6・15リングス代々木大会
■団体:RINGS
■日時:2000年6月15日
■会場:代々木第二体育館
■書き手:タカハシ(名前をクリックするとプロフィールの欄に飛びます)

さて今やU系と称される団体はパンクラスとリングスのみになってしまった。
恐らくパンクラスはその呼称を嫌がるだろうが、C2Kの際そのくくりを容認して
しまった以上OKとして話を進めよう。
新生UWFの演出上の伝統を上げると、練習生の堀口君への追悼5カウントと試合後の
客出しの際に流れる音楽が印象的。まぁ古田リングアナの「5分経過!」は別として。
パンクラスについては最近全くご無沙汰で、それ自体があったのかも最早覚えていない
が、どれもリングスでは継続している。
5カウントはともかく、新生UWFの旗揚げ時にはジョン・レノンの「STARTING OVER」
(出直しの意)。飛んでUWF末期、分裂騒動で大揺れの時期は10CCの「I'M NOT IN
LOVE」、フィル・コリンズの「DO YOU REMEMBER?」、そしてゲイリー・ムーアの
「STILL GOT THE BLUES」はターザンのコラムでも取り上げられた。末期に関しては
どれも思い出を引きずった男の歌だ。選んだ人はいったい誰だったんだろう。
今にして思えば意味深な選曲だ。
さてリングスの前大会はエリック・カルメンの「ALL BY MYSELF」。つたない英語力で
タイトルから推察するに、前田自身がいつも口にしている格闘技業界創世の担い手と
しての・・・

と書いているうちに会場に着いたが、贈られた花の中にUFC−Jプロデューサーの
坂田氏からのものがあった。先日の暴行事件の現場にいたらしい坂田氏から未だに花
が贈られてきているのはいかなる意味があるのだろうか?もっとも自身のプロデュース
した大会をある意味ブチ壊しにした安生を次の大会でも起用した不見識な人の事だ。
何も考えていないだけかも知れない。
会場入りとほぼ同じに前田が姿を見せ、審議委員席へ。会場からは声援のみ。
今回は流石にかなりヤバイようだが、前田はともかくリングスには影響がない事を祈る
のみだ。WOWOWさんお願いします。
自分自身の見解を言うと、正直言ってネット上で「リンパン論争」と称される総ての
論争はパンクラスファンの見解他の方が正当であると思っている。
リングスファン側の強引極まりない論理展開には辟易させられる事も多々ある・・・が
それでもリングスの方に圧倒的魅力を感じるし、前田がいたからこそ出来た事から前田
がいなければ出来る事を差し引いて考えてもプラスが残る。
「いなければ出来る事」の最たるものはリンパン提携だろうが、自分でも不思議だが
余り魅力的には感じない。近藤・國奥・美濃輪等傍から見ても素晴らしいとしか言えな
い選手は多いのだが・・・。多分現在のリングス主力選手とは微妙に世代のズレがある
のも一因だろう。何にせよリングスファンのフィルターを通してしか見る事はできない
と言う事か。それをさて置いても今回に関しては間違いなく社会的制裁を受ける事に
なるだろう。プロレス村内的にはともかくね。

