5/26コロ2K雑感〜血塗れのリアル
■団体:コロシアム2000
■日時:2000年5月26日
■会場:東京ドーム
■書き手:メモ8(名前をクリックするとプロフィールの欄に飛びます)

 丸1日以上たっても、どうも何を主軸に書いて行こうか、考えが、まとまりません。まとまらないまま、書き始めます、例によって雑感です。

 6時のあたりでは、悲惨な客入り。最終的には、かなり入って、それなりにカッコがついた感じ。特に6〜7割のアリーナは、キッチリ前から入っていて、実券の多さが推測出来るような入り方。PGP決勝と同じ程度の席設定の1階席も、最終的には、8割以上か。おれの席は、2階席がちょっとしか見えない所だったのだが、見えてる範囲では、やはり8割位入っていた。公式発表は、4万らしいが、プライドGP決勝の3万8千から考えると、それはちょっと見栄張り過ぎだろーという感じ。

 外野スタンドにしつらえられた、そこそこ、カネがかかってそうなセットへ、選手が登場する、オープニングが開始されたのが、17時55分。


<15分1Rコロ2Kルール(?)>

○近藤有己(22秒KO)サウロ・ヒベイロ×

 何度も言うが、あの入場曲はヤメロ、近藤。盛り上らないんだってば。

 タックルに入るヒベイロを捕らえた、近藤の右ハイ(結果としては膝が当った)は、勿論、ラッキーキック。ラッキーキックなのだが、この相手にあのケリをいきなり出せる度胸、そして、それが見事に命中してしまう運、そうしたすべてが、近藤の実力のウチ。華がないの1点で、どうも気に入らない近藤だが、國奥への真空飛び膝蹴りといい、今回といい、ここまで来ると、もう認めざるを得ない。パンクラスの未来は(そんなモノがあるかどうかは別として)、この男にかかっている。

 普通、舞台演劇の世界などでは、“華”は天性のモノであって、後天的に学習出来るモノではないというのが、通説だ。だが、格闘家の場合は、そんなことはないと思う。最初はオドオドしてて、なんだかぱっとしないなあという奴が、徐々にオーラを身に付けた実例をいくつも見ている。特に、ボクシングなどのガチ競技では、そういう例、多数。

 しかも、近藤の場合、身近なところで、急速に華を身につけた菊田という実例もある(ウソつけ、菊田に華なんかないという説もあるだろうが、直にわかる。彼は、間違いなく、後天的に、それを学んだと思う)。まずはシツコイようだが、入場曲からだ。とにかく、あれを何とかしろ。こういうのは意外とカタチから入ると、アッサリ解決するもんだ。

 それにしても、カメラレンズとロープに飛び散る血。物凄い映像(いい意味でも悪い意味でも)だったと思うが、どうだろう。


△須藤元気(ドロー)アンドレ・ペデネイラス△

 元気の入場は、ビルマの竪琴風坊主を数人引き連れての、バリのバロン(らしい)。遠目には、獅子舞にしか見えないが(笑)。口から吐くスモークシステムは、以前のモノの使い回しだろう。ダメだな。30点。ちなみに、ビルマの竪琴風坊主は、パンクラの練習生だか、ラボの会員だからしい。ちゃんとバイト代払っているそうな(伝聞)。いいことだ。

 ペデネイラスは「ノバ・ウニオン」所属と発表。ルイス&ペデネイラス柔術は、どうなったんだろう。そっちの方がカッコいいのに。セコンドにはホーキ。ちなみに、元気の方は、宇野・菊田・塚本の3派連合。

 ルール上では、ドローだが、元気の完勝だ。まるで、カポエイラのようなヘロヘロお茶らけ(に見える)ファイトを展開する元気。しかし、これで完璧に、ペデネイラスを幻惑したと言っていい。その証拠のアキレス炸裂で、ペデ、悶絶の表情。元気は、このままずっと、トリッキーなファイターでいて欲しいと思う。


<キックルール5R>

○魔裟斗(4R2分59秒KO)メルチョ・メソー×

 あまり真剣に見てなかったので、よくわかりません。わかりませんが、初見の魔裟斗、アグレッシブで、結構いいファイターだな。ロー決着は、よくあるローを知らない奴を連れてきて、ボコボコというパターンに見えたけど。


 休憩。

 休憩明けは、緑代表の、演武。氷柱割、1回目は失敗。その後、スピーチ。


<極真ルール本戦3分、延長2分3回>

○鈴木国博(再々々延長判定勝ち)ルシアーノ・バジレ×

 あまり真剣に見てなかったので、よくわかりません。わかりませんが、鈴木、坊主にしてみると、結構美形でカッコいい。少なくとも、今後も、こういう興行に参加しようというなら、そういう要素も必要だよね。


