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8/5スマックガール後楽園大会見所解説
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■題名:8/5スマックガール後楽園大会見所解説 ■日時:2004年8月3日 ■書き手:トロピカル : http://www.geocities.co.jp/Athlete-Samos/7184/ |
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スマック・ガールひさびさのビッグ・ショー、後楽園ホール大会が、8月5日(木)に迫って来ました。 この大会は、ジョシカク初心者の人もぜひ見て欲しい、自信をもってオススメできる興行なので、ちょっと見所解説なんぞを書いてみたいと思いま すです。 ●BackDrop杯 ロイヤルスマック2004 ・・・ スマックがバトルロイヤルをやるのは、2002年4月のディファ大会に続いて2回目。 「シュートでバトルロイヤル」ということで、ただのふざけた企画モノのようにも思われがちですが、前回を見たかぎりでは、意外に面白いです。 例えばガードポジションだとかテイクダウンといったような、総合における基本的な技術体系が、多数相手のバトルロイヤルにおいては無効になっ てしまうんですよね。 そうした状況下で、選手たちがいったいどのようにして戦うのか? それはある種「格闘技とは何か」という極めて根本的な問いすらを、見てる 我々に問いかけてくるんです。 普通に考えると、この試合に勝ち残るためには、最後までコーナーで気配消して戦いに参加しない、というのが最善の方法なんですが、みんながそ れをやってしまったら、試合が成立しない。 そんな二つの矛盾したテーマにはさまれた葛藤の中で、スマック名物キャラのおっさん選手が、プロレスラーのKAZUKIが、パンツや胸元だけでなく 強さも見せるためことにこだわる15が、どういう選択をするのか。 1チームから3人参加する「乙女チック柔術倶楽部」による集団攻撃は見られるのか。 正直、大きくハズす可能性もあるこの試合ですが、逆に大当たりになることも。 ただとりあえず、滅多に見られるものではないことだけは確かでしょう。 「競技的にいかがなものか」とネガティヴに切り捨てるよりも、とりあえず目の前で展開されている珍しい光景を楽しみながら、やがて「そもそも 1対1で武器なしでルール制限があって・・・」という元での「格闘技」そのものを、逆説的に考えてみるきっかけにでもなればいいのでは。 ちなみに「BACKDROP杯」と冠がついたこのカードでは、優勝者に秋葉原BACKDROPから、WWE世界ヘビー級チャンピオンベルトの レプリカモデルが贈られるそうで。 ●SGSタッグマッチルール 大室奈緒子(和術慧舟會東京本部)&内藤晶子(RJW/Central) vs 羽柴まゆみ(BBdoll)&川江礼子(S-KEEP/キックネス) ・・・ キャラのある注目選手の4人が勢揃いしたこのカード。 羽柴は、元・グラビア・アイドルから本格的格闘家へ、ということで、各種メディアで絶賛売り出し中、「ファイト」誌で「プチ・ブレイク」と言 われた選手。 川江は、沖縄空手の使い手としてスマックに登場。「私は、リングの上で死ねる」発言で幻想が広がり、試合前に行われた演舞で客席のド肝を抜い たが、試合になったら未だ総合に適応できていないことが判明し、結果が残せていない選手。 大室は、ライト級の実力者として永年スマックを支え、慧舟會らしいグラウンドの確実さとともに最近では打撃も向上してきた選手。 内藤は、「ファイティング・エリザベス」という、聞いただけではわけがわからないが一見すればなんとなく納得してしまう、デビュー2戦目の選 手。 実力的には、大室が頭2つくらい抜き出ているので、結果はほぼ鉄板だとは思いますが、シュートであるにもかかわらず、負けても落ちずに光るこ とが出来るのが、ジョシカクのいいところでもあったりします。 ●SGS6人タッグマッチルール 藪下めぐみ&斎藤せり&忍田なほみ(SOD女子格闘技道場) vs 虎島尚子(RJW/Central)&真武和恵(和術慧舟會東京本部)&端貴代(和術慧舟會 東京本部) ・・・ 「SOD道場 vs WK系」ということで、言い換えれば「プロレス的『華』 vs ガチンコ的『技』」ということでしょうか。 