ガチンコバトル「田中正志VS闘道館館長」〜カミングアウトは是か?非か?〜
■投稿日時:2002年2月6日
■書き手:闘道館館長 (ex:格闘技プロレス図書館 闘道館

これは私信(メール)での二人のやりとりをほぼ忠実に再現したものです。

田中正志(たなかただし)・・・1959年生まれ。17年のアメリカ生活から現在は東京に潜伏中のプロレスジャーナリスト。著書に「プロレス・格闘技、縦横無尽。」「開戦!プロレス・シュート宣言」
 大学時代に学生プロレスのブッカーを経て「週刊ファイト」編集部へ。I編集長の元で「プロレスとは何か?」を学び、そして海外へ留学。米国で証券マンとして活躍する傍ら、「ケーフェイ無きプロレスジャーナリスト」としての活動を開始。
 米Wrestling Observer誌(Dave Meltzer主宰)への情報提供やeyada.comへの出演等で、海外のマニアからは「地下鉄の神様」と呼ばれ崇められており、日本に置いてもレスラー・関係者の信奉者も多い。また、ガキの頃からヘビメタ音楽一筋で"歌うシュート活字王"の異名もある。

闘道館館長・・・1975年生まれ。本名:泉高志。2001年3月より夫婦で水道橋にて格闘技プロレス図書館闘道館を独立開業。大道塾塾生。極真関東学生大会優勝。ターザン山本一揆塾塾生。


ここでつかわれている専門用語(田中正志著「開戦!プロレス・シュート宣言」より抜粋)

Mark(マーク=印)
 (1)世間一般大衆のプロレスファン。リアルファイト幻想のまま試合を楽しむ層をさす。
 (2)あるいは団体やマスコミの作るアングルをある程度信じている組のこと。
 (3)プロレスがどういうものであるかの議論にそもそも感心のないビジター
Smark(シュマーク=隠語)
 近年に使われ出した、マークとスマートに挟まれた中間層としての新合成語。
 (1)プロレスの仕組みを実は何も知らされてはいないが、裏もわかって観ていると自称するマニアたちのこと。
 (2)「活字プロレス」の購買対象者。
  全盛時代を"炎上"させた『週刊プロレス』の主たる愛読者と合致。わかった上で商売のために多数派向けのシュマーク雑誌を作ることを、必要以上に批判するのも同じくシュマークだったりする。一方商業誌でも、編集者と大半のライターと読者のほぼ全員がシュマークの、不思議な内容の月刊誌まで各種存在。
 いずれも真ジャーナリズムとは別種の商売が成立しているが、ジャンル自体が"お仕事"なので、プロレス村では奇怪な現象だとは考えられない。すべての芸術は誤解から始まる。
 ビジネスの原則はあくまでも売れた者勝ち。洗脳操作術は毒入りで全国に浸透した。
 スマート気取りの幸せなオタクこそ、正しいファン道のあるべき姿かも知れない。
Smart(スマート=利口な、厳しい)
 (1)すべてを知った上で楽しんでいる永遠に長続きするファン。
 (2)真のミーハーかつ究極のオタク。


さくせす日記(闘道館HP)より

1月26日(土)
 今日、館長は「田中正志トークショー」へ行った。
 第1部ビデオ上演、第2部田中正志トークショーという構成で、4時間くらいのイベントだったそうだ。
 帰ってきた館長に感想を聞く。
「基本スタンスとして、すべてわかっているわたくしが大衆を教育していかなくちゃならん!っていうのがあるんやろうけど。えらい、えらそうにしゃべるんよなあ。頭が良いのはわかるけど、自慢話に聞こえてな。でも、小川がPRIDEを嫌う理由とか、猪木vsアリの舞台裏が聞けたのはよかった。あと、強調してはったのは'猪木祭り'は全試合シュートだったと言う点。田中さんも『ネットであれはヤオだ、って騒いでいるみたいだけど、それを見ると日本人のレベルの低さを感じるね』って言っとった。・・・(以下省略)。



田中正志メール一通目(1月30日)

日記読みました。来てくださったこと初めて知りました。ありがとうございます。
すいません、偉そうなしゃべり方で。あれが幻の美少女というヒールのキャラなんで
す。だから意識して偉そうにやらせていただきました。

友人に日記に載ってること知らされ、初めてhp見ました。今度図書館に行ってみようと思います。


闘道館館長メール一通目(1月30日)

田中正志様
 メールありがとうございました。
 「さくせす日記」では、私共のほうこそ偉そうに書いてしまい、大変失礼致しました。
 'ヒール'に徹しておられたことを気づけなかった私は、まだまだ修行不足と思われます。
 日記を読み返してみると田中様や主催者の方に対しあまりに無礼でお叱りをうけても仕方のない文だったと反省しております。
 それにもかかわらず、ご本人様からメールをいただき、恐縮いたしましたが、思いがけないご縁に大喜びしております。

