満を持して登場 新日本プロレス 7/30横浜アリーナ大会(病的に激長な)観戦記
■団体:新日本プロレス
■日時:2000年7月30日
■会場:横浜アリーナ
■書き手:愚傾(名前をクリックするとプロフィールの欄に飛びます)

 開始時刻より1時間半も早い15:30に新横浜に到着。一緒に観戦することになってるノリリン閣下、品川親分、メモ8っつぁんとの待ち合わせ場所までとりあえず行こうと、駅前をホテホテ歩いてると顔見知りのダフ屋の兄ちゃんに遭遇。横アリでの興行でダフ屋が駅前まで来るのは相当に「入ってる」証拠である。簡単な挨拶の後、恒例の歓談タイム。

愚:「どうっすか? 今日の調子は。」
ダ:「アカンなぁ。キッツイわぁ。」
愚:「あ、そう? でも前売りも完売したみたいだし、かなり
   入りそうだと思ったんだけどなぁ。」
ダ:「いや、それがアカンねん。前売りが完売しようやろ?
   せやからワシらんとこにチケットが殆ど入ってきいひんねん。」
愚:「あぁ、なるほどね。」
ダ:「ホンマになぁ。なんでこのカードをドームでせえへんねや?
   ドームやったらワシらもそこそこ儲けられんねんけど。」
愚:「うーん、やっぱ今日は新日っていうより長州興行だからじゃないすか?」
ダ:「そんなとこやろな。しっかし、これから新日本も、PPVゆうんか?
   ああいうのドンドン増やしてくんやろか? そしたらアレやわ。
   ワシらも商売やりにくぅなるわなぁ。」

 この後、8/5ディファ有明のNOAH旗揚げ戦のチケットはなんとかならんか? と聞いてみたところ、「アカン。そっちはもっとムリや。」と、にべもないお答え。やっぱ前日から徹夜で並ぶしかないのね。


 開始10分前に会場入りすると、案の定、客席は満杯。手前が見てきた同会場の興行の中でも間違いなく一番の入りだと言える(それまでは93年の女子プロオールスター戦がNo1だった。同席のメモ8っつぁん曰く、前田vsカレリンよりも入ってるんじゃないか? とのこと)。

 藤田和之が公式キャラを務める「Soul(魂)」のTシャツを買うためグッズ売り場にいくと、G−EGGSとT2000のものくらいしか置いてなかったので、やっぱり今日は長州一派の興行なんだ、と推察。本来ならばここにT2000のグッズは並ばないはずなのだが、それでもグッズを売り出しているのは蝶野一派のAKIRAが出場するからか? というか、そのためだけにAKIRAを出場させてたりして。ちなみに小島や天山のTシャツは無し。正規軍でも獣神なんかのは無し。カシンのTシャツは置いてあったような気が。。。


 しばらくして、ワールドプロレスリングのテーマ曲(EL&Pのアレ)が流れはじめて、対戦カードの発表。今回はオーロラビジョンを使わず、田の中ケロ太郎リングアナのアナウンスのみで発表する「普段の」プロレス方式。PPVでこのシーンは放送されたのかしら。だとしたら演出にはもっと凝ってもいいんじゃないかと思うんだけど。とりあえず、淡々とした流れのなか、第一試合開始。


第一試合(シングル)
○真壁 伸也(9分33秒 逆エビ固め)棚橋 弘至×

 両者共に花道を走って入場。それにしても棚橋の肉体は素晴らしい。藤田もデビュー当時から凄い筋肉してたけど、あれとは別の説得力がある。なんというか、キレイなのね。肉のつき方が。タッパも結構あるし、ヘタに大剛さんのとこに預けてアレさせるよりも、この肉体美を維持させるようにしたほうがいいんじゃないかな。

 序盤は張り手合戦から、腕を取ったり足を取ったりという典型的な新日本第一試合スタイル。その中で棚橋はファイヤーマンズキャリーや、ヘッドシザースを首のバネで切り返したりというムーブをソツなくこなし、筋肉質でありながら体も柔らかいところを見せる。もっともああいう体型だと体は堅い感じのほうが強そうに見えるんだけど。

 最後は、棚橋のフィニッシュ技(ダブルアームスープレックスで投げてそのまま固める)をカウント2で返して、出す技を無くさせたところでジャーマンから逆エビで真壁がギブアップ勝ち。この逆エビも堂々としてて良かった。こういう試合を第一試合に持ってこれるあたりが新日本の強みだと思う。


