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〜女子総合への誘い〜まずは会場へ
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■投稿日時:2002年11月7日 ■書き手:トロピカル |
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みなさまはじめまして、トロピカルと申します。
自分は「Fighting Girls」という、女子総合格闘技を応援するサイトをやっている者です。 ReMiXから2年、スマック・ガール開始から1年半、女子総合という分野も、拡大し定着しつつあるように見えながら、実はいつどうなって消えてしまってもおかしくないというのが現状で、そんなこんなの中、女子総合について本気だして考えてみた色々な事を、これから書いてみたいと思います。 (あと、あらかじめ断っておきますと、「観戦記ネット」を主催する方々の何人かが、スマック・ガールのスタッフも勤められているそうで、この記事もどうせ提灯記事なんじゃねーの、と思われそうですが、僕自身はスマックの関係者でも何でもない、ただの観客ですし、観戦記ネットの方々とは、一人も面識がありません。ディファの会場でレシーバー持って動きまわってる人を見て「あの人が品川さんかなー?」とか思うくらいで。) ★ まずはとにかく、みなさんに会場に来て頂きたい・・・と、女子総合の魅力について書こうと思ったのですが・・・これが実は僕もどうにもわからない・・・。 ということで今回はとりあえず、僕が初めて女子総合を見に行った時のことを書いてみます。 2001年5月24日、スマック・ガール旗揚げ興行。 前日、たまたま雑誌を見ていて「渋谷系女子格闘技」という文字を見つけ、当時「渋谷系」と「女子」と「格闘技」の3つが好きだった僕は、「とりあえず見に行ってみっか」と、何の予備知識もなく、渋谷clubATOMへ行きました。 どんな選手が出るのか?ルールは?それ以前にガチなのかプロレスなのか?それすらわからないまま始まった第1試合。 出て来たのは、大き過ぎるヘッドギアとオープンフィンガーグローブとレガースをつけた、身長147cmの女の子。しかも紹介された名前が、ナナチャンチン。 続いて出て来たのが、150cmの坂口一美。読み上げられたキャッチフレーズが「小さな荒鷲」。 そして2人は、ゴングとともに壮絶な殴り合いを展開しました。 しかも、技術と呼べるモノはまるでなし。テイクダウンなんて勿論なし。セコンドのアドヴァイスも「苦しいのはお前だけじゃないんだぞーっ」とか、そんなのばかり。 一体これは何なんだ? 僕は、目の前で展開されていることを理解するのに、しばらくかかりました。 どうやらコレはガチらしい。そしてこの子たちはほとんど素人らしい。 「何でこの子たちは、殴り合っているのだろう?」 そんな思いが頭をかけめぐる中、目の前で繰り広げられている理解を超えた光景を見ているうちに、何故だか僕は涙が出てきました。 その後も続く、素人の女の子たちの闘い。 やっとマトモな選手が出てきて、50秒で腕十字を極めたと思ったら、マイクで「もっと早く極められるようになりたいです」(久保田有希vs張替美佳)とか、 160kgの巨漢女を、60kg無い小さな女の子が飛びついてパンチでKO(星野育蒔vs鳥巣 朱美)とか。 「なんかとんでもないモノ見ちゃったな」と思いつつ、僕は帰り道についたのでした。 ★★ 「人は何故、闘うのか」「人は何故、強くなりたいと思うのか」「一番強いのは誰か」。 そうした根本的な問いを、格闘技は本質的に持っているはずです。 そして、93年に生まれたUFC以降、ヴァーリトゥードの世界的な流れは確かに、そうした根本的な問いへの一つの回答でした。 しかし、それが広まってゆく中で、次第に競技化され、ヴァーリトゥード(No Holds Barred)が総合格闘技(Mixed Martial Arts)となって成熟してゆくに連れ、ファイターたちはその限定されたルールの中での勝ちを求める闘いをするようになり、始めにあった根本的な問いからは、段々離れて行ったように思います。 