8.26 全日本 後楽園ホール
■団体:全日本
■日時:2000年8月26日
■会場:後楽園ホール
■書き手:maya(名前をクリックするとプロフィールの欄に飛びます)

前回の8.20ホールの観戦記では私は、

>過度期の全日本。試合的には全てが満足いく水準ではないかもしれないが、従来のメジャーにありがちな完成された枠の中での楽しみではなく、何が起るか分からないワクワク感が今の全日本には溢れている。全日本がこんな新鮮さと刺激に溢れているのは、久し振りである。

と占めたのだが、逆に言えば試合的には満足行かなかったという事だ。
この日も龍艦砲が見れるとか、チケットを買った後に決まった事だが、私の好きなM2Kが初参戦するとかそのくらいの興味で、試合的には大きな期待をしていなかった。
ところが、結論から言うと武道館や8.20のホールが50点だとしたら、この日は80点ぐらいの出来であった(ちなみに2日前の闘龍門は90点で前日のGAEAは69点かな)。
ものの一週間で変貌してしまった。確かに前回のホールはシリーズ初日でしかもこの日から初参戦という選手もいたので、ぎこちない所もあったが、それにしてもの変りぶりである。


開演30分前にはもう指定席は売り切れであった。一体どういう人が今の全日本を見に来るのか不思議だが。会場では、大仁田が来たと騒いでいたが私は見れずしまい。どうせ見ても仕方無いけど。

試合前はGAORAとかでやっているWCWサンダー実況の松崎さんが、ビデオの宣伝をしたくらいで、淡々と第一試合が始まる。闘龍門のMCコーナーやGAEAでは前の試合のダイジェストを流したりするのに慣れてしまったので、唐突な感じ。尤も、MCコーナーといっても、天龍じゃ何を言っているか分からないだろうし、川田は話題が無さそうだし、太陽は日本語を喋れないし、渕だとオヤジの説教みたくなるから仕方ないか。

1,渕 正信(10分14秒,フェースロック)荒谷信孝
  
まずは、例によって渕の実戦教室。今日の生徒は荒谷君。
渕は相島、荒谷、奥村といった今までインディーにいた即戦力の選手を道場で指導をしていると思うが、そんな彼らを実戦で確認するのが、この第一試合の意義なのだろう。
前回の相島のように荒谷は渕のグランド油地獄に翻弄されていくのかと思いきやパワーで対抗していく。
何度も書いているが、7.13のWARでは思い切りしょっぱかった荒谷。あの時は表情もなんかヤル気が無さそうで印象に残るひどさだった。先週のホールは初参戦ということで動きが硬かったが、若干は良くなっていた。それで今日はというと、表情がこの間のWARと別人ではないかと思える程スッキリしていた。北向きの荒谷も今迄の渡り鳥生活からやりがいのある定着する場が出来て心境の変化があったのだろうか。

ジュニアの多い闘龍門とGAEAを見て来たので120キロの荒谷はやはり迫力がある。試合は渕のインサイド・ワークと荒谷のパワーという感じで、結構五分五分の攻防で場内を沸かせていた。最後は荒谷がムーンサルトを狙おうとしたところを、雪崩式のバックドロップともう一発バックドロップ、そしてフェースロックががっちり決まりギブアップ負けだったが、第一試合としては平均以上の試合だった。
だけど、荒谷は本当は強いから、渕に負けてる場合ではないという気もするが。

2,望月成晃     S・パルカ
  神田裕之(1−0)ハロウイン
  望月 享     ダミアン666
  
  望月成(9分49秒,片エビ固め)ダミアン
  ※垂直落下式ブレーンバスター
  
期待と不安のこの試合。期待はもちろんM2Kの初参戦。不安は先週見た感じメヒコ軍はしょっぱかったので試合が組み立てられるのか。初戦だからリングのコンディションにとまどうのではないか。例えば、闘龍門とみちのくにはリングと客席の間の鉄柵やマットが無いし、ロープの高さや緩みが違うと空中戦やロープワークを多用する選手は苦労する。あと、レフリー。前回のウォーリーのレフリングを見る限りルチャを分かっていないような気がする。こういう試合はレフリーの存在が大きい。