 ただ、私個人の考えでは、一部のマニアなファンや関係者には情報を公開し、議論を深めていくことはとても意味あることだと思いますが、果たして一般大衆に向けても同様に公開すべきかどうかという点では、まだ疑問を感じております。
 まずは田中様がおっしゃっていたシュマークの人たちのレベルを上げ、もっと深くプロレス格闘技について考えられるようになれば、と私は思います。そして、そういう場を闘道館も創っていきたいです。
 
 私共は2001年3月に独立開業し「格闘技・プロレス図書館 闘道館」を始めました。ようやく1年が経っただけですが、微力ながらもこの業界が発展していくことを願っております。

 これを機に田中様とよいおつきあいができればありがたいです。
 今後ともよろしくお願いいたします。

 闘道館 泉高志


田中正志二通目(1/31)

泉 高志様

>  ただ、私個人の考えでは、一部のマニアなファンや関係者には情報を公開し、
>議論を深めていくことはとても意味あることだと思いますが、果たして一般大衆に
>向けても同様に公開すべきかどうかという点では、まだ疑問を感じております。

 一般大衆マークに向けては全然問題ないんじゃないですかねぇ? 高橋本を最初に紹介した週刊現代の記事にしても、「笑撃のスクープ!」と書いてあって、「衝撃」じゃないんですよ。それが世間だし。

 ただ、今、自称マニア(シュマーク)の層にはキツイのはよくわかってますよ。「配慮が必要だ」とは自分の本にも書いてある通りです。

 週刊SPA!用(多分2月11日発売)に高橋さんの横浜の自宅まで行ったときも、そこを突っ込んで聞いたんですよ。答えは自分の持論と一緒で、「それと、どうしても耐えられない組がいるのもしょうがない。オタクを批判するわけじゃないですよ。プロレスが好きならそれでいい。ただ、カラをかぶって閉じこもってないで飛び出して欲しいんですよ。明るい方向へ楽しいプロレスが広まらないと駄目。真実を認めようとしないで、そんなのを生涯引きずって生きていたらつまんないじゃないですか」でした。

田中正志(タダシ)


闘道館館長二通目(1/31)

田中正志様

 お返事ありがとうございます。気軽にお答えいただき感激です!

 私などが田中様相手にこのテーマで反論するのは10年早いと承知しておりますがプロレスラーに技をかけてもらい「ほんとに効くんだすげー」というミーハーなファンの感覚で、もう一度、チャレンジさせていただいてもよろしいでしょうか?

> 一般大衆マークに向けては全然問題ないんじゃないですかねぇ? 高橋本を最初に
>紹介した週刊現代の記事にしても、「笑撃のスクープ!」と書いてあって、「衝撃」
> じゃないんですよ。それが世間だし。

 やはり、ここに高橋本の悪意をかんじてしまいます。プロレスへの愛がないじゃないですか?講談社が本を売りたいためのあおりでしょうが、一般誌が世間に対しプロレスを笑いものにする構図をつくっちゃてませんか?これこそ、業界にとって高橋本が出たことによる最大のマイナスポイントではないでしょうか?

 現状では、よほどうまく情報公開しないと世間は「プロレスはやっぱりショーか?くだらねえー」で終ってしまうとおもいます。

 アメリカのニュースレターのように、プロレスに深い関心のある人たちにむけて情報を公開するのは良いとおもいます。自分もぜひ読んでみたいです。

 しかし、週刊現代が「笑撃のスクープ」とやってしまったら、ますます世間のプロレスに対する偏見を助長させているように感じます。
 プロレスは本質的に世間には受け入れられないものを内包してるからおもしろいのではないでしょうか。世間に受け入れられるプロレスなんてつまらないとおもいます。だからマーケットを拡大するといっても、「世間に受け入れられるプロレス」を目指すのではなく「世間には理解できないマニアックな世界の拡大」で良いのではないでしょうか?