現在の女子総合が、2000年開催「ReMix」における薮下 vs グンダレンコ戦において生まれた可能性の延長線上にあるのは確実で、その薮下め ぐみが、現時点での女子総合の集大成である今回のスマックに出場するのは、必然であると言えましょう。 その後も、キックボクサーの彩丘選手を相手に脳天逆さ落しを決めたり、2002年7月のタッグ・トーナメントではナナチャンンチンのライヴァル・ 坂口一美をパートナーに指名してチームを組み、お揃いのコスチュームで登場したり、いっぽう元・生ゴンギャル・坂本奈緒子の注目の総合プロ・ デビュー戦では、逆に見せ場を作らないまま秒殺したり、とにかく薮下選手は、女子総合の歴史の要所要所で、プロレス頭を使った魅せる試合を残 してきました。 今回は、道場の教え子で、これがプロデビュー戦となる選手を2人連れての参戦。 薮下はここで、何を見せようとしているのでしょうか。 いっぽうWKチームは、数多くの実績を積んできた実力派3人。 これまでグラップリング・ルールの試合で圧倒的な極めの強さを誇り、「男前ぶり」を発揮してきた、真武。 格闘家の兄を持ちながら、兄を上回る身長・体重を誇り「ビッグ・シスター」の名をほしいままにする、端。 ホワホワで気の抜けるキャラと声ながら、エグイ打撃や堅実なグラウンドの実力を持つ、虎島。 ちなみに両者の間としては、薮下 vs 真武のカードが既にグラップリング・マッチで実現していて、結果はスプリットの判定で薮下。 実力的には拮抗していると見てよいでしょう。 試合展開の予想としては、実力的にWK組と張り合えることが出来るのがSODでは薮下選手だけなので、斎藤&忍田選手がいかに自軍コーナー付近を キープしタッチワークでしのげるか、でしょうか。 ●「The Next Cinderella Tournament」決勝戦 SGS公式ルール 5分2R 舞(パレストラ松戸) vs 川畑千秋(Red Devil KIS'S) ・・・ 僕が個人的に最も注目しているのが、このカード。 スマック・ガールの魅力の根本が「普通の女の子によるガチンコの総合」にあるとしたら、今回の後楽園大会の中で、それを最も体現しているの が、このカードだからです。 スマックは今年前半、大森ゴールドジムで「Smack Girl - F」という、アマチュア層や若い世代の拡大を目的とした、小規模な大会を継続して開催 してきたのですが、その通し企画として行われたのが「The Next Cinderella Tournament」。 辻選手のようなおなじみのトップ層ではなく、その次の世代のシンデレラの座を競うべく、8人の実力・華をもった選手がトーナメント戦を行った のですが、その決勝戦が後楽園で行われることになります。 あるジャンルが、その中で次のムーヴメントが自律的に発生し、次が生まれてくるシステムが確立されたとき、そのジャンルがようやく成立したと 言えると思うのですが、この「ネクスト・シンデレラ・トーナメント」決勝戦は、まさにスマックの・ジョシカクの「Next」を生み出すための契機 となるでしょう。 舞選手・川畑選手、ともに打撃が得意な選手なので、壮絶な打ち合いが期待されますが、そこでお互いの「負けたく無い」気持ちがどこまで出てく るか。 ●SGS公式ルール 5分2R AKINO(プロレスラー/フリー) vs たま☆ちゃん(SOD女子格闘技道場) ・・・ AKINO選手は、アルシオンで浜田文子のライヴァル役をやっていた頃は、「陽」の浜田に対して「陰」というかクールなイメージがあったので すが、独立してM's STYLEを結成して以降は、プロレスのリングでも、とても表情のあるファイトをするようになった印象があります。 総合の練習はU - FILE CAMPでしているそうで、先に開かれたLove Impactでの総合デビュー戦では、AKINO不利という大方の予想に反し、パン チで秒殺という結果を残しました。 プロレスラーの総合挑戦というと、男子の場合は、何かと悲愴感ばかりが出てしまうことが多いのですが、女子プロレスラーの場合は、逆に開放感 が出てくるケースが多いように思います。 AKINO選手も、総合挑戦がいい方向に転じた例と言えるでしょう。 今度の相手は、先に秒殺勝利で下した菊川選手よりも一段上の実力を持つ、たま☆ちゃん。 この選手は、ジョシカク選手の中でも特に、派手に感情を表に出してファイトするので、ジョシカクの魅力の一つである「感情のぶつかり合い」 が、どのようにお互いの表情になって表れるか、そこが試合の見所となるでしょう。 