メヒコ軍は今迄ベビーとルードが二人づつ分かれてタッグの試合をやっていたのだが、今日はルード側にベビーの選手が一人加わりチームを結成。ただ試合を行なわないもう一人もセコンドとして一緒に入場。
M2Kはいつものようにキックボードで入場。M2Kのこの入場シーンってなんか格好いいような、微笑ましいような感じでいいね。

他のBBSでも話題になっている、バルコニーにいるウルサイ奴のせいで、メヒコ軍がベビーになった感じで、M2Kにはブーイング。まあ、M2Kもともとルードだからいいけど。だけど、あいつはうるさくて他の客に迷惑だな。客のくせして試合を作ろうとしてはいけないな。とにかく入場時からブーイングを浴びたので、神田が客席に向かい悪態をつこうとした所、目の前にいた私が大きな声で、「カンダァ〜、たのむぞォ〜」と声援を送ったので止めてしまった。
神田、気勢をそいでしまって申し訳無い。だけど、この3人、全日本初参戦なんて感じさせない堂々とした雰囲気だ。試合前だけど、雰囲気だけでも勝っているな。

前回の試合を見た感じでは、メヒコ軍はルチャの中ではかなりしょっぱかったのだが、今日は全然違う見違える動きであった。とても同じ人たちとは思えない動きである。これぞ本場。

この3人が組むのが初めてかどうか分からないが、絶妙のコンビネーションとトリッキーな切返し技で、M2Kを翻弄してくる。「チョシュー」と叫びながらラリアットを打ち、さそりに持っていく日本人が好むであろうムーブも織り交ぜてくる。
一方M2Kは2日前に見たC-MAX戦と違い、相手の動きが分からないぶん、結構苦戦気味だった。連係も一昨日のC-MAX戦に比べると空振り的だったが、まあ仕方無いか。
この日はルチャ的ではないが、劣勢をモチマサの個人技で巻き返した感じだ。まあ、それも若い二人の好フォローがあった上での事だが。

最後はモチマサが貫禄のピンフォールを取ったが、試合内容的には十分以上である。十分客席を温めたし、今日初めてM2Kを見た客の中でも、これだけでも見に行きたいと思った人はいるのではないか。

何よりも私が驚いたのは、後で確認したらこの試合が10分弱の試合だったことである。私はてっきり20分くらいやっていたのではないかと思った。その位、具たくさんだったという意味である。

そして、懸案だったレフリングであるが、これは私がウォーリーに謝まらなければならない。タッチでの交代だけは譲らなかったけど、あとは両チームの流れるような動きになるべく水を差さずに、自由にやらせたような感じである。そのため、レフリーにより試合の流れが分断されるというか、そういう不都合な事はほとんど無かった。
なるべく選手の動きに任せ、最低限の所でしか出て来ない、ナイスレフリングである。やっぱ、ウォーリーは場数を踏んでいるという感じだ。

それにしても、モチマサはいいとして、神田のデビューは98年8月、キャリア丁度2年、望月享は98年11月、キャリアはまだ2年いってない。年齢は二人とも22歳だ。
このキャリアと年齢で、あそこまで客を引きつける力は大したものだ。この日は初対決だったが、相手との対戦を積み重ねれば、もっと練れた試合になって来るだろう。M2Kを見たいから全日本に行くという人が出てくるだろう。
武道館の花道はキックボードで走り甲斐があるであろう。武道館での彼らのファイトが楽しみだ。

3,新崎人生(15分19秒,極楽固め)サブゥー
  
旧WWF・ECW対決といった所だろうか。怪奇派、クセ者対決である。 しかし、試合は開始3〜4分くらいから、たいしたダメージでもないのにサブゥーのアゴに貼っていたテープから血が流れて来た。前の試合でやったんだろうが、これが結構半端な量でない。もうこの時点でサブゥー、適当に流してもいいよという感じ。

案の定、コンディション最悪のサブゥーは体重差もある人生につかまる展開に。しかし、サブゥーは場外戦を切返すと椅子を使って、鉄柵越えのプランチャ、本部席の机で場外に寝かせダイビング・ギロチンを3発出して来る。あのコンデションでヨレヨレになっても自分の持ち技を見せるサブゥーにプロ意識を感じるが、それをまともに受ける人生にもプロ意識を感じる。さすが、WWF・ECW対決である。

