外資系虎の穴2 「最強外人・ゴーンの何がエライか」
■投稿日時:2001年12月17日
■書き手:生首

「ゴーン氏のリバイバルプランによってその存亡すら危ぶまれていた日産がV字回復で空前の経常益!」のニュースで一躍「黒船」から「救世主」へとイメージをV字変換させたゴーン氏。彼への評価は近著のベストセラー化でも明らかなようにウナギ登りですが、一方で本当にそんなに偉いのかという疑問も上がっています。

私は「外資的」感覚から見て氏の経営手腕はきわめて評価されるべきものと考えます。ただしそれは「ボロ会社を蘇生させた神技」を称えるものとは少し違います。これまでも日産の業績回復については、単にコストカットを徹底し、ツケを下請けに回しただけといった批判もあります。新車売上ベスト10はトヨタとホンダがほとんどを占め、日産はかろうじて引っかかっているだけという以上、こうした批判も間違っていません。
日産が今後どうなっていくかは今、経常益がいくらとかの話ではなく、他の企業と同じく、当然のことながらこれからの売上と利益がどうなっていくかにかかっていることは間違いありません。

ゴーン氏は外資的見地から言うときわめて有能なパフォーマー(表現者)であり、氏のパフォーマンスは基本的に大成功したと見るべきです。それはなぜか。
(1)「コミットメント」という尺度を自ら具体的に定義し、それを公表した。
(2) 計画どおりそのコミットメントを達成した。
この2点を満天下に知らしめることが出来たからです。企業が「良くなったか」「悪くなったか」何ていう抽象的なモノは具体的数字以外では表現できず、売上ではなく「利益」という数値目標を設定したことと、それを達成する具体的手腕・手法をもっていたこと、そしてそれを最高の表現で発表したこと、これが私が「大成功」という理由です。

利益達成のためリストラで工場閉鎖、クビ切りを行い、下請けへの「協力要請」と統合で調達コストを下げ、売上が増えなくとも利益が増える仕組みを作りました。そして新聞等でも解説されていることですが、徐々に増えてきた利益を「引当金」として処理し、それを小出しにせず、頂点まで貯めたところで一気に決算時に発表・放出することで、見事なまでに「V字回復」をプレゼンしました。これ以上のパフォーマンスを演じられる表現者はいないと思います。

「業績」は大事なのですが、それをしっかりと「表現する」力がないと全く評価されません。つまり「男は黙って」は外資の世界ではダメなのです。外資系で今働いている人の中ですらきちんと理解されてない人がいることに驚きますが、「パフォーマンス=表現」が伴わない業績はありえないのです。プレゼン能力と言い換えても可能です。

「英語力」
リクルートの情報誌や学生向け就職誌などを見ていると、外資系で求められる英語力はどのくらいか?という質問を良く見かけ、答えはだいたい「普通の仕事は日本語で大丈夫だが、日常会話程度は最低必要。FENを聞くなど自分なりのブラッシュアップもしよう」なんて書いているようです。
私の感覚をいいますと、出世したいならネイティブと会話できる程度の会話・プレゼン力、ライティング力が必要。出世したくないなら、普通に中学卒業した程度出来ればOKと思います。なぜなら普段の仕事は上司・同僚に外国人が多数でない限りは日本語でするはずだからです。しかし出世するには上司、というか自分の評価者(←これ致命的に大事)に、いかに自分が優れているかを「認めさせる」力がなければならないのです。(だって人事部は評価なんかしないんだから)
その力とは「実績」は非常に重要です。ただし「実績」がなくとも通用する「穴」があるのも事実、それが「パフォーマンス力」です。

「外資ゴロ」
聞いたことありますか?これはうまく経営者に取り入って外資企業を転々とし(平均在職期間3年未満がほとんど)、渡り歩く種族のことです。特徴はかなり高い英語力と、最高のパフォーマンス力を持つこと、そして何より全く実績を出せない無能ぶり、この3点セットをそろえた人のことで、恐らく今この時も相当たくさん日本中に蔓延していると思います。
A氏は50代ですが、この世代にしては珍しくアメリカの大学を出ており、50代の日本人としては恐らく最高レベルの英語力があります。パフォーマンス力は、日本人から頻繁に報告を受けなれていない外国人経営者にはもう、最高としか見えないモノをやってのけます。もちろん本当に優れた経営者はこうしたインチキを見抜けますが、日本人との付き合いになれていない、凡庸な外国人経営者(かなり良くいる)には見抜く力はありません。

A氏はみごとなまでに経営者としては無能でしたから、自分の子飼いを外部から呼び寄せたり、子飼いになる前提で絶対服従の戦闘員を雇い、古参社員の中でもうるさ型から順に排除していきました。誰がやっても難しい顧客を意図的に割り振り、「業績不振」を理由に降格、最終的に「自主退職」に追い込みます。査定などでは露骨なヒイキを行い、邪魔者排除に全力投球するのが彼の仕事です。
接待と称する飲食は最高のものを使い、上司である経営者にはまさに「Kiss his ass」するかの如き、犬のような忠実ぶりを「演じ」ます。

こうした外資ゴロに寄生された職場の人たちはまさに地獄。自分が辞めるか、刺し違えても相手を辞めさせるかしか解決方法はないのでしょうか。A氏の弱点はどこにあるのでしょう?
簡単です。彼には「能力」がないのです。1〜2年は「環境悪化」「心機一転のための準備」という逃げ口上が通用するアマイ外資企業だって少なくありません。しかし3年たって実績が出ないようだと、いくらAssにキスされたって、経営者は黙っていられません。まず放っておいてもこうした人は3年くらいで正体を見破られ、クビになります。平均在職期間が3年未満という理由はここにあったのです。





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