2003.3.12 Rolling Stones 横浜アリーナ
■団体:ローリングストーンズ
■日時:2003年3月12日
■会場:横浜アリーナ
■書き手:maya(名前をクリックするとプロフィールの欄に飛びます)

私が学生の頃は、ストーンズなんて入国禁止で、日本では絶対ライブを見ることができないと思っていた。一生で一度でもいいから見に行きたいと本気で思ったものだ。そのうち、ミックのソロツアーでストーンズの片鱗を感じることができ、徐々に禁断の扉が開けられようとしていた。そしてストーンズ本体の来日。最初のスティール・ホイール・ツアー(本当はアーバン・ジャングル・ツアーかな)では、あまりにも期待が大きかったのか、こんなもんかという感想であった。あまりにもドームが広すぎたというのもあるが。

ならばと二度目のVOODOO LOUNGE tour では、ダフ屋に20万を払い、前から19番目のキースの目の前という、これ以上無い席をゲットした。しかも、その日のライブが公式ビデオと発売された位、最上のクオリティのライブで心の底から堪能したし、何度もそのビデオを繰り返し見ている。この後、他のアーティストのドームや横浜スタジアムの興行を見て思ったのだが、ストーンズほどスタジアム級の巨大な空間でどう観客に見せるか、他のバンドよりもあれこれ苦心しているバンドではないかと思った。そういう配慮を随所に感じられた。
それでも、今迄一生に一回見ることができれば、いいと思っていたストーンズだが、やはりドームで何回か見ていると一度アリーナ級、クラブでストーンズを見てみたいと思ってしまう。まあ、クラブは天地がひっくり反っても無理だとしても、アリーナではどうにかならないかと。採算が合わないのは分かるけど。だけど、メンバーのインタビューを読むと、彼らもアリーナ級の会場でのコンサートを渇望しているみたいだ。人間、欲というものはどんどん増えていくものだ。

そして今回のツアー。いろいろな場所で、アリーナ級、クラブでのコンサートを入れている。そして日本では武道館。これは行きたかったのだが、さすがにチケットはいつものように即sold out。こりゃダフ屋も天文学的な金額になると思い、これは諦めたのだが、振って湧いて来たような、その後の横浜アリーナ。これは正規チケットでどうにか出来た。本当は、武道館だけど、ここは横浜アリーナでもいいかと妥協。欲を追求するとキリがないし。年を取って少しは妥協を覚えた自分でした。

前置きが長くなったが、開場6時で開演7時。7時に始まるとは思えないが、なにがあるか分からないから、開場時間丁度に会場に着くともはや長蛇の列。楕円形のアリーナの半周を回されてやっと入場。WWFの時よりも一杯歩かされた。

最近、横浜アリーナに行く機会が増え薄々感じて来たのだが、この会場は段取りが悪すぎる。会場に入るとパンフを買うためにグッズ売り場に並ばせられるハメに。WWFの時にも、人も時間も一杯並ばされなかなかパンフも買うのもやっとだったというみたいだったけど、この日もそう。6時少し過ぎに会場に入ったのに、パンフだけを買うのに、30分も並ばされるとは、他の会場ではありえない。

そんなの解決方法は簡単で、パンフだけを買いたい人もいるのだから、Tシャツやグッズと売り場を別にすればいいだけのことである。パンフだけの売り場も一ヶ所にしないで、あちこちに置けば買いやすい。ドームなんて売り子がパンフを運んで売っているし、武道館でも同じような収容人員だけど、満員の時でもパンフを買うのに30分以上並ばなければならないということはない。

結局、回りを見ていると、パンフの入った袋を持っている人が極端に少ないので、恐らくあの列を見てハナからパンフを買うのを諦めた人が相当数いるみたいだ。普段は滅多に無いこだから、大抵の人は記念に買うのにね。この要領の悪さは、ある意味犯罪行為だな、横浜アリーナ。