第二試合(シングル)
○田中 稔(10分32秒 腕ひしぎ逆十字固め)AKIRA×

 AKIRAの「vsジュニアヘビー」にハズレ無し! というジンクスもあるので、カード発表時から楽しみにしてたカードの一つ・・・だったんだけどなぁ。。。

 とりあえず、AKIRAの入場は良いですな。テーマ曲がノリノリというわけでもないのに、客席の視線を一手に集中させる表情、仕草、見栄の切りっぷりは流石に練られてる。この時、手前が座ってた席の近くに「やっぱり舞台役者は違うねぇ」「いや、あれはカミさんの影響だよ」「猪木だって倍賞美津子と結婚してから随分変わったしな」「やっぱりレスラーは女優をヨメに貰わなきゃダメだな」という随分な結論を導き出してる人達がいた。こういうイヤな大人にはなりたくないもんである。

 序盤、稔の飛びつき腕十字やAKIRAのトペでツカミを図る(まぁ稔にはそれしか無いんだが)。中盤から、ヘビー級の「重み」で稔をダウンさせたAKIRAが膝十字で稔の膝を狙う。これが稔には効果覿面だったようで、そこから試合はAKIRAが膝を責め、稔がそれを痛がる展開となる。

 コーナー近くで稔をうつ伏せに裏返し、フンガー!と叫びながらトップロープからムササビ(フライングボディプレス)を稔の膝に敢行するAKIRA。これが決まった。痛がる稔。逆側のコーナーから、ボディに降りかかる正調ムササビでトドメを刺そうとすると、待ってましたとばかりに稔の膝がAKIRAの腹に食い込む。AKIRA悶絶。すると稔はすかさず腕ひしぎに入り、ちょっと我慢しつつもAKIRAがタップ。稔、ヘビー級相手に金星!

 と、経過だけを書くとそこそこ盛りあがった試合のように見えるが、実はそうでもなく、AKIRAの膝責めがやたらと中途半端な点が目に付いた。稔のセル技術は手前も目を見張るような進歩が伺えたのだが、AKIRAの責め方が中途半端なだけに、それがやけに白々しく映る。コーナー対角線に振ってのボディスプラッシュの失敗など、あからさまなスクリューも目に付いたし。

 これまで、こういう1万人クラスの会場で組まれたヘビーvsジュニアのカードで、ジュニアの選手が白星を得た試合なんていうのは手前の記憶には無い。まして、稔の相方である金本は先のシングル戦でAKIRAに星を献上してるというのに。また、せっかく参戦してくれたT2000のメンバーの一人に、長州はなぜジョブをさせたのか? そりゃぁAKIRAだってやる気を無くすはずだ。釈然としない試合だった。


第三試合(シングル)
○平田淳嗣(10分13秒 魔神風車固め)鈴木健三×

 ケンゾウを生で見るのは初めてなので期待してたんだけど、ちょっと、というかかなり裏切られた気分。ロープに振って、カウンターでのエルボーや両足タックルなど、随所に大物らしい動きは見れるものの、その後に何をしたらいいのかがまったくわかってない。全日に参戦した当初の高山善廣をさらに無細工にした感じか。

 まぁデビューしてたった半年、もともとプロレスファンでは無かったのでは? 等、いろいろと言い訳はあるけど、ヤングライオン杯でケンゾウに敗れた真壁と棚橋が素晴らしい第一試合を務めた上に、夏の本番G1クライマックスにエントリーされてるのだからそういうのは言いっこ無し。

 G1開幕を前に平田にジョブらせて、スーパールーキーにいっちょハクをつけさせるかとも思ったが、今日のファイトぶりを見る限り平田クラスを寝かせるにはまだ早い。たぶん控室で健介にまた説教されてたんじゃないかな。ケンゾウの技が尽きたところで、二回目チャレンジの魔神風車固めでピン勝ち。


第四試合(シングル)
○越中詩郎(11分40秒 体固め)金本浩二×

 金本の「vsヘビー級」にハズレ無し! というジンクスもあるので、カード発表時から楽しみにしてたカードの一つ・・・だっただけに、期待に違わぬ好勝負でした。AKIRAと稔は見習うように。

 ゴング直後、ロープを引張った屈伸運動と、意味も無く上半身をブルブルさせる仕草で客席を沸かせるコシ(天龍は越中のことをこう呼ぶ)。金本の喧嘩風キックをガードもせずに真正面から受ける。「こんなの高田のキックに比べたら全然たいしたこと無いって!」というところか。

 対する金本もこの日は飛び技を押さえて喧嘩ファイトに徹していたように思う(その証拠に、ローリングセントーンを繰り出して無い。終盤にムーンサルトを出したのみ)。コシが相手ならそのほうがスイングするとの判断だろう。しかし、それをキチンと実践するあたりは流石。