 世間からは笑われるより「プロレスってなんだかわからないけどすごそう」と思われていたいです。


> 週刊SPA!用(多分2月11日発売)に高橋さんの横浜の自宅まで行ったときも、そこ
> を突っ込んで聞いたんですよ。答えは自分の持論と一緒で、「それと、どうしても耐
> えられない組がいるのもしょうがない。オタクを批判するわけじゃないですよ。プロ
> レスが好きならそれでいい。ただ、カラをかぶって閉じこもってないで飛び出して欲
> しいんですよ。明るい方向へ楽しいプロレスが広まらないと駄目。真実を認めようと
> しないで、そんなのを生涯引きずって生きていたらつまんないじゃないですか」でし
> た。

 これは私も基本的に同感です。ただ、誰かに言われたり読んだりするのではなく、自分の目を肥やしてきずいていくのがベストではないでしょうか。そうはいかず、他人の書いた文章を読んだくらいで傷ついてしまうファンがいるのはしょうがないです。しかし、傷つかず最後まで自分のファンタジーを守れるのならそれはそれで幸せな人生だともおもいます。それをつまらないと言ってしまう高橋さんの意見はちょっとおせっかいかなという気がします。

すいません。えらそうに書いてしまいました。

闘道館 泉高志



田中正志三通目(2/1)


>やはり、ここに高橋本の悪意をかんじてしまいます。
> プロレスへの愛がないじゃないですか?
> 講談社が本を売りたいためのあおりでしょうが、

悪意なんて全くない、って。そこまでくるともう講談社ですらなくて、週刊現代のデスクの判断なんだから。

> 一般誌が世間に対しプロレスを笑いものにする構図をつくっちゃてませんか?
> これこそ、業界にとって高橋本が出たことによる最大のマイナスポイントではない
> でしょうか?

 WWFでも十年かかってるんですよ。最初Wrestling Observerのデイブはアウトサイダー扱いで、それこそ向こうのジミー鈴木格の記者に「机上の論理」とか言われてたんだから。で、89年に裁判でカミングアウトって言われてるけど、実際は92年のビジネスのドン底(今の日本と非常に似てるね)で、ステロイド問題で世間からも白い目で見られていた時期に、ようやくシュート活字系の記者を優遇する方向転換で、アイデアを聞き始めた。そこからなんですよ。

 簡単に言えば、今のプロレスはエンタテインメントとして面白くない。だから、そこに笑いものにする構図ができてしまう。だけど当時のWWFだって同じで、筋肉膨らませたお化けがポーズするだけで、その最初のカミングアウトが笑いものにされていた。しかし、そこから面白いプロダクトを作っていって(具体的にはRAWが93年からスタート、質も日本並プラススケッチ、つまりコント部分も急に面白くなった)、そこでやっと、世間からの嘲笑が消えた。これは凄い、と。単純に面白い、と。ここまでやれば立派な一流エンタテインメントだと。

 今、日本のが笑われるのはしょうがない。だって先日の東京ドームの小川x健介だよ。そりゃ、バカにされて仕方ないじゃないか。本当に清原までリングに登場してやってくれたら、そりゃ世間だって注目するでしょうけどね。

> 現状では、よほどうまく情報公開しないと世間は「プロレスはやっぱりショーか?
> くだらねえー」で終ってしまうとおもいます。

 違うって。まず公開が先にどうしても必要。その次にそれに見合う優秀プロダクトを提供。そこでやっと、大衆も笑えなくなる。石井館長にやらせたらいいんですよ。少なくとも今よりは面白くなるでしょうに。

 で、そりゃ今の現状は、プロダクトがつまらないから、「ほらやっぱりショーか、くだらない。」ですよ。当時のWWFもそうだった。しかし、そこからの反撃があったから、情報公開したことが生きてきた。そういう順番ですよ。

>  アメリカのニュースレターのように、プロレスに深い関心のある人たちにむけて
>情報を公開するのは良いとおもいます。自分もぜひ読んでみたいです。

 違うって。反対だよ。むしろ大衆の方にこそ先にやるしかないんだって。それで実際、今の高橋本現象はまさにそれでしょ? 
 SPA!とか毎日新聞とか産経新聞が、本を取り上げるついでに「全試合勝ち負けが決まってるショー」って書いてるでしょ。もうその流れは止められないんですよ
。実数で9万2千部。たった2ヶ月で。だったら年内には20万部ですよ!

>  しかし、週刊現代が「笑撃のスクープ」とやってしまったら、ますます世間のプ
> ロレスに対する偏見を助長させているように感じます。

 当時の北米も同じだよ。だけどそこから目が覚めて、団体が外部のシナリオライター雇って急に面白くなったんでしょ? 

>  プロレスは本質的に世間には受け入れられないものを内包してるからおもしろい
> のではないでしょうか。

 それはファンタジーとしてプロレスを楽しみたい組の屁理屈ですよ。世間に受け入れられて、大衆人気が盛り返し、選手の給料も2倍、3倍になる方がいいに決まってるじゃないですか。今の皆さんの意見だと、肝心の選手の給料倍増計画には繋がらない。「マニアの世界だけで完結してくれ!」って要求をしてるのと同じなんですよ。

>  世間に受け入れられるプロレスなんてつまらないとおもいます。

 それは現在「自称マニア」と呼ばれてるシュマーク層の意見でしょ? マークとスマートの意見は逆で、世間に受け入れられるプロレスに戻そう、ってのがシュート活字運動の骨格だから。あるいは高橋さんが本を書いた動機でもある。

>  だからマーケットを拡大するといっても、「世間に受け入れられるプロレス」を
>目指すのではなく
>「世間には理解できないマニアックな世界の拡大」で良いのではないでしょうか?

