8.25 GAEA 後楽園ホール
■団体:GAEAJapan
■日時:2000年8月25日
■会場:後楽園ホール
■書き手:maya(名前をクリックするとプロフィールの欄に飛びます)

ホールでは今年初めての金曜日の興行だったが、さすがに出足は悪い。客層にOLが多いので給料日の誘いも原因しているか。結局は観衆2000人(満員)という事なので、普段よりも一割減だ。

それでも、今日は9.15の横浜文体の前哨戦でカードもその色が濃い。面白くならないはずがない。

1,北斗 晶(1−0)植松寿絵
  山田敏代     加藤園子
  
  山田(10分55秒,体固め)植松
  ※エルボーカッター
  
この日は全員一人づつの入場。山田、北斗、植松の順に入ってきて最後に園子だったのだが、園子は竹刀を片手に北斗にダッシュで襲いかかる。北斗もすぐに木刀を手にして迎撃。一度は植松に押えられるが、それを振り切りなおも北斗に向かう。試合前からのブチ切れモードの園子。なかなかやってくれる。
山田も植松を攻撃しいきなり乱戦モードでスタート。文体で組まれるであろうシングルを同時に2箇所でやっているような感じだ。
特に北斗と園子はマウントを取り合っての殴り合いになりプロレスというより、これはもうケンカだ。

試合は一旦落ち着くが園子と北斗が絡むとまた危険なムードに。それでも今日の園子は少しは考えて来たのか、脇固め(これは結構腕が反り曲がっておりかなり危険だったが北斗は絶対ギブしない)掟破りのストラングルホールド、逆回し蹴りとかを出していくが、北斗を追い詰めるまではいかない。気持ちが先行しており、技が単調でカラ回りしている感じだ。
試合は園子と北斗がやりあっている間に植松が山田のエルボーカッターであっさりピンを取られる。試合後に、北斗と山田が文体での対戦を要望。ここで2カードが決まり。

この試合は文体の前哨戦としてかなりヒートする事は予想出来たが、キレた園子に引っ張られてしまい、全員が半キレ状態になり、誰も試合を組み立てられず終わってしまった。いつもの、GAEA的な熱戦とは違い殺伐さと危険な雰囲気は出たが、混乱のうちに試合が始まり混乱のうちに終わったような感じで、まあたまにはこういうのも良いが、試合の出来はとても誉められるようなものではない感じだ。客も個々の選手のキレ方に少し引いてしまった。

考えてみると、私の好きな天龍が新日本で最後にやった選手は健介で、私の好きな園子が今度やる相手は北斗か。となると、文体で北斗を仕留める技はあの技しかないな。
試合後の園子。北斗に対して、「お前を同じ頭にしてやる。」

2,広田さくら(4分6秒,グラウンド式YEBISU)竹内彩夏
  
スクリーントークは、飛鳥が広田のおかあさんにベルトを返し、それが広田を奪い再び新チャンピオンに。しかし母娘とも飛鳥の落したたらいに気絶しているうちに、またなにものかに奪われてしまう。
次に対戦相手の竹内には、「今日の試合の結果で文体のカードが決まる。いつものようにお前と遊んでいる訳にはいかない」と言いひとつの笑いも取らずあっさり終わってしまった。逆に驚きのどよめきが。

試合も広田は笑わせる事を意識せずに真面目モードに。前の試合の殺伐とした雰囲気を和ませてもらえると期待したが、そんな事関係無く普通のプロレスを展開する。ヒップアタックはいつもの倍の威力だ。竹内にほとんど何もさせず、貫禄の横綱相撲で何のオチも無く5分で終わってしまった。

試合後に今の試合の解説とかを始めやっといつもの広田モードにと思いきや、場内が暗転しスクリーンに有明ポリスがベルトを抱えて登場。俺がベルトを頂いたと言い、後ろに気を付けろと言い暗闇から登場、広田を急襲し(さくら可哀想)「おまえなんてチーム・クラッシュとか言っても所詮クズなんだよ」と悪態をついてとっと帰ってしまう。それに対しキレた広田が「レスラーになって初めてこの言葉を言う。お前の首を刈ってやる!」愛想無しに退場。

しかし、この有明ポリスは受けが悪い。男子の試合に女子が入ってくるのは許せるが、その逆は見ててつらいものがある。サニー・オノオみたにユーモラスならまだ許せるが、有明ポリスにそんな芸を求める訳にも行かないし下品で声がデカイだけだという感じだ。

有明ポリスの登場で、場内はまたお寒い雰囲気に。

3,S・佐藤(9分51秒,エビ固め)KAORU
  ※ライガーボム
  
KAORUとシュガーの抗争は結構息が長い。最近下火だったがまた再熱(蒸し返し?)という感じだ。それでも前回のOZ興行ではバンクハウスマッチで名勝負を見せてくれたし、前回のKAORUの飛鳥とのシングルは今年のベストバウトであった。