AKINO選手の実力のほどが未知の部分もあり、打撃・寝技ともに経験の差でたま☆ちゃん有利ではあると思いますが、そこでプロレスラーの意 地がどこまでみせられるか。 ●SGS公式ルール 5分2R 高橋洋子(SOD女子格闘技道場) vs 唯我(プロレスリング・ナイトメア) ・・・ プロレスリング・ナイトメアでは「アイ・アム・唯我」の一言マイクで相手を萎えさせるコミカル系覆面レスラー・唯我。 しかし、2003年のスマック参戦では、柔道仕込みの投げと圧倒的な体格の利で連勝を飾り、ガチでは強いところを見せた。 普段はコミカル系レスラーが、ガチでは強い、というのは、漫画の世界というかある種理想的なレスラー像ではあると思うのだが、女子総合の世界 では、それが実現可能なんですね。 そんな唯我選手は、「一番強いと言われている石原美和子選手と戦いたい」と、非常にプロレスラーらしい発言をしていたのですが、今回の相手 は、永年石原選手のライヴァルとして女子総合の重量級の支えてきた、元祖・女子総合格闘家の高橋洋子。 唯我が「女子プロレスラーは本当は強い」ところを見せるか、それとも高橋が女子総合の元祖としての意地を見せるか。 正直、高橋選手が圧倒的有利であり、唯我選手の正念場となるでしょう。 また日本の女子総合ではどうしてもカードが少なく遅れがちな「重量級」の注目カードでもあります。 ●SGS特別ルール(グラウンド顔面パンチ有り・グラウンド時間制限なし) 5分2R 藤井恵(ガールファイトAACC) vs 松本裕美(PUREBRED京都) ・・・ フジメグこと藤井選手は、アスリートとしての意識と能力が、飛び抜けて高いんですね。 今回はどんなコスチュームで登場するかわからないのですが、そこで見られる筋肉の美しさは、きっと観客を魅了することでしょう。 そもそもはサンボ選手であり、グラップリングのみの選手であった藤井が今回、打撃あり、しかもグラウンドでの顔面打撃ありのルールに挑むの も、アスリートとしての意識の延長戦上として必然的に現れたのではないかと思います。 相手の松本選手も、PUREBREDならではのテイクダウン〜寝技の力は確実なものがあるので、きっと高度な寝技の応酬が見られるでしょう。 フジメグのオーラ、そして新たなチャレンジへの意識が、観客をどこまで引き付けるか。 ●メインイベント SGS特別ルール(グラウンド顔面パンチ有り・グラウンド時間制限なし) 5分3R 辻結花(総合格闘技闇愚羅)VS エリカ・モントーヤ(米国/ネクスト・ジェネレーション) ・・・ 現在の女子ミドル級では、文句なく最高といえるカード。 ここでキーになるのは、ルールでしょうか。 辻選手はこのカードについて各種のインタヴューで「パウンドありルールへのリヴェンジ」という言い方をしています。 これは、2003年7月にDEEP初の女子の試合として開催された、辻vsアンナ・ミッシェル・ダンテス戦での敗戦を指しているのですが、通常のスマッ クガールでは「グラウンドは制限30秒・顔面打撃なし」というルールが採用されている中で、得意のスーパー・ロー・タックルでテイクダウンし て瞬時に腕十字を極める、というスタイルを確立している辻選手が、DEEPでのルールでは、柔術家を相手に(肩の負傷もあったのですが)総合では 初の敗戦を喫したと。 今回のエリカ・モントーヤも、上からの三角締めが得意な柔術ベースの総合選手で、タイプとしてはアンナ選手と似ています。 言わば典型的な「レスリングvs柔術」の構図であって、中京女子大レスリング部出身の辻が、柔術家相手に、寝技無制限&パウンドありでどう戦う か。 ヴァイオレンスを乗り越えるのは技術しかないわけですが、女子におけるグラウンド顔面ありというヴァイオレンス性を、女子最高峰の技術をもつ この2人が、どうやって乗り越えるのか。 現時点でのジョシカクの最高峰のカードであると同時に、今後のジョシカクの進む道の方向づけにもなるかもしれません。 ・・・と、つらつら書いてきましたが、実は僕は未だ自分探しの旅の途中で、8月5日の後楽園ホールには見に行けないんですね。 なんなんだよって感じですが、とゆーことで、会場の熱気やリアルな空気を知るには、みなさんの観戦記が頼りなんで、ぜひ後楽園でジョシカクの 今を目撃して、観戦記を読ませて下さい。 よろしくお願いします。 |
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