 我々の目的は、素晴らしい感動を与えてくれる選手の皆さんが、あの激しい肉体の激突という代償に見合う給料を貰うことに尽きるんです。それじゃ、日本に一億円選手がゼロのままで、アメリカには7名以上いる現実をどう思うんですか? そりゃ自分だけのプロレス観に閉じこもりたい(高橋も指摘)組には、マニアックなマット界が居心地いいのは当たり前でしょう。

 でも、僕や高橋さんの提言ってのは、マニアックになり過ぎたマット界を大衆のものに戻そう、という運動ですよね? マニアックなシュマークの意見は、1%しかいないスマートより遥かに多い(2〜3割)んですが、7割を占める大衆からみたら依然として少数意見でしかないんです。昔は学校でも「昨日のロビンソンと猪木の試合がどうだった」とか、プロレスが世間の話題にされていた。でも、今は笑われてしまっている。その原因は何なのか?ということ。

> 世間からは笑われるより「プロレスってなんだかわからないけどすごそう」と思わ
> れていたいです。

 それはマニアックに楽しみたい組の願望ですね? 気持ちはわかりますよ。でも、はっきりわかって楽しむ方がより多くの大衆に届くんですよ。この現実がある限り、一部のオタクの意見(高橋の発言)は切り捨てる時期が来たんです。「卒業しない愉しみ方」がシュート活字の命題だし、「底なし沼を楽しむのが大人の知的高級趣味」という定義があるわけです。

ターザン山本幻想、活字プロレス幻想はマイナーパワーでしょ?だから自分たちのファンタジーに閉じこもりたいオタクには気持ち良かった。でもその結果、プロレスというジャンル自体がマイナーになってしまった。そこが問題なんですよ。

> これは私も基本的に同感です。ただ、誰かに言われたり読んだりするのではなく、
>自分の目を肥やして気づいていくのがベストではないでしょうか。そうはいかず、他
>人の書いた文章を読んだくらいで傷ついてしまうファンがいるのはしょうがないで
> す。 しかし、傷つかず最後まで自分のファンタジーを守れるのならそれはそれで幸せ
> な人生だともおもいます。それをつまらないと言ってしまう高橋さんの意見はちょっ
> とおせっかいかないう気がします。

 つまらない、とは高橋さんも私も言ってませんよ。だけど、そんな偽善の楽しみ方を生涯続けて面白いんですかね? プロレスは答えがない芸術。解釈は自由だから、どの見方が正しいとかはないんです。だからファンタジーで楽しみたいなら、それはその人の勝手でしょう。だけど、だからといって、選手の給料倍増計画のじゃままでされて、抵抗されたんじゃそれも困るんです。別に高橋本がなくても、もう映画ビヨンド・ザ・マット以下、映像ではっきり見せるものがいくつも日本に入ってきてる。もう防げないし、止められない。

 「自分の目を肥やしていくのがベスト」とおっしゃいますが、現実にはそんな奇麗事では無理ですよ。目を肥やしていくのを拒む組だっているし、ずっと活字プロレスにどっぷり浸かってたい組もいる。彼らを悪く言うつもりはないですが、どうせ彼らは団体に直接お金を落とす商売に関しては、もともとあんまし貢献してない層が多くて、ビジネスとしてはどうでもいい組でもあるんです。

 書かれていることの気持ちは痛いほどわかるのですが、もう時代はそんな「シュマーク天国」状態を許してない。それが証拠に、館長が新日の株を買ったのが判明というニュースが今日だった。これは運命以外の何物でもないでしょう。

田中正志(タダシ)


闘道館館長三通目(2/1)

 お返事ありがとうございます。いやー、空手のスパーリングをやってるようで楽しいです。

 私はこういう商売をやっておりますが実はこの世界のこと、あまりくわしくありません。なので、田中様の意見は凄く新鮮で大変勉強になります。反論したくなるのはこう攻めればどう返されるのかな、という単純な好奇心からです。まったく悪気はありませんので、ご了承願います。

 今日更新の家内が書いた日記にも田中様の話を書かせていただきました。お読みいただければ光栄です。
http://toudoukan.hoops.livedoor.com/
では、せっかくですので、田中様のようにガチモードで、もう少し質問させてください。