しかし、試合はてんで期待外れの展開に。理由は今度はKAORUがキレ過ぎたため。いくら文体前とはいえ、どいつもこいつもどうしたんだよというキレ具合である。今日のKAORUは最初から半キレ気味で、凶器攻撃や反則もいつもより多めかなという感じだったが、それを厳しく止める伊東レフリーにキレてしまい、暴行を働いてしまう。攻撃の合間にも度々伊東さんに手を出す。
しかも、試合はシュガーのパワーに押され気味で最後にはライガーボムを5発くらい食らってしまう。ほとんどいいところ無しである(試合開始早々の高速ラ・ケブラータは神業だったが)。

試合後には、シュガーに「まだ1勝だ。お前を骨抜きにしてやる」と言われてしまうし始末。最後も伊東さんと止めに入ったトミーさんにも八つ当たり。この間の試合が良かっただけに、今日のKAORUは痛々しい。

ここで休憩。

ここまでの感想は今日のGAEAは少し寒い。昨日とんでも無い興行を見てしまったのもあるし、ここ最近のGAEAの密度が格段に上がっていたので、求めるものが高いのでそう感じてしまうからかもしれないが、実際に今日の客席はいつもより静かである。

GAEAは個性の強い選手が集って来るので、積極的に自分をアピールしていかないと渦の中に埋もれてしまう。そういう中で先日の名古屋での園子の半狂乱のファイトとかがあるのだろうが、アピールするために今日みたいに誰も彼もがキレてしまうと客は引いてしまう。
面白おかしくない顔をして淡々とやられるよりマシだが、あまり行きすぎるとという感じだ。

休憩時間にロビーでタバコを吸っていると沈痛な面持ちの木村統括部長と中島リングアナウンサーが応接室に入っていった。今日の雰囲気を察知し対策を練り直すのであろう。まあこういう対応の素早さもGAEAがGAEAたる所以だが。

4,45分1本勝負
  長与千種 (1−0)D・関西
  永島千佳世     尾崎魔弓
  
  長与(11分29秒,体固め)関西
  ※二段蹴り
 
前半の重苦しい雰囲気を引きずり、また尾崎がいきなりキレ気味。先日の大阪で永島からピンを取られたのがあり、試合開始早々永島をライガーボムでわざとターンバックにぶつけるラフな攻撃。またかという殺伐とした感じ。いきなり荒技を食らった永島はダメージが重かったのか技の精度がいまいち良くない。

しかし、長与に交代し一息ついた永島は、いつものナガシマ・ムーブを出し、この日のGAEA興行の沈滞ムードまでも救ったと言える。
ベテラン3人の中に若手一人というのは典型的な全女スタイル。しかも、関西、尾崎、長与という女子プロ界を代表する大御所の中で試合を引っ張っていったのは紛れもなく永島である。

長与に意地でもダイハード関西を打とうとする関西に一旦はパワーで跳ね返されたが、フランケンで切返したり、最近動きが読まれがちだったが、巨漢の関西に微妙にポイントをずらしたドロップキックや相手の頭上でクルクル回り腕ひしぎに行くのも微妙にタイミングをずらして極めに行く。
普段より静かめな客席を永島が一気に着火したようなものだ。

圧巻は尾崎との攻防だ。先日、GAORAで田中アナウンサーが尾崎と永島の攻防というのは一種聖域みたいなものを感じると言っていたが、まさにそんな感じである。試合開始早々の殺伐とした雰囲気を引きずりながらも、二人だけしか出来無い高速度の切返しとトリッキーな動きに戦っている二人も観客も引きずり込まれてくる。永島は尾崎の裏拳をかいくぐって掟破りのテキーラ・サンライズを打つと、尾崎は情け容赦の無い攻撃で永島を追い詰めて行く。最後は二人でトップロープに宙づりになりながらも攻撃の手を緩めていなかった。尾崎の方にも余裕の”よ”の字も無い。

試合は長与が関西をラリアットで追い詰め、最後は奇をてらったような二段蹴りでピン(しかし、お前もランニグスリーとか、スパーフリークとかを使えよと言いたいが、今の長与では関西を持ち上げられないか)。

当然の如く文体での尾崎対永島のシングルは決まり。この両者に今迄見たことのない誰にも邪魔されない二人だけの聖域での攻防を期待させてくれる。

5,60分1本勝負
  D・雅美 (1−0)L・飛鳥
  A・コング     里村明衣子
  
  アジャ(10分54秒,エビ固め)飛鳥
  ※裏拳
  
やっと普段の雰囲気に戻ったGAEAの会場。この試合も前の試合同様の全女スタイル。しかし、今の里村はついにデビル、アジャ、飛鳥という大御所というより、女子プロ最強3人の中で、面構えだけは全く見劣りしない。