そして先日のWJでは休憩前位だったが、今回は開始前からビールが売り切れになってやんの。2週間前に失敗して学習能力が無いのかね。今回、冠に<SUNTORY スーパーマグナムドライ Presents >となっているのに、それが売り切れだったら、スポンサーは泣くぜ。この会場のスタッフは根本がダメとしか言い様がない。だって、30分かけてパンフを買って、今度はビールの列に十分並ばされたうえで、売り切れですと言われたら、誰でもキレるよね。並ぶ前に言えというの。それより缶ビールを紙コップに入れているだけなんだからもっと用意しろ。別に缶ビールを紙コップに入れるだけなんだから大めに仕入れても腐らないだろう。次の五木ひろしやキッスにでも使えばいいだけだ。それに売り場が少なすぎるから、やたらに長蛇の列ができる。


そんなこんなで、会場入りして50分後に、やっと席に向かう。その私の席は、ステージに向かって右側。つまりキース・サイド。それでステージまでは、はすになっているが、後楽園ホールでいえば、南側の通路の席からリングを見る位の距離。センター・ステージに至っては後楽園ホールの南側客席の半ば位の距離であった。しかも踊り場で、端で、立って見るにはこれ以上無い最高の席でこれはラッキーだった。

客待ち曲は、いかにもストーンズのメンバーが好きそうな5〜60年代のR&B。時たま、Let it Rock とかリトル・レッド・ルースターとか今迄自分達がカバーした曲も入れているのが、なんか嬉しい。そして、コンサート始まり前の曲は「愛しのモナ」。改めてオリジナルを聞くとこの曲はなんの捻りも無くそのまま忠実にコピーしたのが分かる。キースのギターなんて、ボー・ディドリーそのままだ。今にして思うとそのボー・ディドリーがまたもや今夜の目玉だった。

あのグッズ売り場の手際の悪さだと30分以上押しを覚悟していたのだが、以外にも早く20分押しで始まり。

今迄のツアーでも、コンサートでセット・リストを毎回替えるということはして来たが、途中の曲を入れ換えるくらいで、骨格の重要な1曲目や最後の曲迄違うということは無かったが、今回はのっけから違うらしい。武道館はジャンピン・ジャック・フラッシュでアンコールがブラウン・シュガーだったらしいが、この配列は私的にはちょっと頂けない。やはりJJFは最後に聞きたいものだ。そんなことを考えていると場内が暗転しジャングル・ビートが響いてメンバーのお出まし。

1.Street fighting man

過去のセット・リストをほとんど見ていないので、1曲目候補にどういうのがあるか、知らなかったが。SFMとは意表を付かれた。しかも、リード・リズム・ギターは前回のロンでは無くキース。そのキース1曲目からエンジン全開で、快調そのもの。他のメンバーは前回のバビロンからそんなに変わらないけど、キースだけは若返ったのではないかと思える程。いつ死んでもおかしくない自堕落な生活をしていると話には聞くが、本当に奇跡的というかゾンビみたいだ。本当に若い女の生き血でも吸っているのかな。

前回のSFMはロンがリードしていたので、やたらにもたれて胃がつかえそうになったが、キースの場合はソリッドでキレとスピードがあり、やっぱこの曲はキースにやらせなきゃダメだと思ってしまう。途中のブレークからのカッティングで思わず会場にため息が漏れる程の格好良さで、これは幸先いいスタート。

2. It's only rock'n roll

間髪入れずにオンリー・ロックン・ロール。この曲は過去後半戦のヒットパレードの幕開けに使われていたのだが、この日は2曲目に。ミックの初来日から毎回聞かされているから、正直飽きたというのもあるのだが、どうも後半でこの曲になると過去私はダレてしまった。ミックの時はティナ・ターナーがゲストで出て来たから結構聞けたけど。この曲を早々に終わらせてくれるのは、個人的には嬉しい。