> その最初のカミングアウトが笑いものにされてい
> た。しかし、そこから面白いプロダクトを作っていって(具体的にはRAWが93年
> からスタート、質も日本並プラススケッチ、つまりコント部分も急に面白くなっ
> た)、そこでやっと、世間からの嘲笑が消えた。これは凄い、と。単純に面白い、と。こ
> こまでやれば立派な一流エンタテインメントだと。

 でしょ?やっぱり大衆に対してのカミングアウトがWWFの直接の成功要因ではなくて、おもしろいプロダクトを提供したからなんでしょ?
 おもしろいプロダクトをつくれば、たくさんの人にうける。当たり前ですよね。ただ、おもしろいプロダクトを提供するのと大衆に情報公開する必要との関連がわかりません。うまいシナリオをつくる努力をするのと、世間に対してカミングアウトするのは別ものに思えます。WWFはたまたまそういう順序を踏んだだけじゃないんですか?闘龍門のようにカミングアウトしなくてもおもしろいプロダクトはつくれます。


> 簡単に言えば、今のプロレスはエンタテインメントとして面白くない。だから、そ
> こに笑いものにする構図ができてしまう。

 週刊現代が笑いものにしたのは今のプロレスではなく、全盛期の猪木をはじめとしたプロレスというジャンルや歴史そのものやないですか?今のプロレスはカミングアウトせんでも自然に変わってゆくと思います。そりゃこのままではまずいと新日関係者はみんな思ってますよ。だから今のこの騒動なんでしょ?ひとつの提言としてカミングアウトという方法もあるよ!くらいならわかります。でも、それが絶対唯一の方法であると信じ、それがわからないやつはアホやと考えてしまうのなら、ちょっと視野が狭いのではないかとおもいます。


> それはファンタジーとしてプロレスを楽しみたい組の屁理屈ですよ。世間に受け入
> れられて、大衆人気が盛り返し、選手の給料も2倍、3倍になる方がいいに決まって
> るじゃないですか。今の皆さんの意見だと、肝心の選手の給料倍増計画には繋がらな
> い。「マニアの世界だけで完結してくれ!」って要求をしてるのと同じなんですよ。
> 我々の目的は、素晴らしい感動を与えてくれる選手の皆さんが、あの激しい肉体の代
> 償に見合う給料を貰うことに尽きるんです。それじゃ、日本に一億円選手がゼロのま
> まで、アメリカには7名以上いる現実をどう思うんですか?

 ここも大事ですね。
 高橋本などでの情報公開で日本でも人気が盛り返し、選手の給料も2倍、3倍になるかどうかはやってみないとわからない。WWFというたった一つの結果論を御旗にかかげるだけでは弱い。
 だいたい選手の給料が2倍、3倍という言い方は田中様のいわれるシューマークの人たちを思考停止にさせるだけ。また今の田中様の意見だと、そのままアメリカと同じ道をたどったとして、その10年間はどうのりきるんですか?10年経てば今の2、3倍になるからこれからしばらく今の1/2でがまんしてねってことですか?


> だからファンタジーで楽しみたいなら、それはその人の勝手でしょう。
> だけど、だからといって、選手の給料倍増計画のじゃままでさ
> れて、抵抗されたんじゃそれも困るんです。

 別に誰も邪魔はしてないのでは?選手の給料が倍増することを喜ばないファンはいないでしょう。抵抗なんてできる力誰がもってるんですか?やるのなら勝手にやればいいんちゃいます?その気になりさえすれば、できますよ!


> マークとス マートの意見は逆で、世間に受け入れられるプロレスに戻そう、ってのが
> シュート活 字運動の骨格だから。あるいは高橋さんの本を書いた動機でもある。

 繰り返しになってしまいますが、高橋本のどこがプロレスを世間に受け入れられるものにしてるんですか?何十万部売れようが世間に対しては笑いものになってるだけでしょ?いったん笑いものになるのは計算済み?ここまでは誰でも計算できるって!ここから這い上がれるかが不透明だからタチが悪いっていわれちゃうんですよ。
 高橋さんは業界のためを思って本を書いたのかもしれない。でも私に言わせればそれこそ偽善です。業界のためというなら、マイナスになったときの責任とれるんですか?業界を体張って守る気あるんですか?って聞きたいですよ。外に出られてから「業界をおもって」と好き勝手ゆうのは無責任に見えます。


 私と田中様の違いは、プロレスを手品とみるか芝居とみるかのちがいなのかもしれません。
 芝居とみれば、メイキングで舞台裏や稽古場を公開しどれだけレベルが高いのかを観客にアピールするのはよいでしょう。でも、手品とみれば、ネタをばらし、そのトレーニングを公開しちゃったらヤボじゃないですか?最後まで「本当はどうなってるんだろうな」と想像してたいじゃないですか。これはマ二アックな見方ですか。

闘道館 泉高志



田中正志四通目(2/2)


 揚げ足取りごっこになるのは問題だよね。それは不毛だと思ってます。だからこれを最後にしましょう。
と言いながら、このメール書くのに2時間かけました。俺はバカですかね?

