「週刊タカーシ(仮題)」第二回 <さよならの向こう側>
■投稿日時:2002年4月23日
■書き手:タカハシ(名前をクリックするとプロフィールの欄に飛びます)

さて2回目。2回目にプロレス会場に行ったのは・・・などと書くといくらでも連載続けられそうですけど、主宰の怒り顔が目に浮かんだので辞めておいて早速本題に。
・・・とその前にタイトルについてですが、どうもいいのが思いつかないまま連載を開始したところ、主宰がつけたのが「タカハシの私を通り過ぎたプロレス百景」。「百回も書けないよ!」というのはともかく、プロレスの記憶は決して通り過ぎる事なく、自分の心の中で脈々と息づいてるんですよ。今回コラムを書き始めて改めて実感しました。

・・・というワケでしばらくは週刊タカーシ(仮題)でよろしくお願いします。

さて引退は連鎖するのか先々週は北斗、先週は冬木と2回連続で日曜日に引退興行に行ってきました。
2人の引退は発表が突然だったところが共通点で、冬木の引退発表の記事を見た時は、まぁ誰もが思ったことだけれど「ウソくせぇなー」と思いましたよ。狼少年じゃないけど、リング上のキャラクターがこんな時にも作用してしまうのが我ながらおかしくなってしまいますね。そのような時のためにもやはりシュート活字の必要性というものが・・・(ウソ)。
また興行自体には直接関係ない部分で楽しめるのが選手、関係者らから送られてくる花や祝電なのだけれど、冬木の引退興行にはどういうワケか福田官房長官から来ていたのがそのミスマッチさ加減から会場を沸かせていたな。
バックステージの進行表には「花束贈呈:天龍源一郎(予定)」とあったそうなので、もしNOAHのリングに上がる天龍の姿が見られたなら、今後とも引退式でのコレ以上のサプライズはちょっと考えられないのだけれど。
北斗の引退式での佐々木家揃い踏み?・・・う〜ん、コメントのしようがないな。
さてその北斗の方はというと不思議なくらいプロレス業界以外から花等送られて来なかったし、祝電はおろかマスコミからの記念品贈呈すらなかったのが、GAEAの方針なのか北斗の希望なのかはともかく不思議な感じがしました。どうもその後行われた記念パーティーでまとめてやったそうだけれど、ファンには関係無い部分だからとかその日リングに上がった選手たちを最優先したというならちょっと嬉しい心配りだ。
あと何となく気になったのが新日本の井上亘から単独で届いていた花で「井上は健介派なのか?」とか「北斗の手料理をあの豪邸でご馳走になった事があるのか?」などと余計な事を考えてたりしましたよ。

冬木の最後の挨拶を聞く前に思い出したのが、週刊プロレスの記事でしか見ていないけれど元LLPWの半田美希が引退セレモニーの時もリング上では最後までヒールのキャラを貫き、ベビーフェイス(LLのメンメンには非常に不似合いな呼び名だなぁ)たちとの涙の抱擁的シーンを拒絶したというエピソード。
冬木のキャラクターから「バ〜カ!みんなしてダマされやがって。このオレがガンなはずがないだろう!」とかリング上で虚勢を張ったりしないかな、と考えていたのだけれどサスガにそんなはずもなくちょっと残念。
北斗もセレモニーはウェットなものだったけれど最後はファンにではなく、選手たちにメッセージを贈りリングを後にし、冬木はシチュエーションからすると当たり前だけれど、関係者やファンに感謝の言葉を最後の挨拶としていましたね。

今回の引退についてもうひとつ共通点を見出すとすれば、2人とも引退後の道筋がしっかり?敷かれている事で、復帰の可能性はともかく、ある程度安心して送り出せるのはファンにとっても嬉しい事です。
北斗がヤンマガのインタビューで「私はプロレス生活でも実生活でも成功している!」と断言しているのを読んだ時は、「新日本の選手と結婚できれば人生の成功者かよ」とツッコミたくなりましたが、彼女にとっては「幸せな家庭」という財産を手に入れた事が全てなのでしょうね。あの悪シュミな家も含めて。