 最大の見せ場は、場外にエスケープした金本に、エプロン疾走からダイビングしてのヒップアタックがヒットしたところ。その後も、コシの尻を真正面からフンガー!と叫びながら喰らう金本。よくよく考えたらアヴァンギャルドな攻防である。こういうのこそプロレスだよな。

 新日きっての名勝負製造機が絡んだベストバウト。パワーボムから雪崩式ブレーンバスター、投げ捨てジャーマンと畳み掛けたコシがピン勝ち。まだ見てない人はON AIRをお楽しみに。


第五試合(シングル)
○飯塚高史(11分14秒 スリーパー)大谷晋二郎×

 なんでこの会場でこういうマッチメイクがまかり通るのか理解に苦しむ。「あぁ、そのヘンはアレだ。まぁ適当にアレしとけ。あぁ」という長州流”投げやりブック”のいい見本。さして攻撃に重みのあるわけでもない飯塚と、我慢する表情セルが十八番の大谷に試合をさせて噛み合うはずが無い。大谷が「ジュニアを舐めるんじゃねぇ!」と吠えるのも尤もな話である。

 序盤早々に大谷の顔面ウォッシュからスワンダイブニールキックが炸裂したところで、この試合は終了。あとはよく覚えてない。一瞬のスリーパーで、玉砕もできずに散った大谷のvsヘビー級なんて面白くもなんともない。とはいえ、あまりにも淡々と攻撃を受け続けた飯塚が悪いと言いたいわけじゃなくて、こういう、選手のタイプをまったく考慮しないマッチメークに問題があると言ってる。こんなのは試合をさせちゃいけない組み合わせだとすら思う。

 腐らないでね、大谷選手。


セミファイナル(タッグ)
○永田裕志、佐々木健介(18分23秒 バックドロップ・ホールド)中西学、吉江豊×

 やっぱり健介はいいねぇ。何がいいって、やっぱり永田より先輩で、なおかつIWGPヘビー王者でありながら、永田の指示通りに動いちゃうところ。素晴らしい。チョップ合戦から中西を転がし、バックを取ったはいいがそこから何をしたいのか客席からはまったくわからないところとか、永田のフィニッシュを指を指しながらワン、ツー、スリーと数えちゃうあたりなんか意味不明でカッコ良すぎる。手前を含めた、日本で30人くらいはいると思われる健介ファンも溜飲の下がる思いであったと思う。

 あと、この試合で一番目立ったのは中西じゃないかな。シングルでの評価は著しく低い中西だけど、タッグパートナーがいればアラも目立たず、パワフルで単純な部分が際立ってなかなか面白かった。健介とのチョップ合戦なんか文句無しの迫力だったし。誰かが言ってた「あぁいうのは地方ではウケる」というのも納得。そう考えると、クレバーな永田とアジャパーな中西というのはバランスがとれたいいタッグチームだと言えるな。

 中西の試合運びがアレな点もタッグでは目立ちにくいと書いたけど、それでも随所に見られはする。そのしょっぱさたるや、相手の健介をも凌駕するものがあった。特に、仰向けになった健介の膝に向かって、ジャンプして頭からまっ逆さまに落っこちる攻撃なんか普通考え付かない。あの状況だとせいぜいダイナマイト・キッドみたいなヘッドドロップが関の山だよ。まぁ中西の場合はこういうしょっぱさが「芸」の域まで高まりつつあるので、手前なんかは真の意味でしょっぱい健介のほうに目がいっちゃうんだけど。

 というわけで、この観戦記のなかで殆ど触れなかった永田と吉江がバックドロップをアレして決着。


休憩

 リング上では有刺鉄線と爆破装置の設営でスタッフがあくせく働いてる。ロビーに設置されたTVではPPVの模様が放送されてた。休憩時間終了間際、真壁アナウンサーがアリーナに登場。大コールで迎えられる。頑張れよ!真壁!! 続いて、解説の蝶野が登場。これまた大コールが発生。ここまで、興行は淡々と進んできたのは蝶野が試合をしてないということも大きい。まぁ、今回は長州vs大仁田の実質ワンマッチ興行と言っても差し支えないから、結果的にはそれで良かったかな、とも思う。