 ところであの日記は奥さんが書いていて、ご主人のことを館長と呼ぶ形式なんですが、実際はご本人が書いてるというアングルじゃないんですか? ま、それはどうでもいいんですが。

> でしょ?やっぱり大衆に対してのカミングアウトがWWFの直接の成功要因ではなく
> て、おもしろいプロダクトを提供したからなんでしょ?


 そりゃ面白いプロダクトを提供したからだ、と言われたら、自分も含めて誰も否定しませんよ。そんなの当たり前だし。ただ、カミングアウトというか、日本で言えば大仁田革命の開き直りのニュアンスに近いのですが、番組の最初に「50年の歴史を誇るスポーツ・エンタテインメント」とわざわざ言ってみたり、番組中でもケーフェィをギャグにしてることをとりあげれば、やはり順番としてカミングアウトが先で、その前提と認識の徹底があった上で良いプロダクトを提供したから、という図式で間違いないですよ。

> おもしろいプロダクトをつくれば、たくさんの人にうける。当たり前ですよね。
> ただ、おもしろいプロダクトを提供するのと大衆に情報公開する必要との関連がわか
> りません。うまいシナリオをつくる努力をするのと、世間に対してカミングアウトす
> るのは別ものに思えます。WWFはたまたまそういう順序を踏んだだけじゃないんで


 関連は簡単ですよ。先日のWWFのロイヤルランブルのスポンサーは誰ですか? ファイナル・ファンタジー10ですよ。自分はSKY-Jじゃなく、アメリカから送ってもらってるRAWを見てますが、プレイステーション2なんかもの凄い量のCMですよね? カミングアウトしてなかったら、そんな大企業や国際優良企業はスポンサーしませんよ。逆に日本は、なんでサラ金業者しかプロレス番組を支援してないの?

 大衆化を目指すなら、先にエンタテインメント宣言しない限り、それこそ教育委員会から苦情来ますよ。ま、実際にはカミングアウトしてるのに、女性マネがH過ぎるとか、教育委員会から文句受けてますけどね。もっともそれに対して、その教育委員会をパロディーにしたギャグをやってますから、そういう批判までをもコントにしてる姿は一つの例になりますね。

 やっぱり先に言い切ることが必要なんですよ。GEのウェルチ会長の自伝よりも、ミック・フォーリーの本の方が売れたんですよ。NYタイムズのベストセラーの一位に何週も居座ったんですよ。それでその本は、それこそ高橋本よりも詳しく、まさに選手の当事者が打ち合わせの詳細な現場を書いてますよね?

> 闘龍門のようにカミングアウトしなくてもおもしろいプロダクトはつくれます。

 確かに闘龍門はさすがにGAORAの番組の最初に「自分たちはスポーツ・エンタテインメントです」と宣言したりはしてないけど、モッチーがマイクで「今日はどっちが勝つのか教えてやる」とか、大人のファンを喜ばせるケーフェー・ギャクやってくれるからスマートに支持されてるんだと確信してますよ。
 あと、そちらの言い方が間違ってるとは言いません。ただ闘龍門は成功してるといっても、そりゃまだまだ大衆は知らないですよ。まさにその紙プロのインタビューにもあったように、「でもまだまだ、地方に行ったらプロレスと言えば新日が現実」という校長のお言葉通りだし。

 だけどWWFのような全国区の認知度と人気ということになれば、それはカミングアウトしてなきゃまずいんです。実際株式公開がいい例でしょ? 少なくとも公開企業になるんだったら、これはもう「絶対」カミングアウトしないと、善意の投資家を騙したとなって訴えられてしまう。

> 週刊現代が笑いものにしたのは今のプロレスではなく、全盛期の猪木をはじめとした
> プロレスというジャンルや歴史そのものやないですか?今のプロレスはカミングアウ
> トせんでも自然に変わってゆくと思います。そりゃこのままではまずいと新日関係者
> はみんな思ってますよ。だから今のこの騒動なんでしょ?ひとつの提言としてカミン
> グアウトという方法もあるよ!くらいならわかります。でも、それが絶対唯一の方法
> であると信じ、それがわからないやつはアホやと考えてしまうのなら、ちょっと視野
> が狭いのではないかとおもいます。