それに比べて飛鳥。最近長与と組んでなんかヘラヘラしている時があり、時々クラッシュを再結成する前の圧倒的な雰囲気を感じられない時がある。長与はヘラヘラしたキャラでもいいが飛鳥がそれに合わせたら魅力半減である。今日も入場時に長与があおり、飛鳥もなんかそれに合わせておちゃらけて入場して来たのだが、卑弥呼興行とかのチャリティーとかなら、それはそれでいいが、本興行でそれをやって欲しくない。しかも試合前から。私は個人的に飛鳥には圧倒的に強いイメージで聳え立っている存在でいて欲しい。長与との違い緩みの無いストイックさが飛鳥の魅力である。
ちなみに、飛鳥は昨年175試合に出場して、タッグでピンを取られた事は無く、シングルは75勝1敗らしい。もちろんこの1敗は、昨年の9.15文体で長与から取られたものである。今年は昨年よりも試合数は少ないが、ピンを取られたのは有明前の大阪大会でデビルから取られた一つだけである。
圧倒的な存在を醸し出す資格のある選手なのである。

試合はゴング前に、セコンド・カメラマンを巻き込んだ上での、舌戦から。アジャが飛鳥に「今日はお前に恥をかかせてやる」とアピール。

試合開始早々、アジャは先程のアピール通り、もの凄い動き。トペは失敗したものの、いつに無い素早い動きで飛鳥を追い詰めていく。
しかし、この試合の最大の攻防はデビルと里村との間での、いつものしばき合いの後に、里村はデビルにエルボーから裏拳を出す。この裏拳にはデビルも虚を突かれたのか片ひざをついてしまった。なおも裏拳エルボーを叩き込む里村だが、デビルは徐々に体勢を立て直し里村の打撃を直立不動で受け全くダメージを受けて無いように微動だにしなくなる。そのうちデビルは里村との間合いを埋めるために本当に徐々にゆっくりと間合いを詰めるため少しづつ前進してくるが、里村の攻撃には全く反応しなくなる。
私の席からはデビルは背中向きだったので、どいう表情をしているか分からなかったが、何を打っても微動だにせず、だんだんと間合いを詰められる里村の表情を見て大体が予想出来た。里村の顔から血の気が引いて、デビルの圧力にたじろいでいるのである。腰も引けているかもしれない。
そして、ついに今日はデビルまでもキレてしまった。里村にやらせるだけやらせてから、怒濤の逆水平で里村をふっ飛ばしてみせる。

もう今日は数えたらキリが無い程、いろいろな選手がキレているのだが、流石デビルである。キレ方の怖さも半端でないし、あくまでも大人のキレ方である。この時点で今日はデビルに持っていかれたような気がする。 スーパーヒールの場合は、ある程度アングルの中での怖さというのがあるが、デビル雅美での怖さというのは、オマージュしようが無いだけ余計強烈である。

たじろく里村の方が情けないと思う人がいるかもしれないが、里村は血の気の多い選手で自分が勝つためには腕の一本くらい折れてもいいやとか、極端な話、試合に勝つなら死んでも構わないと思うほどストイックな、ある意味勝負にこだわる選手である。
何があっても、自分から折れるという事はまずない。その選手がたじろくのであるから、この時のデビルの恐ろしさは半端では無いだろう。

恐らく、おそろしゴリラより恐ろしいであろう。おそろしや、おそろしや、おそろしデビル。

試合はアジャが前の試合で文体のタッグパートナーである関西の敵討ちもあり、飛鳥を執拗に裏拳で追い込みピンを取る。

最近はオオバコ前の後楽園ホールでは負けた方が勝つというアングルを引いているGAEAだが、長与が関西に勝ち、アジャが飛鳥からピンを取る、また訳のわからない状況にしてきた。さすが、GAEA。抜け目が無い。
まあ、試合前にヘラヘラおちゃらけてる飛鳥が負けて当たり前。昨年より試合数が極端に少ないのに、今年2度目のピンフォール負けだ。飛鳥はこれで気合いを入れ直してくれるだろう。

今日は途中迄どうなっちゃうんだという感じの興行だが、最後の2試合で助かった。しかも、考え直してみると、文体への数々の伏線も打たれた。

特に最近一期生は各自、自分の技の精度を磨く事に専念していたが、流石に読まれはじめて来た。例えば、里村は過去のアジャ戦はあくまでもデスバレーで勝負に行き、新技を出していない。
しかし、今日は、園子のストラングルホールド、永島のテキーラ・サンライズ、里村の裏拳といった、文体の相手に揺さぶりを掛ける新技を出してきた。更になにかあるのだろうか。そこが最大の勝負の分かれ目だと思う。

一期生の彼女達がフリーの大物と同じ地力を付けたとは言いがたいが、尻尾くらいは見えて来ただろう。全然敵わない全くかけ離れた相手という訳でも無くなった。
その地力の差を埋めるのは、意外な展開、意外な大技であり、少なくとも大舞台でそういう事をできる才量は身につけており、この日はそれを予告のように出して来て揺さぶりをかけてきた。

この先が無ければ、それ迄という気がするが、なにかやってくれる雰囲気だけは、この日感じさせてもらった。
いつもより、少しへこんだ興行で少しつらいかなと思ったが、それがかえって文体への伏線と期待を含まらせてくれた試合であった。特に一期生には。




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