プロレスの先祖、100周年目に地元に帰る
■団体:木下サーカス株式会社
■日時:2002年7月20日
■会場:岡山JR操車場跡
■書き手:ノリリン(名前をクリックするとプロフィールの欄に飛びます)

木下大サーカス。自ら”大”を付けるだけあって、世界3位の観客動員だそうだ。
岡山の千日前という岡山ですらminorな地区で興行をはじめた地方サーカスなんだが、何でも今年で100周年だそうで、5年ぶりに地元凱旋興行だそうな。
年間約500興行で、約120万人を動員し、平均2000円 としておそらく30億円程度の興行規模(おそらくはもうちょっと少ない)。新日と同じくらいの規模か?

岡山JR操車場跡という地味の悪い空き地に大きな赤い天幕を立てている。最高気温35度の土曜日だが、うれしそうな顔をした子供、おっさんおばさん、兄ちゃん姉ちゃんが沢山集まってきていた。2500人くらい入りそうな会場に8割の入り。興行砂漠と呼ばれる岡山では大入りだ。

インディーのように決して押すこともなく、場内暗転していきなり地上7mの大車輪。次にレビューの格好で沢山のお姉さんが出てきて、中央に脚立が立って、一人の女性が太い足で樽を回転させる。客席からは太い足だけが見える。終わって立ち上がると太い足の小柄な女性は二十歳くらいの若い小柄な女の子だった。引率のお父さんを惹きつける展開も用意してるのか!?・・ドリフのごとくみんな落としどころを知ってるピエロ、子供以外みんなタネを知ってる美女消失大イリュージョンと快調に続く。すばらしい。プロレス観戦はプロレスと過ごした時間の再確認だが、サーカスはショー文化と過ごした時間の再確認だったのか?
次は四頭のシマウマの登場。シマウマは馬と違って気性が荒く南アでは沢山の人が蹴り殺されている。飼育は難しく、家畜化は不可能とされている。しかし、普通の人はそんなこと知らないからすごさが分からない。ただの太めの白馬に縞があるに過ぎない。マニアしか楽しめないシュマークのための一瞬まで用意されているとは!
体操服のにーちゃんが出てきて椅子を積んで逆立ちする。これはもうひとつだ。
次はキリンだ。飼育係が客に餌を渡して、場内からキリンがにゅ〜っと首を伸ばして食べる。もちろんキリンを至近距離で見たことがある。しかしこのキリンは単にその為だけにいるのだ。単に首を伸ばして、遠くの客席の餌を食べるという芸を見せるだけのために。これはキリンの首の本来の使い方だ!異形のものが忘れられた本来の姿をストレートに見せる驚愕。ジャイアントシンやシルバに教えたい。
休憩があって、帰ってみると場内に金網が。プレデターと小川のはいる金網は40分かかったのに、4頭のライオン、4頭の虎、1頭のヒョウがはいる檻は10分で出来た。そして絶滅危惧種の虎を含む動物たちは何を見せたか? チンチンだ!立ち上がってチンチン。それだけ。すごいよ。絶滅危惧種をチンチンさせるために飼育する。
乱闘もなくあっという間に檻を片づけて、次はラテンなムチとタンバリンのショウ。
木下大サーカスのセミはスズキモーターショウに決まっている。半径3メートルくらいの鉄球の中をスズキのバイクがくるくる走り回る。メインは空中ブランコ。ピエロの失敗・空中ダブル・目隠しジャンプなどなど。上を向いて首が痛くなった。
以上、全部で2時間弱。子供が多いことを考えるといい時間配分。

一つ一つの出し物の長さを突出させず、もう少し見たいところで退き、次々と展開する。途中でピエロが入ったり、がっかりネタが入ったり、そうかと思えば贅沢すぎる素材をどんと素材だけといった出し物もあって、強弱がある。
2歳のガキ(うちの次男)から年寄り(儂の親)までみなが喜ぶ。理想的な興行だ。
出し物をminor changeするだけで、同じ場所で1日2〜3回、2〜3カ月連続興行をする底力はサーカスというものそれ自体にある。同じ底力をプロレスは持つが、わかりやすさの点でちょっとおよばない。
近代興行レスリングはサーカスの出し物の一つとして始まったそうだ。この中でガチが地位を確保できるとは思えない。ストーリーを決めてやっても埋没してしまうだろう。そもそも体力的に無理。プロレスはspin outして幸運だった。いまでもいいプロレスの興行はサーカスに繋がるところが多いようだ。
しかし、プロレスはサーカスになっちゃいかん。理由の一つは敵わないから。アンドレやGシウバが如何に大きかろうとキリンにはおよばないし、コールマンやプレデターが如何にどう猛でも虎やライオンには敵わない。もう一つの理由はサーカスの目指す客の範囲が広すぎるから。最後の理由はサーカスでは終わって印象に残るのが仕掛けの方で人ではないということ。





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