ダイビング・ギロチンの後に、割れた机の破片をリングに持ち込む所は、さすが男・KAORUである。(本当はKAORUが女・サブゥーという気もするが。)KAORUが使う机の破片を巧く使いサブゥーは人生を追い詰めて行く。(KAORUは一回サブゥーのムーブを見た方がいいな。だけど、KAORUならサブゥー以上の事が出来ると思うが。)

しかし最後は、椅子を使ってのロープワークを失敗し(ロープの緩みを読み間違えたか)念仏パワーボムから、ブラディEX、あっ間違えた極楽固め。
だけど、サブゥーは前もあまり良くないいとは思ったが、コンディションをどうにかした方がいいな。昔の破茶目茶さは感じられないな。

4,太陽ケア(1−0)奥村茂雄
  相島勇人     ザ・セッドマン

この試合は、今後の全日本を支える者同志の戦いという意味では、興味深い。
まず、相島はかなり客受けしている。もう完全に新生全日本の常連という感じだ。今日も含め私が見る相島の試合はこれで3試合目なのだが、もはや新生全日本の常連という感じだ。相島の良さは、試合中の技とかはあまり覚えていないのだが、それなりの雰囲気がある。プロレスラーは何がなんでも見映えである。どんなに強くても4頭身の短足野郎が強そうでも客の支持は低くなる。まあ、プロレスラーはそれなりの雰囲気が重要だ。
奥村は風貌的にはイマイチなんだけど、ここぞという時の投げ技が結構冴える。特に、どこで覚えたのかエクスプロイダーはポイントが高かった。客席をどよめかせる力がある。
セッドマンはとんだ食わせ物だな。というより、全然プロレスを知らない。誰か教えるしか無いだろう。

それで、太陽ケアだが、この中では完全に格上の雰囲気を漂わせている。風貌も技、動きも次期エースにふさわしいものになっている。実際この日も余裕の貫禄勝ちという感じだ。新日本も下手するとケアに敵わないという事もあり得るかもしれない。問題は名前だけなんだけどな。

5,川田利明(17分35秒,フェースロック)J・スミス

思い切り、しょっぱい試合になるか、好勝負になるか。川田は先シリーズから渕、人生といった選手とシングルをやり自分の位置を明確にしているようだ。

試合は7割は川田がスミスに付き合うようなグランドの展開。藤原にもほとんど互角以上だったスミスのグランドテクニックは万華鏡のようで見応えがある。中には、そんな技本当にあるのかよと思わせる攻撃もある。スミスのトリッキーな寝技も面白いが、川田の逃げ方も川田らしくてなかなかいい。かかと落し、ビンタ、キックを寝ながら出して来るので。寝ながら2人で殴り合っている姿はなんか微笑ましい。

しかし、新生全日本は今の新日本以上にストロング・スタイルの試合が多い。しかも、渕、藤原のゴッチ流やスミスのキャッチ風(ゴッチもキャッチなのかな良く分からないけど)川田のアメリカン・バチバチ・スタイル、人生の正統レスリング・スタイルと個性があっていい。

グランドでは6:4位でスミス有利に。一度裏アキレスで、あわやという場面があったものの基本的には余裕でかわしていた感じだ。

そして、この試合、川田が言う通り大技は、スミスのバーニング・ハンマー(たぶん)と川田が最後の最後に出したパワーボム2つくらいだったろう。川田は自分の主張を試合で示したような感じだ。 緊張感のある素晴らしい試合だった。

6,60分1本勝負
  S・ハンセン(1−0)S・ウイリアムス
  天龍源一郎      M・バートン
  
  天龍(17分45秒,片エビ固め)バートン ※ラリアット

そして、やっとメイン。当然私のお目当ては、ノスタルジーとか、もうじいさんではないかと言われようが龍艦砲の復活である。昨年12月の世界最強タッグリーグでの田上・ハンセン組を見て、また一週間後の武藤・天龍のタイトルマッチを見て、一度でいいから、もう一回、ハンセン・天龍組を見てみたいと思ったのだが、当時では到底実現不可能なシチュエーションだった。鶴田が逝去した後、天龍とハンセンのインタビューが2週に渡って掲載されていたけど、お互いに対するコメントが無いのは少し寂しかった。