ただ、いつもとは違うのは、まだバックコーラスも入らずに、この曲をキーボードのチャック・レヴェルとベースのダリル・ジョーンズを入れた6人で演奏している所。いつもみたいに厚ぼったくならないで、シンプルで良かった。

3.If you can't rock me

最初新曲かなと思ったのだが、しばらくしてIf you can't rock meだと分かった。だって、こんな曲やるとは思わなかっただもん。ここで、メンバー後ろの壁が巨大スクリーンだということが分かる。このスクリーンの解像度が異様に良いことに驚く。いつにも増してケバイ口紅をつけた赤いベロがここで登場するのだが、その色の鮮やかなこと。こういう細かい所でも、他と差を付けるのがストーンズらしいところ。

If you can't rock meといえば、そのままGet Off My Cloud だと思ってしまうのだが、そういうことは無かった。そういえばGet Off My Cloudも最近やっていないな。

ここでミックがやっと挨拶。
「ハジメテ、ヨコハマニコレテ、ウレシイヨ〜オォ。ツギワァ〜、シンキョクデス。Don't Stop」

4.Don't Stop

ということで、Don't Stop。この曲を私が初めて聞いた感想は、リフはいつものようだが、アレンジがずいぶん丸くなったなと。DON WAS の好みもあるのだろうが。あと少しミックの声がジジイ声になったような気もして。

それにしても、ライク・ア・ローリング・ストーンの次に、Don't Stopというのは分かりやすい。スター・トゥ・ミー・アップとかBefore they make me run とか意味はみんな一緒じゃんという感じがするが。まあ、仕方ないか。

この曲から後ろのスクリーンに演奏しているメンバーの映像が映し出される。映像はミックを中心に後ろのチャーリーを映し出すというアングルを中心にしているので、ギターとベースの3人がわざとチャーリーの前に来て映ろうとする所が微笑ましい。

それがまたかえってバンドとしての結束感を表現しているような感じもする。どうしても、巨大なスタジアム興行の広いステージと多くのゲストで、ロック・オーケストラレーションみたいな感じがした頃があり、バンドとしてのローリング・ストーンズというより、集合体のストーンズみたいな時期が続いたのだが、コンサートが続くうちにだんだん分かって来るのだが、今回のテーマはバンドとしての結束力みたいなようだ。

ちなみにアリーナではサイドの花道は無く、ステージもいつもより極狭い空間になっている。それでもメンバーの立ち位置はいつもと一緒というのが面白いというか、コンパクト化されているような感じだ。もちろんその狭い空間がバンド感を際だたせているのだが。
新曲ということもあり、場内やや静かめになる。

5.Monky Man

そしてあのピアノのイントロ。BBSに「Monky Manは前々回の目玉だから、あれ1回限りで今回な無いですよね」と書こうと思ったら、観戦記ネットのBBSが落ちて、その時書けなかったのだが、この曲が再び聞けるとは。なんだかんだ言っても、Voodoo Lounge Tour ではこの曲のインパクトは絶大だった。次のツアーでは演奏されなかったみたいなので、1回限りだと思っていたのだが、再び聞けるとは。何と言われようと、Let it Bleed からの曲は心が騒ぐ。だけど、この日はこの1曲だけだった。

ここからバック・ボーカルも参加して男の二人はパーカッションを叩く。リサ・フィシャーも入って来るのだが、前々回のような派手なパフォーマンスは無く、控え目なバックコーラスに終始していた。

演奏は、Voodoo Lounge Tourよりもリズムを落とし気味なのはいいけど、少し雑だったね。まあ、前々回は目玉で、今回は繋ぎだから仕方無いけど。

6.You got me rocking

古い曲と新し目の曲を交互に持っていくという手法。まあ、この曲はさんざん聞かされたから、耳にも馴染んでいるし、そこそこ受けていた。いかにもキースが作りましたというリフだし、キースもこの曲の時はかなり乗って好き放題やっているから、レパートリーに加えないといけないんだろうな。