メインイベント(ノーロープ有刺鉄線電流爆破デスマッチ 時間無制限1本勝負)
○長州力(7分46秒,サソリ固め)大仁田厚×

 場内が暗転し、アツシが対戦要求書を持って乱入した98年の京都大会のシーンから、どっかの地方の会場で、試合前にアツシと長州がニアミス(長州は「(その鉄柵からこっちに)入ってくるな!」と喋るが、それ以外は聞き取れず)するシーンまでをオーロラビジョンで流す。ツカミはOK。田の中ケロ太郎リングアナはリングに上がらず、花道の上で選手呼び出しをするみたい。

 スモークが焚かれる中、アツシのテーマ「ワイルドシング」が流れ出す。花道の脇に「邪道」のノボリが数本立ち、その間をアツシが最高の笑顔で入場。リングの手前でパイプ椅子をたて、そこの座ってプハーッと一服。アツシがリングインした後、ついに長州の入場テーマ「パワーホール」が響きだし、場内の歓声はMAXに達する。いやホントに鼓膜がアレするかと思ったくらい。その瞬間の会場の空気の熱さたるや、U−Iとの対抗戦のときの武藤の入場時とタメ張ってたように思う。

 花道を歩く長州の左手には遺影が持たれてた。手前の席からはそれが誰のものであるか確認できなかったけど、たぶん4月に逝去した福田雅一選手のものだろうなと思ったが、翌日スポーツ紙(各紙で一面!)を確認してみたところ、やっぱりそうだった。

 ゴング前、アツシがなにやら顔の前で両手を組み、祈るようなポーズを取る。ゴングが鳴ってもそれを崩さない。まさかグレート・ニタを呼ぶつもりか!と思ったがそんなわけはなく、長州もリアクションに困ってたあたりから、たぶんアツシ特有の「自分で勝手にやる意味不明ハイスポット」であろうと推察。

 しびれをきらした長州、おもむろにアツシの襟首をつかんでいきなり有刺鉄線に叩きつける!チュドーン!! 屋内での爆破マッチであるにも関わらず、結構大きな火花が飛んだ。川崎球場での一連の爆破マッチ(懐かしのサイレン「ウ〜ウ〜」&お気をつけくださいぁぅ!by荒井リングアナ)に見慣れた手前をして、その迫力に驚かされたのだから爆薬の量もそれなりに多かったんじゃないかな。しかし長州は目の前で大爆破しようとも微動だにせずに仁王立ち。「電流爆破? あぁ、そんなもんアレだ。オレにしてみれば線香花火みたいなもんだ。なぁ金沢。」とでも言いたげな威風堂々っぷりである。

 ダウンするアツシを引きずり起こし、シャツを剥ぎとってオクラホマ・スタンピートの体勢に持って行く長州。すると、そのままアツシを反対側の有刺鉄線に叩きつけた!チュドーン!! アツシ、二度目の被爆。鉄線が緩み、シャツを引っ掛けたまま場外に転がり落ちるアツシ(上手いっ)。この時、腕から流血する。

 ヨレヨレのままリングに上がったアツシに長州のストンピングが炸裂(うりゃ!コラ!の掛け声も健在)。アツシも急所攻撃でやり返すも、長州は微動だにしない。さらにアツシを引きずり起こしてまたも有刺鉄線に叩きつける!チュドドーン!! と、当った角度が良かった(?)のか、これまでで一番大きな火花が飛び散る。が、長州はそれでも微動だにせず、鬼神(notターザン後藤)のような表情で、足元でもがくアツシを睨みつける。もはや最初に思ってた以上に一方的な展開になってきた。

 リング中央でブレーンバスターを敢行する長州。が、上手くアツシの体が上がらない。度重なる爆破でアツシの体が言う事を聞かないのか? それとも長州が持ち上げきれないのか? どっちにしろ、ちょっとスクリュったシーンであることは間違いない。自称”昭和系”の新日古株ファンのシュマークども(←勇気を出して暴言吐いてみた)がツッコミそうなポイントだと思う。直後にサソリ固めに入る。ここで、アツシの素晴らしい見せ場があった。

 グイグイしめつけるサソリ固めに悶絶するアツシ。這いずりながら目指したそこには、有刺鉄線のロープしかない。そこで、アツシは普段のクセなのかなんなのか、あろうことか有刺鉄線のロープにエスケープしてしまったのだ。チュドーン! と当然のように爆破する有刺鉄線。すると、それまで目の前で電流が爆破しようが仁王立ちのまま微動だにしなかった長州もさすがにビビッたのか、渾身のサソリ固めを崩してしまったのだ。なるほど、こういうエスケープの方法もあったのか。流石は電流爆破道の開祖、大仁田厚である。有刺鉄線電流爆破は攻撃だけでなく、防御にも有効であることを身をもって示したのだ!(でもそれはそれで痛そうだが・・・。)