 ここで、リングアナ、古田に代わって、テーマもリングス入場曲に。んで、リングス審議員入場。西、太田、藤原。ラストに前田。わーいわい。

<KOKルール5分2R>

×金原弘光(判定2−0)マリオ・スペーヒー○

 金原は、やっぱり強いんだなーというのが、印象。リングスというより、UWF桜庭・金原派という感じの、ひたすらバックを取らせて餌をまいていくファイト。

 しかし、それを尽く潰していくスペーヒー、相当強い。強いんだが、打撃をくらわないように、四つん這いで接近していくってのも、なんだがな。KOKルールの問題点(考えてみれば、総合の問題でもあるのだが)、また発覚(わかっていた人も多いんだろうけど)。

 判定は、西20−18、太田20−18、藤原20−20。うむむ。


○田村潔司(判定3−0)ジェレミー・ホーン×

 OFGグローブつけず、レガース、赤ショートパンツの「赤いパンツの頑固者」スタイルの田村。

 試合内容に関しては、うーむ、何だかな。という印象。元々ホーン、ヌルヌルしてて、あんまりシャキっとしたファイトタイプじゃないけど、それにしたってちょっとヌル過ぎないか、と感じました。

 西20−19、太田20−19、藤原20−19で、3者とも田村。田村のキックがそこそこ当っていたことを考慮したとしても、いいとこドローだと思う。西先生まで、そういう判定しちゃいけませんな。こういうことやっていると、リングスも、未来はないと思います。


<15分無制限Rコロ2Kルール(?)>

×船木誠勝(1R11分46秒チョーク)ヒクソン・グレイシー○

 船木の入場は、着流しに日本刀。実にいい表情。自ずと盛り上る期待。

 一方のヒクソンは、2度目の高田戦に近いような表情。1回目の高田戦のようなオーラ出まくりという感じではなかった。

 ゴング直後のヒクソンの動きを読んで打撃を出していった船木、そのこと自体はOK。だが、パンチは例によっての大振りフックであった。コーナーで紹介された時に見せたような、シャープな小さいパンチは結局打てず。

 高田が互角以上に進めたスタンドレスリングでも、押され気味の船木。しかし、これは、待ちの戦略と考えれば悪くない。実際コーナーを背にし、楽をしているのは、船木の方。汗ダラダラになるヒクソン。さらに期待高まる。

 1回目のグラウンドで、上になれたことにも、パンチを一発だけあてて、すぐ立ったことにも、好感。勝ちに行っているということだと、おれは解釈した。

 しかし、桜庭と違って、全然踏み込めてない桜庭蹴りで、逆にヒクソンの足の裏による膝関節狙いの蹴りを食らってしまい、挙句、そこから直ぐ立たせてしまう。このあたりから、むむむ、おれ的には、マズいぞという気配漂いはじめる。

 ワンチャンスを見逃さず、引き落としたヒクソンのテクが見事なのか、船木のスタンドレスリングの範疇には差し合いしかなかったのがいけないのか。テイクダウンされてみれば、既にサイドを取られている。

 それからの船木に対しては、無策といういうのに尽きる。

 やはり、ヒクソンには、技術を超えたモノがある。引き落としたタイミングといい、アゴを狙うマウントパンチの正確さといい、船木の腕を取るタイミングの見事さといい、既に「技術」の範疇ではないと思う。ヨガからの発想だけど、「呼吸を読み的確な次の1手を選択する見事さ」としか、表現出来ない。

 しかし、その見事さを差し引いたとしても、やはり、技術的には、船木は、ブラガ戦から、ほとんど進歩していなかったと考えていいのではないか。


 さて、どうだろう。桜庭、田村、そして小川。この辺なら、充分ヒクソンに通用すると思う(贔屓目も入れてTKもここに入れたい)、しかし、このレベル相手では、ヒクソンは、オファーを受けないと思う。そういうものだろう。そして、ヒクソン自身の哲学を、様々なインタビューから推測してみるに、さして悪いことだとも思えない。卑怯とは、ストラテジーの裏返し。

 日本の武道家が、現代において、武道とはいかにあるべきかというテーマに呻吟しているウチ(もしくは何も考えてないウチ)に、ヒクソンは、それを見事に、しかも、資本主義的に解決してしまった(半分皮肉だが、半分本気)。


 そして、一方の船木。

 場内のビジョンに、大写しになる、落ちていく船木。無様なまでの弱さ。

 最強という幻想のベールを脱ぐの熱心だった船木にとって、この結末と、この1戦での引退表明というのは、実に実に、彼らしいと思う。

 そして、おれは、1人のファンとして人間として、この船木の生き様も、また、断固支持しようと思う。


 UWFが作った、ファンタジーとリアル。ファンタジーの部分は確実に終結した。そして、これから、我々が目撃出来るモノは…。

 新たなファンタジーか、無様な血塗れのリアルか。

 見続けていこうと思う。




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