そんな時に僕が見たのが、スマック・ガールの旗揚げ戦でした。 別に、147cmの女の子なんて、今の日本の世の中、闘う必要なんかないわけです。 それでも彼女たちが殴り合う姿は、僕に、「人は何故、闘うのか」という根本的な問いを、あらためて突き付けて来たのかもしれません。 以来僕は、女子総合を見続けることになるのですが、それは常に、自分への問いを生み出して行く行為だったように思います。 興行を見て「あーおもしろかった」だけでは終わらない、「見る側」の我々に常に何かを問いかける。まだ生まれて間も無い女子総合の魅力は、そんな所にあるのかもしれません。 「観戦記ネット」を読んでいる、「見る側」のこだわりを持ったみなさんにも、そんな問いかけの奇妙な愉楽を共有していただけたら、と思います。 ★★★ 11月9日(土曜日)には、スマック・ガールの興行が開かれ、ライト級とミドル級のトーナメントの2回戦を含め、計8試合が予定されています。 トーナメントは2回戦が一番面白い、とよく言いますが(ウソ、いま考えました。でも実際、1回戦を勝ち抜いていた強い選手同士の試合が数多く見られる2回戦は、お得であることは確かだと思います)、今回の4試合もすべて注目だと思います。 ◎辻結花vs杉本由美子(ミドル級2回戦)・・・ ミドル級の大本命である辻選手。 でも相手のファイティング・ナース・杉本選手も、なにげにスマック無敗ですし、女子選手層の厚さを誇る禅道会のことですから、辻対策は当然練ってくるでしょう。 でも最近の辻選手は、そうしたことをも上回る、恐ろしいまでの圧倒的な強さを見せてるので、戦いぶりに期待です。 ◎ウインディ智美vs金子真理(ミドル級2回戦)・・・ このカードは、リヴェンジ戦。今年5月、SMACK vs KICK 5対5対抗戦のメインという、お互いの看板を背負った形で行われ、スプリット判定でウインディが勝っています。 その判定が宣せられた時の金子の「無念!」という表情が、これまたスゴくて。 石原美和子とともに禅道会女子選手の看板である金子選手、スマックなど無い時代から、闘う場所を求めてアマ修斗やプロボクシングの試合などに出場していた女子総合の先駆者としては、総合初参戦の選手に負けたことは、かなり悔しかったはずで、今回は絶対に負けられない所でしょう。 一方ウインディも、キックの選手ながら、最近はパンクラスで寝技の練習をしているらしく、1回戦はチョーク・スリーパーで勝利、総合の技術も進歩しています。 ◎渡邊久江vs山田純琴(ライト級2回戦)・・・ 当初対戦予定だったLay-ho選手の体調不良により、急遽、山田選手が参戦。 すいません、山田選手って知りません。未確認情報ですが、何でもゴン格主催のアームレスリング大会で勝った人だそうで、スマックのグッドリッジとなるか?ということでしょうか(でもライト級ですけど)。 ※編集注 今回参戦する山田選手は、アームレスリングの選手とは別人との事です。 ◎しなしさとこvs大門まい子(ライト級2回戦)・・・ ライト級大本命のしなし選手。 しかし、個人的には、今回はしなしはかなりヤバいんじゃないか、と思ってます。 相手の大門選手は、キャラクターこそ「おっさん」ですが、中京女子レスリング部から闇愚羅、という辻の後輩の本格的レスリング選手。しかも、ナチュラルでは50kg以上ある所をしぼってのライト級参戦ですから、47kgのしなしとは体格的にも一回り大きいはずで。 今までしなし選手が勝ってきたパターンが、主に禅道会の打撃系選手を相手に、寝技での一瞬の隙をねらっての関節技だったことを考えると、初のレスリング選手相手の闘いは、かなり注目です。 その他も、しなしを最も苦しめた吉住絹代選手や、進境著しい亜利弥’選手、往年の星野育蒔を思い起こさせる闘志むきだしのファイトの玉井敬子選手、もちろんナナチャンチンも出場。 今まで女子総合を見たことがない人、見てみようかとは思ってたけど機会がなかった人なんかには、今回のカードはかなりオススメできるんじゃないか、と思います。 みなさん、ぜひ会場に見に行ってみてください。 |
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