さて試合に戻ろう。今回は直前に2日に渡ってハンのKOKルール初挑戦の広告が打た
れる通りウリはそれのみ。今や「ヘタレ山本」と「夜逃げ屋ハン」はネット上では枕詞
としてめっきり定着している。山本は対戦相手が一流どころなのである意味不運だが
(山本の大言壮語にも問題あるが)、ハンの場合は・・・。
リングス側も逃げられないように広告打ったんだったりして。
その広告も本当に直前だったところから客入りが心配されたが・・・入ってねぇー!
最終的には7割ほどだが試合開始直後は本当に入っていなかった。これは客層がほぼ
25才から30才前後のみのためだが、やはり試合開始は7時くらいの方が適当では
ないだろうか?
さて第一試合。上山対メネーはパンチを見せ技にタックルという上山唯一のパターンを
見切ったメネーが、途中グラウンド顔面パンチを食らわせてしまいイエローをもらった
ものの終始試合をコントロールしたところから19対18でメネー・・・かと思ったら
太田・西の両審議委員のドロー判定により引き分け。場内からはブーイング。当然だ。
試合中はプラトン(ソクラテスかも)の「パンクラチオンとは不完全なボクシングと
不完全なレスリングの集合体である」という言葉が思い出された。
第二試合は坂田対コーラーの予定が坂田の負傷によりオーフレイム兄対コーラーへ。
試合はいきなりコーラーのパンチで兄フレが1M吹っ飛び、続けて変なポジションから
ヤマヨシ殺しのアバラパンチ!これで終わりかと思ったらいつの間にかひっくり返して
田村殺しの足関節で兄フレの勝ち。アイブルの穴を何とか埋めてもらいたいものだ。
第三試合はツベトフ対トラヴェン。開始30秒で観客は観戦モードを察知した。つまり
何と言うかコピィロフ・モードというか・・・。
ツベトフが寝かせたら相当実力を発揮するであろう事は、立ち技がダメダメである事と
トラヴェンが決して寝技には行こうとしないところから推測されるが、それにしても
立ち技の技術は素人以下で失笑の連続だった。
恐らくネット上ではコピィロフ対ツベトフが違う意味での夢のカードとして取り上げ
られている事だろう。
第四試合はカステル対ホフマンからオーフレイム弟対ホフマンへ。体重差が25kgも
あるのだからせめて兄貴をこちらに入れればと思ったが多分出し惜しみしたのだろう。
前回は滑川を瞬殺し、ダメージはなかったとは言えこれだけの体重差はミス・マッチ
メークだろう。それでも弟フレはヒザをかなり有効に使い、試合自体は面白いものと
なった。結局リスタート直後の大振りフックが出会い頭に当たってしまいホフマンの
KO勝ちだが、次回に期待を持たせる内容であった。
そして第五試合が今日の目玉であるハン対ヒンクル。ある意味神話世界の住人である
40代と現役のBクラスNHB大会のトップクラスレベルという丁度ヒクソン対船木の
構図と同じ対決であったが、観衆の多くもそのような視点であったようだ。
試合中には「小手返し!」とかいわゆるハン・マジックへの侮蔑とほんの少しの期待と
が入り交じったヤジが飛ぶ中現代NHB戦略に対応した動きを見せ、立ち技では積極的
に手数を出していったハンには驚かされた。リングス・ロシアのサンボ選手の多くが
自らが身に付けていた技術にこだわりを持ち、それが逆に落とし穴となってしまった
のを何度も目の当たりにしてきただけに、ハンがガード・ポジションを取り、下からの
三角締めから十字に切り替えて勝利した時は思わずスタンディング・オベーションして
しまった。アリーナ席でも多くの人が同じように立ち上がっている。
NHBルールではグラウンド&バウンドをもっぱら戦術としているヒンクルが対戦相手
であった事もラッキーであったとは言えるが、それを差し引いて有り余る内容と感動
であった。これをきっかけとして、他のサンボ系選手たちも柔術のセオリーを取り入れ
る事でリングス・ロシア復興に向かってもらいたい。
とにかく感動した・・・という事は、自分も心の奥底ではハン・マジックには懐疑的
であったという事か?
まぁそれも含めて技術的にはともかく性格的に不向きという事もあるしね。
次回の対戦相手はオーフレイム兄を希望。
さて第六試合。ババル対金原はランキング戦となったが、体重差が大き過ぎて勝敗への
興味は薄いカードではある。金原はUSトーナメントではミドルで出場との事なので、
そこでの活躍に期待したい。試合は立ち技でのスキル・アップが際立つババルが終始
試合をコントロールするも、それでも決して決められる事のない金原の実力を再認識
した。率直に言ってチャンスと言えるようなシーンは全くなかったが、このルールで
攻め込まれ続けながらもスタミナ切れもなく判定まで持ち込んだのは立派の一言だ。
ただし体格差がなかったとしてもコンディションに差が無ければ結果は同じであった
と思う。
さて今後のリングスについてだが、日程が発表され今年もオープン・トーナメントを軸
に動いていくようだが、それも総ては前田の処遇次第。
「パンクラスを潰す!」と公言した前田が自らの暴挙によりリングスを潰したならこれ
以上ない皮肉な結末だ。今回ばかりはリングス崩壊のカウントダウンの鐘が鳴り響いて
いると言えるが、現在良くも悪くもリングス・ファンはコアな層が支えているのが現状
だ。WOWOWさえ離れなければ何とか乗り切ってしまうのではないだろうか?
全日分裂騒動と時を同じくしたのがラッキーな方向に作用する気もする。
前田がこれで懲りてくれればいいのだが、誰一人そんな事は期待していないだろう。
今回の騒動についての前田の意見で賛同できるのは(その言葉のアタマは別として)、
「(パンクラスの)選手のギャラを上げてやれ!」のみ。
まぁでも何とかなってしまうんじゃないですかねぇ?そんな予感がしますけど。


デイヴ・メネー (引き分け) 上山 龍紀
ヴァレンタイン・オーフレイム (膝十字固め、1R31秒) ブラッド・コーラー
ホベルト・トラヴェン (判定、3−0) G・ツベトフ
ボビー・ホフマン (KO、1R9分39秒) アリスター・オーフレイム
ヴォルク・ハン (腕ひしぎ十字固め、1R8分18秒)ボビー・ヒンクル
レナート・ババル (判定、3−0) 金原 弘光




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