ここで、ミックが英語で「これはアメリカでNO.1ヒットになった曲です」みたいなことを言って、

7.Ruby Tueseday

私は何かとこの曲をやってんじゃないかと思えるのだが、本当はスティール・ホイール・ツアー以来なのかな。どうもストーンズ側は日本人はこの曲を好きだと勘違いしているのではないかと思ってしまうのだが、いきなり冒頭から場内大合唱。やっぱり好きなのかな。

Ruby Tuesedayと言えば、効果的に流れて来るフルートの音色だが、ライブでもこれを、たぶんシンセサイザーで忠実に再現している。これを聞くとどうしてもブライアンを思い出しちゃうよね。あと珍しく、この曲でキースもバックボーカルに加わる。キースもバックボーカルにも入ってくれるのは、嬉しいんだけど、ハモってんだか、全然別のメロディーを歌っているのか判別つかないけど、なんか限り無く後者に近いと感じたのは私だけであろうか。できたら他の曲でやってほしいけど。この曲は結構余裕があるからなのかな。いつもは、アップアップだからな。

ここでミックがアコスティック・ギターを持ち、ここから「EXILEコーナー」と。スクリーンには、EXILEの見慣れた傑作・リンゴを3個口に入れている男の写真を映し出し、赤い文字で「EXILE NIGHT」と。こんなコーナーがあるとは思わなかったが、こりゃいい。

ミックがアコスティック・ギターを持ったことで、誰もが、スィート・バージニアと思っていた所で、ミックのコールは「Lovin' Cup」。ここで場内唸りが起きる。

8.Lovin' Cup

ただ、悪くは無いんだか、それ程でも無いという感じが。スタジオ版だと、徐々に盛り上がり、後半曲にウネリがあるんだけど、ライブではそれもあまり感じられなかったし。EXILEの場合、結構勢いでやっちゃったという曲が多いから、あの雰囲気をライブで再現するのは少し難しいよね。らっぱ隊はここら参加。

9.All Down the Line

続いてAll Down the Line。All Down the Lineと言えば、EXILEの曲というより、80年代位までは、必ずライブで演奏される定番曲という印象の方が強い。特にサム・ガールズ・ツアーでオープニングのレット・イット・ロックの次の2曲目に必ず演奏されていた。

スタジオを含め、この曲はあくまでもラフに演奏されて、少々崩れてもいいよ、という感じの演奏だったが、この日の演奏はあくまでもソリッド。ストーンズでは珍しい一糸乱れぬという感じで、これがやたらに格好良い。サム・ガールズ・ツアーの頃よりも明らかにいい出来。

実ははこの日スピード感がある曲は、これだけだったというのもあるが、ミックはここでへなちょこ踊りを全開していた。

10.Thumblin' Dice

武道館では無かったし、大体いつもは2曲目なんだけど、無かったから今回は無しだと思っていたのだが。サム・ガールズ・ツアーの時は、All Down the Lineの次はダイスを転がせだったか。

ミックのソロ以来、この曲はライブで毎度聞いているのだが、私はこの曲が妙に好きなので、何回聞いても全然飽きない。ストーンズには、ロックン・ロール路線の曲や、バラード路線というのもあるが、どうにもならない女々しい、役に立たないダメ男を少しコミカルに取り上げるという路線がある。愚か者の涙もその一環だし、私の大好きなBeast of Burden もその類に入る。その代表曲がダイスを転がせで、この滋味な音色はストーンズしか出せない独特の世界である。だから、なんと言われようとこの曲は全然飽きないし、ストーンズを見に行ったら、この曲を聞かないと、という気がしてしまう。もうこれは単に至福の時。

アレンジも演奏もほとんど代わりないけど、この曲に関してはヨシ。定番でいってもらわないと。

11.Honky Tonk Women

もうHonky Tonk Womenかよと思ってしまう程、今回は時間の短さを感じた(本当は今迄よりも30分短いんだけどね。それはそれでいいと思ったが)。

今迄もHonky Tonk Women の時は何か趣向というか演出があるもののだが、今回はスクリーンに18禁のエロアニメ。トップレス、TバックのHonky Tonk Woman が赤ベロをスピアで刺し、ベロの上にまたがって傷口を舐めて上げるのだが、これがまるで、フェラチオ。段々ベロが振動をさせて、Honky Tonk Womanが感じてしまい喘いでしまう。

