「座頭市」観戦記
■投稿日時:2003年9月10日
■書き手:夏 (ex:「It's Just Another ORDINARY DAY」

伝説の浅草コメディアン深見千三郎の弟子、芸人ビートたけしと、
オリジナリティ溢れる作品をコンスタントにつくり続けている映画監督、世界の北野武が最強タッグを結成、
痛快娯楽時代劇の大看板「座頭市」にがっぷり四つに取り組んだ、
と書いているだけでも涙腺が緩む傑作エンターティメント。

幇間、曲芸、芸者らの芸、時代劇コントへのオマージュあふれる殺陣、鍬や大工道具でつくるリズム、
丁稚や夜鷹といった風俗への目配せ、を織り込んで勧善懲悪のど真ん中をいくストーリーを語る、
これは和風ではなく和製エンターティメントだ。

ふと、これはたけし一座の座長公演(新宿コマ劇場などで北島三郎なんかがやっている)なんじゃないだろうかとも感じた。
たけしの大衆娯楽への思い入れの深さを改めて知ると共に、それを国際映画祭で上映するという
「快挙」には心から拍手を送りたいと思う。

そして、ただ単純な大衆劇の焼き直しだけには終わらせない北野の目線、とりわけ浅野忠信との決戦シーンのインパクトや
博打場でのスリリングな間など、北野映画流のクールでベタつかない演出も相変わらず冴えている。

「その男、凶暴につき」で、従来の娯楽映画のお約束を意図的に踏み外すことからはじまった北野武の映画キャリアが
「HANA-BI」を一つの頂点として、また新たな階段を昇りはじめたようにも思う。
それが、皆が大好きなあの芸人ビートたけしの座長公演として実現するなら、
もちろん諸手を挙げて大歓迎だ。たけしがやらないで、誰が今、この時代の大衆娯楽をつくれるもんか。
おかえりなさい、ビートたけしさん。よくぞこのポジションまで昇ってくれてありがとう、北野武さん。

高田文夫の言葉じゃないが、「たけしと共に生きる時代の幸せ」を久しぶりに心の底から噛みしめております。





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