ところで自分はどれだけ引退興行、引退セレモニーをライブで見てきたかというと、確か最初は旧UWFでのマッハ隼人の時だったと思います。当時すでに格闘技スタイルにシフトチェンジしていた旧UWFではマッハは明らかに場違いだったけれど、最後の試合となるタッグマッチでのパートナーの佐山(当時マスクは脱いでいた)が、いつも通りの試合から一転「飛んでよ、マッハさん」と声をかけてミサイルキック、続けてトペ・アトミコまで引き出したのはインディー独特(そんな言葉はなかったけれど)の温かみを感じさせられたいい思い出です。
多分その次はアニマル浜口で「ありがとうプロレス。さようならプロレス。」のセリフは感動したなぁ。
TVで観たテリー・ファンクの「FOREVER!FOREVER!!」はもうネタでしかないけれど。
「おいおい、これから全部羅列するつもりかよ!」とツッコミが入りそうな気がするのでほどほどにしておきますけど、引退セレモニーを生で見て、その後リングに上がる姿を見なかったのは前田とドールマン、馬場に鶴田にマイティ井上くらいだな。特に女子の場合はほぼ全員が復帰したと思う。

今回の2人は一応引退後にやる事が決まっているのだけれど、復帰する選手の大半は金銭的理由もあるんでしょうね。で、女子レスラーなんだけど正直言ってフツーに働いた方が収入は安定しているんじゃないでしょか?元JWPの大隅沙理のようにピンサロ(源氏名はラブだったな)勤めるのならなおさらに。
まー、これは勝手な推測だけれど彼女らにとってはチヤホヤされる世界がそこしかない、という事なんじゃないかなというのが自分なりの結論です。
復帰した選手を全部チェックしているワケじゃないけど、女子レスラーで復帰後に名前を汚さなかったと言えるのは長与と北斗(かなりビミョーだけど)くらいで、飛鳥を入れるのは全女での復帰後のダメダメさが印象深過ぎて自分は抵抗あるなぁ。

男子レスラーについていうと、大仁田を除くと復帰して大ブレークした人はいないんじゃないかな。あ、これは全日本での引退後という事ですよ。そもそもできないからこそ引退した以上当たり前の話で、山崎の引退試合観た時は、潔いとは思いつつも「こりゃ引退するのは正しい選択だわ」と思ったもんな。
とにかく次の仕事が決まっている人やフロント業務に残れる人以外は、ほとんど全て復帰すると考えておかなくちゃいけない感じです。もっとも裏切られたという感覚すらとっくにマヒしてるんですけどね。
そういった意味では長州の復帰は、例えあってもエキシビジョンか一夜限りと思っていたんだけど、まさか巡業まで参加するとは思わなかった。
あと絶対復帰すると思っていたのは大仁田ですけど、逆に復帰すると思っていたのに結局しなかったのが(まだわからないか)北尾。金持ちの嫁さんもらって悠々自適説と風俗店の用心棒やってる説の2つあるけれど真偽やいかに?

ちょっと怪しい人もいるけど、最初から復帰するつもりで引退興行に臨む人はそうそうはいない(はず)。ファンも口では「どうせ・・・」と言いつつ、ちょっといつもとは違う心構えで会場に向かうのは引退興行には特別な何かがあるからなのでしょう。だからこそ商売として使いまくられるという側面はあるけれど。
ところで今回の2人についてですが、北斗はやろうと思えばスポット参戦なら復帰は可能だろうし(メンタルな部分とプライドの問題を除けば)、冬木も小林邦明(だと思う)がかつて同じく大腸ガンを克服して復帰を果たしたという前例があるので、症状の度合いによってはこれからも業界に携わっていくなら、ストーリーの流れで1回くらいは試合をする事もあるのかも知れない。
などと考えつつも引退興行と聞くとついつい会場に足を運ぶのはレスラーがくれた思い出を再確認したり、感謝の気持ちを会場に行く事で表現したいという事なのかな?少なくとも復帰に対し「裏切られた。もうプロレスは観ない!」という人はいないだろうし、戻りたいという気持ちを受け入れてしまう(というか容認してしまう)心の土壌がファン側にできてしまっているのが現状だろうし。