ハンセンと鶴田と言えば、ファンクス道場で一緒で、近くの牧場のお祭りのステーキ大食いコンテストで、二人で食い倒したというエピソードがあるが、ハンセンと天龍もジョージア時代に一緒にサーキットをしており、同じアパートに住んでいた時には、天龍がハンセンにチャンコを作ってあげた事もあるそうだ。 つまり、ハンセンと天龍も絆は深いのだが、つい最近迄お互いが再び交わるなんて事は考えられないし、インタビューでお互いの名前を出すことも出来なかった。その二人が何の因果か同じコーナーに並ぶのである。ストーンズファンの私は、じじいフェチなんだ。

入場は医師・バートン組から。バートンは相変わらずリングサイドを一周し観客とハイタッチ。だけど、このコンビなにげに大丈夫かなという気がする。だって、医師ってバートンのパンチを食らってWWFで働けなくなったんでしょう。まあ、それが無くても厳しいとは思うが。しかし、そんな心配はよそに、結構チームワークは良かった。ひとまず、過去の因縁は水に流したという所か。
そして、ハンセンと天龍は合体テーマで。リング上でしきりに天龍を挑発する医師。10年前の因縁なのか、最近出来たのか分からないが、試合中でもそれが続く。

それにしても、この4人が同時に上がると、本当にリングが小さく見える。ジャイアント馬場では無いが、やはりプロレスの醍醐味は大男同志のしばき合いのような感じがする。

試合は医師と天龍から始まるのだが、ここで薄々感じていたが決定的な事実が。新日本では、天龍が打撃やパワーで負けるという事は、ほとんど無かった。ノートンでも一応互角にやっていた。
しかし、全日本の外人は新日本の選手とパワーが違う。打撃戦、パワーでも天龍を上まわっている。逆水平の打ち合いやタックルでも天龍が打ち負ける場面がしばしばある。しかも、その上に医師はグーパンチのフックまで出してくる。これは相当ダメージが大きいみたいだ。まあ、これは天龍の身から出た錆だから仕方無いけど。

しかし、ただでは転ばない天龍。パワーで押され気味と感じると技を出して来る。延髄で揺さぶりを掛けるのは当然だが、DDT、ダイビング・エルボー、羽根折り固め、ドラゴン・スクリュー、圧巻は脇固め。しかも入り方はスタンディングから木戸も真っ青という感じで。なんだか、新日本の選手の持ち技をほとんどパクッた感じだ。
新日本の時は打撃技だけで、技なんてタイトルマッチ位しか出していなかったが、こういうトリッキーな天龍は面白い。
ハンセン・天龍組は、10年前はどちらかというとハンセンがリードを取っていたが、タッグといいながらもお互いの個人技に頼った、バラバラの印象が強かったが、この日はハンセンが天龍のサポートをし、どちらかというと天龍主導で動いている感じがした。久し振りなので、まだぎこち無い所もあるが、やっぱ天龍の正パートナーはハンセンが一番しっくり来る。

試合は、さすがにバテ気味のハンセンが捕まり気味で、7:3位で医師組が優勢だったが、最後は合体パワーボムからのラリアットでソツ無く終わらせる。

試合後も結構天龍に突っかかってくる医師。今迄全日本では浮き気味だった医師もやっと自分の本領を発揮できる相手を見つけた感じだ。やっぱ医師の相手は人生達では厳しいものがある。この日の医師は天龍相手にいつもよりサマになっていた。

まあ、久し振りの対決だから、ぎこちない所もあったが、相手の手の内が分かって来るに従い、また変わってくるであろう。


TAKAみちのくが言うには、WWFでは半年位は毎日同じ相手と試合が組まれて、相手の持ち味を知りつくした上で、試合に反映させて来るという。新生全日本は、様々な所から、様々なスタイルの選手が集って来たから慣れるのに相当時間がかかると思ったが、一週間でこれだけ持ち直したのは大したものだ。まだまだ、良くなると思うが、取り敢えず観客を満足させる水準には達している。これだったら、天龍が言うように新日本との対抗戦は必要無いような気もする。まあ、太陽を全国区にするにはいいかもしれないが。

次の武道館が楽しみだ、と言いたいところだが、それまでにハンセンがバテなければいいが。それだけが心配だ。




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