だけど、こんなのスクリーンに流されると、演奏している人達より、スクリーンを見入ってしまう。最後は赤ベロの底なし沼にはまって、Honky Tonk Womanは食べられてしまうという何とも都合のいいオチ。だけど、ここまで、来ると何をやっても許されるとか。

相変わらず、「どうだ、オレ達スケベだろ」と言わんばかりの所が、ストーンズらしい。今回のツアー・ポスターも十分スケベだけど。ここらへんには、あくまでもこだわりがあるみたいだ。まあ、何でも食べてしまうストーンズを象徴したアニメだった。

(introduction)

まあ、いつもの通りだが、ロン・ウッドが紹介され、いつまでもアピールしていると、ミックが日本語で、「シツコインダヨ。モウイイヨ。」というのには笑った。

12.Slliping Away

ここからキース・タイム。エモーショナル・レスキューのオール・アバウト・ユーから始まった一連のキースのバラード・シリーズで、一番完成度が高いのはこの曲であろう。スティール・ホイールズの曲だが、スティール・ホイール・ツアーでは演奏されなく、その後のVOODOO LOUNGE TOUR で初めて聞いた時には、背中がぞくぞくとした。

この日は、いきなりピックを投げて、素手でイントロを引く、一番目はギターを外し、ボーカルに専念し、再び間奏でギターを持つのだが、ピック無しの演奏が、格好いいし、やたらに決まっている。

ボーカルもさすがに、この曲は歌い込んでいるのか、外すことなく、安心して聞ける。貫禄プンプンだし。なんか、アメリカやヨーロッパでは、キース・タイムはトイレ・タイムになるらしく、観客の動きが激しいらしいんだけど、バカだね。

日本の場合、キースファンが極めて多いから、みんな聞き入っているよね。昔インタビューで、まだ、ストーンズが入国禁止を食らっている頃だけど、キースは「彼ら(日本人)は見たいと思っているらしいけど、オレはあんまり興味は無いんだよ。それよりアフリカに行きたいな。」と言っていたが、その時は尤もの発言かもしれないが、キースは日本に来て欧米と違う日本でのキース人気に驚いたのではないか。それ以来日本に媚を売るキースがなんとなく愛おしい。。。

13.Happy

続いてハッピー。今日はEXILE NIGHTだからね。
もうガス欠しないキースを見るだけで、こちらもHappyになってしまう。マッチョ・キース。歓声高い。これなら、キースも日本を好きになっちゃうよね。みんな固唾を飲んでキースを見ているんだもん。

あと、ロンがスティール・ギターみたいなものを弾いていたが、今日はロンのギターのボリュームが極端に抑えられていて、あんまり何をしているか分からない。

14.Sympathy for the Devil

ここで、場内暗転。キース・タイムの後は、シンパシィーというのは定番だが、スクリーンには炎のベロが映し出され、それをバックにミックのボーカル。絵になる。

まあ、演奏は往年のライブに比べらくもないが、ミックがバックボーカルのバーナードとリサと呑気にフォー・フォーとやっている間、ずうっとキース翁がソロを強いられたいた所が、可笑しかった。さぞ、お疲れのことで。

15.Start Me Up

まだ早いんじゃないかと思うのだが、このへんからヒットパレード路線の流れに。ただ、スタート・ミー・アップは個人的にリリースされた時に、あまりに聞きすぎて、もう飽きてしまった。あまりに、キャッチーだと飽きるのも早い。まあ、早めに消化してくれれば、私的にはよし。