さて、復帰が罪悪であると認識されるようになったのはいつの頃かというと・・・中牧のIWAでの復帰もファンが後押しできるものを用意してない上に、リング上でインパクトを残していないままの引退という珍しいシチュエーションだったので逆に記憶に残っているけれど(そう考えると先の復帰後の方がブレークしてるに当てはまっちゃうな)、悲しいながらここでダイナマイト・キッドの名前を出さないわけにはいかないと思う。
ターザン山本もキッドに復帰して汚名を着せたくないという事から、週刊プロレスの表紙にして「オレはテリー・ファンクにはならない」とプレッシャーをかけたと後述していただけに、「キッドよ、お前もか・・・」という気分だったと思います。。
復帰の理由等については昨年出版された自伝に書かれていたものの、突然の引退発表とそのまま最後の試合に向かうキッドに対しての悲痛さすら混じった大「キッド・コール」を聞いていただけに自分自身複雑な気持ちで復帰後のキッドを見ていた記憶がありますね。
最後の来日(みちのく両国大会)で痩せ衰えたあの体をもし生で観ていたら・・・。観ない方が幸せという事もあるという事でしょうか?

小林邦明も言っていたけれど引退をファンに信じてもらえないのが現状で、引退後の就職先が決まっている人や、ギリギリの決断(結果的に復帰しても)と思っている人にはとにかく気の毒な話です。
そういった意味では「レスラーが復帰したくなる気持ちは理解できるので、自分は引退ではなく長期休養というかたちを取りたい」と言っていた川田はなかなかクレバーなんだな、と思います。NOAHでは全日本の伝統を受け継ぎ、セレモニーの際10カウントゴングは鳴らさないのだそうですが、ファンからするとアレを聞くときの一体感と思い出に浸れる感じがいいので、できれば再考してもらいたいものです。
ところで全日本はこれからも10カウントゴングは鳴らさないのかな?

さて冬木が復帰するとなればビジネス上のやむを得ない選択だろうし、北斗が復帰するとしたらそれこそ「プロレスは麻薬みたいなもの」という言葉の裏付けとなるように思う。
冬木はともかく北斗に関しては「これだけファンを楽しませてくれたのだから、どうぞ好きなように」と皮肉でなく思うし、大仁田についても(思い入れは全くないが)同じように思う。

でも猪木さんが例え自分の会社でも好き勝手にやるのは絶対ダメ。他の人とは違ってこの業界を作り上げた人の1人であり、象徴である責任というものがありますからね。

<先週観た興行>
先週観たのは13日の全日本武道館と14日のNOAH主催の冬木引退興行の2つ。全日本は今イチオシの団体なのだけれど、NOAHは逆にあまり行く気がしない団体。それについてはいつかじっくり考えるとして、どちらも満足度は高い興行でした。全日本については速報観戦記を参照してもらうとして、NOAHは全5試合という丁度いい腹具合もあり非常にイイ感じだった。何しろ人材は豊富だからなぁ、と実感しましたよ。
予定では試合後に花束のプレゼンテーターとして天龍が登場の予定もあったそうな。
NOAHのマットに上がる天龍の姿が見られなかったのは残念だったけれど、今回は新宿鮫、井上京子、チョコボール向井が上がっただけでもゲップが出るというもの。叶わぬ夢のままでもいいし、いつか実現する可能性がチラリとも見えただけでもヨシとしたいな。





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