N響 オーチャード定期2001/2002シリーズ第17回
■団体:NHK交響楽団
■日時:2001年12月19日
■会場:オーチャードホール 渋谷Bunkamura
■書き手:スペル泡盛

 12月ともなるとさすがにシゴトも手抜きはできないし何かとハマりっぱなしでちとばかりブルーになりがち。そんなときだからこそ会場に足を運んでホットな気分に浸りたいもの。今月前半はいろいろと寒かったらしい闘龍門の駒沢大会を逃したので今回が久々の観戦となった。で、行ってきましたN響オーチャードホール大会。
 会場は渋谷の東急本店に隣接するBunkamuraにある。後楽園ホールやディファで見かけるような「無いヒトあるよ有るヒト買うよ」のオッチャンは居ないのだが、東名高速の用賀入り口あたりにいる外人が持つようなボール紙に「券求む」と書いたのを持った学生らしき若い男が数名いてスゴイ人気だ。しかし、メジャー団体の強みなのか前売りはすでに完売のようでこれといった不穏な動きは無い。
 入場すると会場ロビーにはWWFやC-MAX、M2Kのロゴが入ったTシャツを着た連中がゴロゴロと・・・いるはずもなく全体的にドレッシーな装いで年齢がやや高めな客層。ホールの2階席から見ると2150の座席はほぼ満杯となっていた。

 19:00のほぼ定刻通りにテーマ曲もなくあっさりと選手が入場しオーボエのキーに合わせて各自がチューニング、故アンディ・フグの出身地で日本人にとっては馴染みの深いスイスから来日した指揮者のシャルル・デュトワ氏の入場とともにすぐに試合開始となった。この団体においては冗長なMCはなく淡々としたスタートが定番であるようだ。ここにはマイクの上手な選手が居ないらしいのでかえって好感が持てる。また観客にはあらかじめ小型のパンフレットが無料で配付されており、試合順だけでなく、なんと、およそのフィニッシュの時間まで記載されている。私のような初心者でも入りやすいようにしてある配慮はとてもすばらしい。

第1試合 ウィリアム・テル序曲(ロッシーニ:約12分)
いきなり同曲を入場時に使うストーカー市川の復帰に合わせての選曲とは恐れ入った。いまやメジャー団体も無視できない存在となったのか?これでつかみはOK、耳に馴染んだ旋律に観客席も暖まる。ちなみに先のパンフレットによるとストーカーの使うファンファーレの部分は「スイス軍の行進」であるようだ。自分の出身地をからませるということは外様であるはずの指揮者がブッカーとして発言権を持つと考えていいのか、なかなか興味深いところではある。

第2試合 ヴァイオリン協奏曲 ニ長調 Op.35(チャイコフスキー:約35分)
休憩前は2試合だけの予定で、他団体から「X」としてロシアからの刺客、ヴァイオリン奏者ワディム・レーピンが登場、難しいこの曲を説明不可能なほどの圧倒的なパフォーマンスでこなし多くの観客が昇天、本日のベストバウト。鳴り止まない拍手にリラックスしたなかで小曲のエキシビジョンもあり前半からこの興行の勢いを見せつけることとなった。

休憩15分

第3試合 交響詩 魔法使いの弟子(デュカス:約12分)
ディズニー映画の名作「ファンタジア」でミッキーマウスが登場するセクションまんまの試合展開。半人前の魔術師役のミッキーが、ほうきに魔法をかけて師匠にいいつけられた水汲みをやらせたところ止める呪文ができなくて水浸しになってしまうというストーリー。多くの観客の頭の中で映画のシーンが同時進行したものと思われる。

第4試合 パヴァーヌOp.50(フォーレ:約7分)
メインの前にゆったりとした静寂、沈静を強調した試合を配して華やかな展開のメインと対比させることを目的とした試合。しかし決してヌルかったりダレたりしているわけでなく安定した弦楽器の音にはいぶし銀の味わいがあった。

第5試合交響詩 ローマの松(レスピーギ:約25分)
第一次世界大戦から数年経ち比較的平和な(たぶん)1923〜4年頃のローマの風物詩を音で再現した試合。緩急つけた展開はJr.ヘビーの6人タッグなどで見ることのできる小気味良いもの、そしてテクニシャンが揃っているため調和のとれていて安心してみられるものだった。

 予定調和どころかガチガチでサプライズなんてこれっぽっちもないと思われるこの手の興行だが、アンプやエフェクターなどを通さない選手達の肉声にも似た試合運びは会場でなければ絶対に味わえない。気持ちが荒んだなぁと思ったらたまにはゆったり、まったりを取り戻しにいくのもいいと思う。





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