16.Satisfaction

で、Satisfaction。なんか少し早すぎるんじゃないかと思うんだけど。このSatisfaction、VOODOO LOUNGE TOUR の時のよりも、テンポを遅らせている。ソリッドでスピード勝負というより、いつもより、若干ミディアムなテンポで立てノリのリズムにアレンジしている。

まあ、見に来ている奴は年齢層が高いので、テンポが遅い方が手拍子を打ち易いし、この方がいいのかもしれないが、なんとなくこういう所で、ストーンズの老いを感じてしまった。

ここで、演奏メンバーは引き上げてしまう。Satisfactionだし、これで終わりなのかなと思ったら、ミックだけが、メインステージに残り、花道を通って、センター・ステージに向かう。他ののメンバーも衣装を替えて三々五々、センター・ステージに集まってくる。こういう統制がとれてないバラバラな所がストーンズらしくて可笑しい。

17.Manish Boy

センター・ステージ(B−Stageとも言うらしいが)には、正規メンバーとチャックとダリルの6人。実際キャパは思い切り狭い。そしてここでの一発目は、Love You Live のEl Mocanbo side として収録された Manish Boy。勿論、マディー・ウォターズの曲。

Lave You Live でのManish Boyは、あの当時暗さを引きずったストーンズのこれ以上無いと思える位の深遠な演奏だったが、驚いたのは、センター・ステージで披露されたManish Boyは、Lave You Live以上に、暗く、黒く、重く、グルーブしていた。

ミックのボーカルにはファズが掛かったエコライジングがほどかされていて、ギター2本とベースは混然一体となっていて、誰が何をひいているのか判別がつかない音なのだが、PAが悪いと言ってしまえば、それまでだけだが、この混沌さがストーンズ。ここではこの音の悪さが意図的なものと感じてしまう。例えて言うなら、ゴッド・ライブ・イフ・ユー・ウォント・イットの音かな。

ストーンズはスタジアム興行を経験するうちに、オーケストラション・ロックよりもソリッドなバンドの一体感を模索してきたと思う。その終着点というか結晶がこの曲の演奏ではないかと思う。

まあ、私は最近、今の音を聞いていないから、あまり偉そうに言えないのだが、ストーンズが演奏したManish Boyは、あくまでも1950年代の曲で、アレンジもかなり過去を準えたものである。だけど、それが今回、新鮮に聞こえ、古臭く思えない。単に、懐メロをやっているのではなく、これは今の音である。50年前の曲であっても。これぞ、私が聞きかったストーンズだという気がした。身震いするような名演である。

これは常に客と立ち向かおうとしているストーンズだからなせる技であろうし、その蓄積はこの場に及んでもまた1歩高い所に到達してしまったようだ。

18.When the whip comes down

サム ガールズの2曲目で、パンクと真向勝負をしたナンバー。ロンが好きでない私だが、この曲のスタジオ・バージョンのロンは認めている。この曲はサム・ガールズのアルバム全体を象徴するような、スイングして元気だ。。

ただ、ライブとなると、後半のブレークセッションは出来ないし、少し物足りないのだが、この場に及んで、そんなこともどうでもいいような気になって来る。だけど、私は本当は、ストーンズ以外では80年代のパンク・ニューウェーブが好きだったのだが、根ざやしにあったような感じだな。それでもストーンズは生きている。元気にね。

19.Brown Sugar

ラストは当然Brown Sugar。センターステージのままで演奏する。それにしてもステージ直前にいる人達がうらやましい。本当に目の前なんだもん。曲の一番目の途中からサックスのボビー・キーズが花道を巨体を揺すって、のっしのっしと歩いて来る所が可笑しかった。
間奏では、オレもストーンズの準構成員なんだよと言いたげに、キース達と一緒にステージ中央で演奏していたのも微笑ましい。その間、ミックは花道で客をあおっている。演奏は今更どうもこうも無いけど、ここでもやはりオーケストラションを一番発揮しやすいこの曲で、バンドの一体感を表現したかったように思える。PAも前の2曲と違い普通に戻している。