 アツシの捨て身の防御策に一瞬たじろいだ長州だが、臆することなく、またもアツシを有刺鉄線に叩きつける。チュドーン! 本日五回目の爆破。ちなみにこの時の爆破で、長州がアツシを叩きつけた方角はこれで東西南北すべて揃った。この観戦記を書くにあたって、各方面のWebを閲覧したが、この長州のサービス精神には誰も触れていない。と、タナカタダシイズムに乗っ取った誇らしげな言い方をしてみた。ちょっとやってみたかったもんで。まぁでもこれは見逃しちゃいけないポイントであろう。

 アツシが起きあがったところに、渾身のリキラリアートが炸裂。すかさずフォールに行く長州。カウント2で返すアツシ。そして、長州は自ら有刺鉄線に飛び、被爆しながらもラリアートを打ちこんでアツシにとどめを刺そうとするも、肝心の有刺鉄線が爆破しない。何故?なんで?why?

 再度ロープに飛び、被爆しながらのラリアートを打とうとするも、またしても電流爆破はせず。場内に「?」の空気が充満しながらも、サソリ固めに入り、レフェリーストップ(だったのね。会場ではわかんなかったけど)で決着。長州、圧勝である。


 とりあえず、一連の抗争に終止符は打たれた。が、フィニッシュ前のスポット(自らロープに飛んでラリアット)は物議を醸して然るべき。何故あの時に有刺鉄線は爆破しなかったのか? 誰かのミスなのか? それとも長州が「オレがロープにアレするときは、電流のスイッチをアレするな」と担当の者に指示していたのか? そんなはずは無い。長州がトランクス一丁でリングに上がることを事前に宣言した段階で、この試合の見せ場の一つに「長州の被爆」というのがあったはずである。上半身が裸のまま、有刺鉄線電流爆破のリングに上がった被爆したレスラーというのは実は少ない。手前が思いつく限りで松永光弘、天龍源一郎くらい(シークはやってたっけ?)。電流爆破道の開祖であるアツシだってそれはやったことがないはず。

 長州としては、自らも被爆して、それでいて圧倒的な肉体の強さでもって「邪道」を飲みこむ必要があったはず。後者は存分に見せつけることに成功した。だからこそ、やっぱり被爆する必要があったと手前は考える。しかも上着の防護効果が得られない「裸」のままで。こんなことは手前のごとき単なる一ファンが考え付くようなレベルの話である。長州ほどのレスラーが気付いてないはずがない。

 ならば、やはり電流スイッチ担当の係がミスったと考えるより他無い。まぁ新日関係者はそれをまず認めないだろうが。とりあえず「長州が飛んだ箇所はすでに爆薬が切れていた」という愚かしい言い訳だけはしないで欲しいものだ。何故なら、長州が飛んだ箇所というのは左右ともにコーナー付近。実際に爆破した箇所からは離れた位置だったわけだから、その箇所に爆薬はまだ残っていたはずだから。我々ファンの目をナメないで頂きたい、と切に願う。

 リング上の光景に話を戻すと、一人で起きあがれないアツシが担架で運ばれてた(Stretcherd jobでいいんでしたっけ?)が、花道あたりでなんとか起きあがり、歩いて帰ろうとするも途中でバタンと倒れるというvs佐々木健介のときにも見せたセルを披露する。いい感じで「爆死」を演出できたんじゃないかな。

 さて、こうしてストロングスタイルと邪道の闘いは一応の決着を見せたわけなんだけど、この試合に関して、手前はアツシに軍配を上げちゃう。最後の、長州が被爆してのラリアートが成功すれば、一年半かけて「復帰」を実現させた長州の苦労と試合そのものの説得力を加味し、そして誇り高き汚れ役をまっとうしたアツシに敬意を払って「引き分け」と、それこそ「勝った負けたは関係無かった」という最高の結末を手前のなかで迎えることができたはずなのだが、最後の最後のスクリューで台無し、とまでは言わないけど、「勿体無いなぁ」という思いは残った。


 ま、なんにせよ素晴らしい興行であったことは間違いない。楽しかった。最後にケチがついたけど、このカードが実現したタイミングがいささか不可解であることや、蝶野一派からAKIRAしか出場しないことなど、色々とキナ臭いものは感じるけど、それを「あっち行け!コラ!!」と遥か彼方へ吹っ飛ばすほど威力のある試合を長州とアツシの二人は見せてくれた。藤田やカシンのPRIDE進出を許してしまうほどに権威の失墜した(と思われる)長州監督の巻き返しが、今後非常に楽しみである。




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