 絶対唯一なんて言い方されると困るんですが、でも現実には他に人気回復、あるいは再浮上の方法論なんか何もないですよ。あったら先にそれを書いて下さいよ。それも無いのに、カミングアウトという言葉、あるいはシュート活字運動そのものが悪役にされるのはおかしいのでは? 田中正志とか幻の美少女が意識的に悪役やるのは計算上のことですけど、「視野が狭い」のはどう考えても日本の頑固なシュマーク層でしょう。スマートは柔軟でなければ改革の提言なんか無理ですよ。

> 高橋本などでの情報公開で日本でも人気が盛り返し、選手の給料も2倍、3倍になる
> かどうかはやってみないとわからない。WWFの結果論を御旗にかかげるだけでは
> 弱い!

 やってみないとわからない、なんて言い方をされてしまうと、まるでカミングアウトをやらないで、それでも人気を盛り返す方法があるように聞こえます。だったらカミングアウト派を糾弾する前に、先にその処方箋を示すべきでしょう。ところが実際は、そんなアイデアも何もなく、ジリ貧の沈み行くタイタニック号にしがみついてる組ばかりのような気がします。

 ビジネスなんだから、結果論を振りかざす以外に、一体どんな判断基準があるのでしょうか? 感情論に流されては駄目です。「アメリカと日本は違う」論理は聞き飽きました。それって、「日本のプロレスは真剣勝負だけど、アメリカのはショー」って屁理屈と同じですよ。もうそんな詭弁は通用しないでしょ? 

 経済社会だって、やっぱり結果論から反省するしかないのでは? 株式公開の基準だって、あるいは会計基準だって、すべて世界が統一される方向にありますよね? 
 あ、誤解なきよう。自分は何もアメリカ信奉者でもなければ、そういう会計基準すら時価会計になって日本式がなくなりつつある現実を、良いことだとか、好ましいと思ってるわけじゃないです。ただ、現実として国際基準で財務評価すれば、日本の国債の格付けはイタリアよりも低いと審判されてる事実は受け入れざるを得ない、と言ってるだけです。ただ、個人の感想として「冗談じゃない。イタリアより上だろう」ってのはありますよ。だけど、それは「構造改革の結果を出せ!」と言われてる、宿題を課せられてる現状では、何も反論できない、ということ。
 マット界も同じでしょう。私や高橋に文句つける前に、「自分ならこう(カミングアウトなしで)改革する」というプランを出さずに、単に「これまでのプロレス観を壊された」反感からあげ足取りをされても、日本の国債の信用力がないように、サラ金業者しかスポンサーしてない現実に変化はないんです。

> だいたい選手の給料が2倍、3倍という言い方は田中様のいわれるシューマークの人
> たちを思考停止にさせるだけ。また今の田中様の意見だと、そのままアメリカと同じ
> 道をたどったとして、その10年間はどうのりきるんですか?10年経てば今の2、
> 3倍になるからこれからしばらく今の1/2でがまんしてねってことですか?

 誰も「今の1/2で我慢」なんて言ってないですよ。それこそもし1/2になりそうな状態なんだとしたら、それは高橋本とかシュート活字運動が悪いのではなく、単純に現在のプロダクトが面白くないからでしょうに。
 もし前出のフミ斎藤の苦しい反論が正しいなら、カミングアウトうんぬんは関係ないんでしょ? だったら今のマット界も同じこと。高橋本だの、田中正志の存在だのは関係ない、だって実際団体や専門誌は無視してるじゃないですか。それが事実でしょ? するとそんなに無視してるのに、それでも1/2になったとしたら、それこそ「プロダクトが面白くないから」であって、「世間から笑われたから」ではないでしょう。

> 別に誰も邪魔はしてないのでは?選手の給料が倍増することを喜ばないファンはいな
> いでしょう。抵抗なんてできる力誰がもってるんですか?やるのなら勝手にやればい
> いんちゃいます?その気になりさえすれば、できますよ!

 いや、邪魔してますよ。だってシュート活字嫌いな頑固シュマーク一杯いますよ。自分は脅迫状とかいつも一杯来てますよ。吉田豪は「田中正志に書評をやらせたら絶対イヤ」の投書が殺到した、と書いてますね。抵抗勢力ってのは、自民党内部でも名指しされると、「いや自分たちはそうではない」と必ず主張するんですよ。でも実際は、自分の本や高橋本を悪く言ったり無視することで結束して、それが大きなパワーになってるのが実情ですよ。

> 繰り返しになってしまいますが、高橋本のどこがプロレスを世間に受け入れられるも
> のにしてるんですか?何十万部売れようが世間に対しては笑いものになってるだけで
> しょ?いったん笑いものになるのは計算済み?ここまでは誰でも計算できるって!
> ここから這い上がれるかが不透明だからタチが悪いっていわれちゃうんですよ。