今回観戦記を書くために、いつもみたいにボーっと見ているのではなく、ネタ探しに細かく見ていたのだが、このバンドのライブは本当に細かい所まで、いろいろな配慮が施されていることが良く分かった。常に客の反応を確かめつつ、やはり転がり続けているのだ。
ここで一旦本当に引き上げるのだが、花道を通って、メインステージからバックステージに行くと思っていたのだが、花道途中で左に折れて、客席の中を突っ切ってバックステージに帰ってやんの。何処までもサービスするね。

(encore)
20.Jumpin' Jack Flash

ストーンズの良さは、アンコールを待たせない。時々なかなか出てこないアーティストとかいるけど、ストーンズの場合は着替えが終わるととっと出て来る。私が知るかぎり、アンコールで一番早く出て来るのはストーンズではないか。まあ、自分らも、とっと終わらせて飲みに行きたいのであろうが。

曲はこれまた当然の如くジャンピン・ジャック・フラッシュなのだが、これまたサティスファクション同様、今迄よりもスピードを若干落とし気味。ミディアム・テンポまでは行かないけど、ミディアム・レアという感じか。ただ、その分立てのりのリズムで、いつも以上にリズムをはっきり刻んでいるので、聞いている分には十分乗れる。今迄、最後になると疲れちゃって、リズムが飛び飛びになっている時もあるのだけど、早いから許されたもので、こうはっきりしちゃうと、それも出来ない。

前回のツアーは、JJFがオーラスの曲で、ブラウン・シュガーがアンコールだったのだが、やはり順番としては、JJFが最後じゃないとね。あの催眠状態を起こしそうな、リフレインされるリフに恍惚状態にならないと。

まあ、メンバーがヤクっていた時期に出来た曲だからとも言えるが、この曲をライブで聞くと、歌詞のシンプルさもあるが、ヤクを打たれたような気分になってくる(私は、合法ドラックしかやったことがないので、本当のヤクは知らないけど)。ブラウン・シュガーも好きだけど、ブラウン・シュガーではこうは行かない。

これで本当に終わり。今迄は、2時間半やっていたのだが、今回は2時間ジャストのステージ。途中でダレることもなく、これでもう終わりかと思ってしまった、あっという間の至福の2時間であった。これだったら、武道館じゃなくてもいいやという満足度十分。

実は私は前回のバビロン・ツアーを見た時に、老いも激しいし、もうストーンズを見るのも最後かなと思っていた。そして、ベスト・アルバムに入っていた新曲4曲も、妙に丸くなっているし、ミックはじじい声になりそうだし、いくらアリーナだとはいえ、それ程期待は持たずに見に行ったのだが。

実際は、やはり老いてもストーンズはストーンズだった。この日アップテンポの曲は、最初のSFMとAll Down the Line位で、サティスフクションやJJFまでも若干ミディアム調にアレンジされているのだが、そのスピードをフォローするに余りある、的確なリズム(あくまでもストーンズぽいという意味でね)と滋味としか言い様がない演奏。

そして、幾つになろうが、オーディエンスと向き合う姿勢は、心打たれるものがあったというか、超一流とは何かというものを、勉強させて貰ったような気にもなった。少し成功して威張って消えて行くバンドは数多いるけど、超一流を保つには、常に客と接しないといけないということなのかもしれない。

ローリングストーンズ程、勝手気ままで、我が侭放題。自分の好きなことだけやってりゃいいと思っていると感じるバンドはないのだが、ストーンズの場合、我が侭放題でもポイントはちゃんと押さえているという事が良く分かった。キースが昔、アルバムを作ったら必ずツアーをやらないといけない思っていると言っていたけど、これはそのアルバムのプロモーションというより、作りぱなしでは無く観客の反応を計りたかったんだなと、今更ながら思えてくる。

老いても、常に転がり続けているストーンズが、今の位置にいるのは決して偶然なんかでは無いことを、改めて認識した。





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