず入って来る川田にハンセンがラリアットを打ち、天龍は医師にトペ。天龍が医師をリングに上げ合体攻撃で十分痛ぶってから、ハンセンがラリアットからピン。 もうこの試合は、この最後の2〜3分で救われたようなものである。
試合後、川田の「今日、負けた事により自分も新日本のトップと戦いたくなった。応援してください」とマイクアピール。

なんか、混沌してして来た全日本だが、今日の興行的にはメジャーとして十分満足の行く内容であった。まあ、ハッピーエンドでは無いのに此処まで見せてくれるのは嬉しい限りだし。ワクワク度は分裂前よりも遥かに上だし、第一試合からの内容を考えると、もはや上を行っているかもしれない。

まあ、所々問題があるとしても、そこもまた期待できるところだ。今、一番注目すべき団体は、間違いなく新生全日本だな。ダイナミズムがある。




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