X-SPORTSと修斗
■投稿日時:2002年9月8日
■書き手:ひねリン(名前をクリックするとプロフィールの欄に飛びます)

俺、スケボーとか全然詳しくないんだけど、どっかで読んだ記事によると、(アメリカの)Xスポーツ文化の本質は「X」と「スポーツ」に分けると理解しやすいんだそうで(いや、なんか当たり前っぽいけど)。つまり、Xスポーツの実践者達の多くは、「制度化されて、世間に認知され、新聞に載るような正規のスポーツ」への反発心を大いに持っていて、自分たちは権力に取り込まれないストリート系なんだという意識が強いらしい(これが「X」の部分。エクストリーム=過激というだけでなく、スポーツを超越する、スポーツにバツを出すという意味も含めて)。でも同時に、Xスポーツもまぎれもない「スポーツ」の一種であって、実際に競技化/プロ化されてもいる。

で、以上の話をとりあえず受け入れるとするなら、(修斗のようにXスポーツと自称はしない)アメリカのNHBカルチャーも、確かにXスポーツ文化との親近性を持っていると思う。NHB系ヴィデオ「American Penetration」は、スケボー等いわゆるXスポーツのクリップや、ストリート性を強調する映像が随所にミックスされてて、「俺たちは制度化されて世間に認可されている正規スポーツとはひと味違うんだぜい」という自負が見える。でも同時にNHB界には「きちんと制度化して正規のスポーツとして世間=政府に認められたい」という強い欲望を持つ者も多い。

UGでのディスカッションを眺めていると、この矛盾(?)がけっこう露骨に出ることがある。ボクシングコミッションの権力者がNHBを馬鹿にしたとか、州の政治家や良識家がNHBは暴力的だから禁止すべきだとか言ったとかいう話題がUGで出るたびに、必然的に多くのNHBerたちは反発心をむき出しにする。で、その中でも極端な連中は、自分達がいかに正規のスポーツの枠には当てはまらない過激なものであり、上品なスポーツを好む権力者達には理解不可能なものであるかを強調し、アンダーグラウンド・アイディンティティに走ろうとしたりする。この時の彼らの態度は、正規スポーツに反発するXスポーツの「X」の部分に極めて近い。

でも逆にWWEなど、NHBよりはるかに成功しているプロレスのことがUGで話題になるときは、必ず「いかに自分たちはまともな『スポーツ』てあって、インチキなプロレスとは違うものであるか」を主張するガチバカ系NHBerがいっぱい現れる。このときの彼らの姿勢は、NHBを暴力的でけしからんと抑圧する正規スポーツの権力者達の態度とかなり似ている。

で、似たようなことは当然、日本の(自称)格闘技系Xスポーツの修斗にも言えるってことになる。修斗は、「俺たちはストリート系。別に新聞になんか載らなくていいぜい」的なノリを持つXスポーツの仲間であることを主張しながら、同時に、異常に潔癖なまでに正規スポーツの論理を振り回して「不正試合」や「プロレス」の排除に走ったりもしているわけだから。

俺はこの態度自体は厳密にはダブルスタンダードではないし、批判されるべきでもないと思う(スケボーの競技会だって、不正がありゃ排除するだろうし)。でも(方法は全然違うけど)正規スポーツにアンチテーゼを提出しているという点では、実はプロレスとXスポーツ(or NHB)には共通性もあるんだってことはちょっと言いたい(WWEのXスポーツキャラのジェフ・ハーディーが、いつでも絶対的なベビーであることは、このことと無関係ではないと思う)。

でもって、プロレスがスポーツとしてのNHBをからかい、逆にスポーツとしてのNHBがプロレスに対してムキになるのもまた必然な気がする。今から考えると、WWFでのケンシャムは、NHB(=格闘技系「Xスポーツ」)キャラとして、「X」と「スポーツ」を両方持ち合わせていたのかも知れない。彼は「world's the mostdangerous man」としてキレキャラで「X」の部分を表現して、それはそこそこ成功してた。でも同時に、彼は生真面目でつまらん「スポーツ」の部分の体現者でもあり、ジェリコのゴッチ・グレイシーはプロレスの威信をかけて、それをさんざんからかった痛快な大傑作だった。

なんか中途半端だけどおわり!





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