 ??? まったくの反対ですね。高橋本の意図はプロレスを世間に受け入れられるものにするために、一生懸命に「八百長という言葉は間違ってる、そうじゃないんだ、これはエンタテインメントなんだ」とはっきりさせてるんです。より広い大衆に浸透するにはそれしかないからです。詳しくは2月11日発売の週刊SPA!を読んでください。

 そこから這い上がれるか不透明? 先の結果論でいくなら、アメリカは成功しましたよ。もっとも、こう言うと、必ず日本にはアメリカ式は当てはまらないと逆襲されますけどね。OK、だったら文句をつけてる貴方が先に、その這いあがれる方法論を提示すべきではないですか? 批判する前に自分で頭使って考えられたらいいんですよ。
 それでカミングアウトせずとも、それでも成功させる方策があるなら、それは僕も高橋さんも、ぜひ耳を傾けたいですね。ぜひカミングアウトせずに、株式公開もやってみせて欲しいです。それができたら、「すいません。自分たちは間違ってました」と認める勇気はありますよ。

> 高橋さんは業界のためを思って本を書いたのかもしれない。でも私に言わせればそれ
> こそ偽善です。業界のためというなら、マイナスになったときの責任とれるんですか

 だから一体いつマイナスになったんですか? 面白くないと思ってるのはシュマークさんだけですよ。スマートは大歓迎ですよね。大衆マークは、かえって新鮮なものの
見方に触れて、逆にプロレスの奥の深さにたどり着いて、卒業しない長続きするファンを養成する結果となったプラス面も大きいハズです。

 そんな、自分の殻に閉じこもってる組は、どうせ3年もすれば壁にブチ当たって、卒業してたんではないのですか? だったら、プロレスが100%ケツ決めだと知って、冷めてしまって卒業した組の合計と、高橋本やシュート活字によって理論武装して、生涯プロレスを愛する決意を確認した組の合計はどっちが大きいのでしょうか? 構造改革ってのは、もちろん必ずマイナス面もあるんです。でもプラスが大きいから、やるしかないんじゃないですか?

> 業界を体張って守る気あるんですか?って聞きたいですよ。外に出られてから「業
> 界をおもって」と好き勝手ゆうのは無責任に見えます。

 ??? 僕も高橋さんも、体張って業界守ってる意識もの凄く強く持ってますよ。
 「プロレスが八百長だと言われる」偏見と闘い、正しく評価されるべく闘ってるわけですからね。「好き勝手言ってる」なんていうなら、抵抗勢力の詭弁の方が「好き勝手」ですよ。「あんたらのファンタジー幻想にどっぷり浸かっていたら、業界は沈没しますね!」ってのがこっち側の反論だな。

> 私と田中様の違いは、プロレスを手品とみるか芝居とみるかのちがいなのかもしれま
> せん。
> 芝居とみれば、メイキングで舞台裏や稽古場を公開しどれだけレベルが高いのかを観
> 客にアピールするのはよいでしょう。
> でも、手品とみれば、ネタをばらし、そのトレーニングを公開しちゃったらヤボじゃ

 そんな風に思ってません。手品も芝居も、両方ともプロレスとは違うジャンルですよ。だけどマスクドマジシャンだって、手品を進化させるには、一旦古いトリックを暴露しないと次の段階が来ない、と繰り返し弁明してますよね。それで実際のところ、流血の仕組みにしたってもうバレバレで、カットマン黒猫の活躍なんか毎回ネットでも書かれてましたよね。だったら高橋のはもう皆がわかってることを、あえて内部者で当事者の彼が、あらためて「断言」した点に意義があるんでしょ? それだけのこと。

> 最後まで「本当はどうなってるんだろうな」と想像してたいじゃないですか。
> これはマ二アックなみ方ですか。

 楽しみ方は人それぞれですから、それについて「お前はシュマークだ」と言ったところで、何度も書くようにプロレスの見方にどれが正しいとか答えはないんですよ。だけどそういう楽しみ方は、3年で壁にブチ当たるケースが多いようですね。もっとも20年間マークのままで、今後も高橋本やシュート活字を無視して、ずっとマークのまま愛する方もいるでしょうから、どの世界でも例外はありますけどね。

 わかって楽しんでるスマートの割合を増やした方が、大衆マークの底辺拡大と直結する、という図式は覚えたほうがいいです。しかも、これはもちろん政治や経済にも当てはまる法則です。で、自分の楽しみ方にこだわりたいシュマークの意見は、どうでもいいんです。これも何度も証明済みの真理です!

田中正志(タダシ)




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